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4人の魔法使いの冒険  作者: 藤見倫
第1章:グリンタウンを救え
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第13話:次に目指すはグリンタウン

 結局、買い物だけで3時になった。何で俺や中野の持ち物で高松さんがこんな真剣になるんですか・・・。そんな真剣なら俺に昼寝させて全部買ってきて欲しかったんですけど。


「じゃあ、次は装備屋だね」


「そうね」


 買った物は全部、メニュー画面の謎の4次元収納へ。かなり便利だ。


「どんな装備があるんだろうなぁ。楽しみだな」


 で、行ってみたのだが、結論から言うと買える物はなかった。近接・射撃・魔法ともDとFランクしかなかったからだ。全部各タイプの初期装備とは・・・せめてDぐらい数種類あってもいいだろうに。何のためにこの装備屋あるんだよ、市民のためか? グリンタウンに期待しよう。


 --------------------------------


 翌日、朝食後に秋津さんたちも混ざってレベル上げに出かけた。昨日はあれっきりで特に打ち合わせたわけではなかったが、4人で朝食を食べてたら秋津さんたちも来た。この人数なら狼が3~4匹出ても簡単にはやられないだろう。昨日は「全員で全員の面倒を見る」なんて言ったけど俺は自分たちのパーティが全滅しないことしか考えてない。最初は何回かスライムで少し体を慣らした後、森に入る。


「へぇ~これがゲームの中の森かぁ、案外普通だな」


「いきなり狼が出てくることを除いては、ですけどね」


「そんないきなり襲われたんですか?」


「はい、1匹横から飛びかかってきて、振り払った頃には3匹に囲まれてました。弓とか魔法で牽制してから逃げたのですが」


「相手は狼ですからね」


「この間も千尋ちゃんの方に走る時めっちゃ速かったもんな」


「あれマジで怖かったんだからね」


「ごめんごめん、俺MP残ってなくてさ」


「MP残ってなかったこと自体が問題なのよ」


「すまねぇ・・・」


 秋津さんの相手はこの2人に任せよう。他の3人と花巻さんはあんまり喋らないタイプっぽいし、俺もそうだし黙ったままでいいや。これが俺のあるべき姿だ。秋津さん、この3人と6日も過ごすの苦痛だっただろうな。グリンタウンに着いたらまたそうなってもらうけど。


 しばらく歩いていると、ガサッと音と共に狼が出てきた。1匹だけ。よく喋る組の3人に任せよう。一応、チーム秋津のモブ3人も武器を構えている。真面目ではあるみたいだ。俺と花巻さんは見学。花巻さんはこちらを見ている。心なしか、「大村君は行かないの?」みたいな視線を感じる。


「大村君は行かないの?」


 言われた。


「1匹なら6人いれば余裕でしょ。もし増えたら僕も行くつもりだから、周囲の警戒をしようと思って」


「そっか、昨日は3匹出たみたいだから気を付けないとね」


 納得してくれたようで何よりだ。既に出てきている1匹の方は、高松さんと中野の魔法で体勢を崩して秋津さんが切りかかる王道スタイルで応戦中。ほどなくして狼を倒した。


「いよっしゃあ!」


「意外とあっけなかったわね。昨日あんなに苦労したのが嘘みたい。剣士がいるだけでこんなに違うのね」


 剣で簡単に致命傷を負わせられるのはかなり大きい。土の剣でも鋭くすることはできたのに、何で一昨日は打撃で戦おうと思ったんだろうな・・・ボコボコにするためか。


 その後も何度か狼が出てきた。単体だったり、3人が応戦中にもう1匹出てモブ3人と俺も加勢したりすることもあった。やがて、2~3人で1匹の狼を相手にしようということになった。チーム分けは、高松さん&秋津さん(剣)、中野&笠岡(剣)、大村&田中(弓)&有園寺(魔法)。花巻さんはあちこち回復して回る。

 狼1匹なら2人でも余裕なようで、4匹以上同時に出ることもなく安定している。ちなみに一番ダメージくらってるのは俺だ。そのダメージの半分以上は田中と有園寺だ。彼らの弓や魔法が前線に出てる俺に当たる。特に弓が痛い。援護どころか邪魔なんだけど・・・腹や頭に当たると死ぬんだぞ? やっぱこいつら戦力にならん。


 その後も、2~3時間に一度休憩や食事で街に戻りつつ、日が傾くまで森で狼と戦い続けた。今は5時過ぎ、ちょっと早いけど夕食にした。


「ふああぁぁぁ。疲れたね」


 高松さんが大きく背伸びをする。


「今日はありがとう。やっぱり人数多いと戦闘が楽だね。グリンタウンに着くまでというのが残念だよ」


 悪いけどそこは変えられない。俺の被ダメージはあなたの仲間からですよ? 一応、今は俺の仲間でもあるのか、田中と有園寺。基本的に今日のチーム分けは変わらないだろうな。というかレベル上げはこれくらいにしてグリンタウンを目指そう。道の途中で敵が強くなるらしいけど、どこまで強いのか分からずに毎日レベル上げとか億劫だ。ちなみに今は、


 Lv:大村8、高松7、中野7、花巻5

 HP:大村121、高松118、中野118、花巻112

 MP:大村135、高松130、中野130、花巻120

 魔攻:大村81、高松117、中野117、花巻120

 装備ランク(近接):全員F

 装備ランク(射撃):全員F

 装備ランク(魔法):全員D


 となっている。レベルが上がるごとにHPは3、MPは5上がっている。魔攻も基本は5アップだが属性2つ以上だと例の倍率が掛けられ、俺はMP×0.6、高松さんと中野はMP×0.9が魔攻の値となる。小数点以下の扱いは不明。

 やはりこの数字だけ見ても目安が分からないな。グリンタウンを目指して(出てくるなら)新しい敵と戦ってみた方がいい。


「ねえ、明日はグリンタウンを目指さない? 実はもう余裕かもしれないし、きつければまた戻ってレベル上げすればいいし」


 聞いてみたが、秋津さんの反応はいまいち悪い。ちなみに、丸1日一緒にいたおかげか、敬語は解消された。


「うーん、でも今のままで大丈夫かな?」


「やってみないと分からないよ。いければそれでいいし、ヤバくなったらこっちに戻ればいいし。この人数なら全滅はないと思うよ」


「うーーん、でもなぁ」


 なんだ? 4人に戻るのが嫌か? その気持ちは分かるけど、こっちもいつまでもこんな所に居てられないんだよ。


「いけるんじゃね? 今日だけでかなりレベル上がったし、いいかげん狼とばっか戦うのも飽きてきたんだよな」


 よし、中野が乗った。あとは・・・


「あたしも行ってみていいと思う。あたしたち、道の方はちょっとしか進まなかったし、引き返すことになるにしても距離感つかんでおきたいな」


 よし、高松さんも乗った。何だかんだで、高松さんも秋津さんの相手するの疲れると思う。


「そっかぁ。2人がそこまで言うなら挑戦してみようか、グリンタウン」


 さすがに秋津さんが折れた。というか「2人が」って何だよ。あんたらのこと助けたの俺だぞ? 昨日の恩を忘れたか? モブ3人と花巻さんには聞きもしないし。まあ無口キャラは意思決定には混ぜてもらえないもんね。「何も言わない方が悪い」とか言うクセに反対すると「空気読め」とか言われるから困る。「ダメ人間」だって? 誰のせいでこうなったと思ってるんだよ。


 明日の予定が固まり、食事も終えたところで今日はお開きとなった。明日は7時の朝食後に出発、まず森の狼で肩慣らしをした後でグリンタウンを目指すことになった。


 --------------------------------


 部屋に戻ると、中野が話しかけてきた。


「なあ大村、ホントにいいのか? 秋津さんたちとグリンタウンで別れることにして。確かに、面倒見るっての? 大変かもしんねぇけどやっぱ人数多い方がいいんじゃないか? 剣とか弓もいるし」


 なんだ、そんなことか。まあ中野から大した話が出るとも思えないけど。中野としては話相手が多い方がいいだろうけど、俺としては足手まといが増えるだけだ。


「大丈夫だよ。僕らが強くなれば問題ないし、そうなったら多分あの人たちはついて来れなくなるよ」


「いやでもよぉ、俺らが強くなれば秋津さんたちだって強くなるだろ。俺らがどこまで強くなるかも分かんねぇし」


「僕たちは、少なくとも僕は、誰よりも強くなるつもりでいる。その前提に立てば、あの人たちはいなくても大丈夫」


「いや何で俺らがめっちゃ強くなる前提なんだよ。限界はあるだろ。最初はあの狼1匹だってギリだったじゃねぇか」


「強くなれない前提に立つなんて意味がないよ。ゲームクリアと、花巻さんの弟のことを考えれば僕たちは強くならなくちゃいけない。それに、本当にあの人たちが僕らと同じように強くなると思う? 今日は笠岡さんと一緒だったんだよね。どうだった?」


 ちょっとキリがなくなってきたな。早く話を終わらせたいんだけど。


「う・・・まあ、あいつは確かに微妙だったけど、秋津さんは大丈夫だろ。1人でも強い人がいた方がいいじゃねぇか」


「それで微妙な人が3人も増えるのは嫌だよ。僕なんて今日は味方から攻撃受けてたんだよ? 弓は下手すれば即死だ。居てマイナスの存在もあるんだよ。本人たちは頑張ってるけど僕らへの気配りはない。言ったよね、全員が全員の面倒を見るって。それができないあの人たちのためには頑張れないよ」


 それと、面倒だから言わないが俺からすれば秋津さんの戦力も微妙。話相手になるってだけで肩を持たないでくれ。


「まあ、秋津さんたちを助けた大村が言うなら仕方ねぇけどよぉ」


 引き下がったか。俺の発言も秋津さんの肩を持つような感じだったからな。他の3人がいらないことを強調しておいて良かった。


「ちょっと散歩してくるね」


 寝るにはまだ早いし1人になりたい。


「あ? おう、そうか。じゃあ俺は最後に秋津さんと話でもしようかな」


「うん、そうするといいよ。ごめんね、一番大事なのは僕らのチームのことだから」


「気にすんなって、この街に来れたのも、秋津さんと知り合えたのも大村のおかげなんだからな」


 何だ? いきなり柔らかくなったな。突っかかってきたり柔らかくなったり、こいつの感覚がいまいち分からない。俺は振り返らずに「どういたしまして」とだけ返事をして部屋を出た。


 明日は次の街、グリンタウンを目指すんだ。人が増えて緊張感が緩んでしまったから気を引き締めよう。


次回:道中のできごと

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