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異世界メモリアル【2周目 第29話】


「お兄ちゃん入るよ~」

「待ってたよ、って何その格好」

「えへへ、久しぶりにランドセル背負ってみたけど小さいね」

「なぜランドセル?」

「そういうのが好きなんでしょ?」


きょとんとする舞衣。

ニコ攻略宣言=ロリコンという図式はサポートキャラの妹ですら成立してしまうらしい。

違うっつーのに。

義朝と一緒にして欲しくない。


「え? 写真撮るの? そこまで?」


いや、これは俺を喜ばせたいという妹の気持ちが嬉しいだけだから。

決してそういう趣味なわけじゃないから。


「もういい? いつものやるよ」


10回ほどシャッターを切ると、舞衣はランドセルを下ろした。

この世界にスマホがあれば動画で撮ったのに、惜しいことだ。


【ステータス】

―――――――――――――――――――――――――――――

文系学力 130(+10)

理系学力 156(+31)

運動能力 105(+7)

容姿   129(+8) 

芸術   139(+23)

料理   108(+0) 装備+100

―――――――――――――――――――――――――――――


一応、予定通りに上がってるな。

もはや理系のテストだと上位成績という状況だ。

ニコは300くらいあるんじゃないだろうか……。

3年生になる頃には追いつける、と思う。


【親密度】

―――――――――――――――――――――――――――――

来斗述(らいとのべる)     [一度きりの関係]

ニコ・ラテスラ(にこらてすら)  [危険な人体実験したい]

画領天星(がりょうてんせい)    [ロト×工事現場のおじさん]

次孔律動(じあなりずむ)     [副会長はロリコン!?]

―――――――――――――――――――――――――――――


来斗さんについては、記載は妙にエロいけど、単に評価が少し上がっただけだろう。

てんせーちゃんもエグいくらいの表現をしてくるけど、やっぱりちょっと評価が上がったってだけ。

次孔さんはパパラッチなだけ。

問題はニコなんだよ。


「あっれ~、ニコさん下がっちゃってない?」


俺は可愛い妹を軽く睨む。

誰のせいだよ……いや、舞衣のせいではない。

俺の選択が悪いのだ。

舞衣は成功、普通、失敗の3択をさせる役割なのだろうから。


ニコは4月2日に17歳の誕生日を迎えていた。

俺はいつもの通り、舞衣の3択によって誕生日プレゼントを選択したのだ。

そのとき提示されたのが次の3つ。


1.ちろり

2.媚薬

3.クマのぬいぐるみ


ちろり……?

何のことだかさっぱりわからない。


「舞衣、ちろりって何?」

「私もわかんない」


何故わかんないものを提案するのでしょう。

何故平然とした顔で俺の目を見ることができるのでしょう。

何故ちろりという言葉から、そこはかとなく、えっちな響きがするのでしょう。


2.はもっとアレだけど、知らないふりして聞いてみるか。


「舞衣、媚薬って何?」

「私もわかんない」


俺は胸を撫で下ろした。

これは知らなくていい。

VRのアダルトはわかるけど、媚薬はわからない妹でいい。


それにしても製薬会社の娘で実験大好きな人に媚薬を渡すって、いかにも罠って感じだよな。


3.はクマのぬいぐるみ。

義朝の情報からも得られていないので、好きか嫌いかはわからない。

しかし、ぬいぐるみを貰って怒る女子高生がいるだろうか。

沙羅さんのときもそうだったが、実はそれが好きだった、というパターンは濃厚。

実はぬいぐるみ集めが趣味、とかなんじゃないか。

だって、ニコのベッドにぬいぐるみがいっぱいあるとか、超絶似合うもんな!


そんなわけで俺はニコにクマのぬいぐるみをプレゼントしたのだが。

そのときのニコのリアクションは今でも鮮明に思い出せる。

わずか数秒の間であれほど表情が激変するのを見たことがないからだ。


「あぁ、あんがとなー。ってぬいぐるみかよー、子供扱いすんなよなー。まぁいいけどさ、って! ぎゃあー! クマ、クマだー!? 怖っ、怖いーッ!?」


後から知ったのだが、ニコは雪の多い寒い国の出身で、よく人間がクマに殺されることがあるらしい。

だから小さな頃から、おとぎ話しや絵本などで散々クマを恐れるように叩き込まれるとのこと。

つまり、ぬいぐるみは子供っぽいから嫌いだし、クマなんて大っ嫌いということだ。

最悪の選択肢を選んだというわけ。


キッ!


目を眇め、眉を吊り上げ、目尻に涙をためて、俺を睨むニコ。

うう、こんなはずでは……。


以上が誕生日イベントの顛末である。

これで親密度ががっつり下がったのだろう。


ちなみに、ちろりというのは日本酒を冷やしたり温めたりできる酒器らしい。

酒好きにはもってこいのプレゼントだったというわけだ。

まったくえっちな要素はない。


媚薬をプレゼントしたら、どういうリアクションだったのだろう。

怒らないんだろうなあ……。

くそ、選べば良かった……。

本当のギャルゲーはセーブ&ロードがあるからいいよな。


遠くを見ている俺に妹が話かける。


「お兄ちゃん、部活辞めないの?」

「ん? いいや?」

「生徒会は?」

「続けるけど」

「なんで?」


なんで?

つまりそれは、ニコ・ラテスラを攻略する上であまり得策じゃないから、か。

確かにニコの親密度をあげるのに芸術とかあんまり要らないような。

でもですよ、部活辞めたら……


てんせーちゃんが沙羅さんみたいに傷ついてしまうかもしれない、だろ。


傷つくてんせーちゃんなんて、想像もしたくない。


生徒会も決してマイナスではない気がするし、途中で辞めるようなやつをニコが好くとも思えなかった。


「なに、今のまま努力してニコの親密度を上げてみせるさ」

「さっすがお兄ちゃん!」


応援のつもりか、舞衣はランドセルを背負った。

だからそうじゃないってのに。



ときメモの誕生日プレゼント三択は本当意地悪なものが多かった思い出。

でも、あの選択肢選びで悩むの楽しかったですよねぇ。

実は紐緒さんコレが好きとか!? みたいな気持ちを思い出しつつ、執筆しております。


本当に一言で良いので、感想いただけますと嬉しいです。



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