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異世界メモリアル【2周目 第8話】


ガリ勉にならないように、テスト勉強をするというバランス感覚が求められる2週間を過ごし、なんとか期末試験を終えた。

1周目では問題文すら読むことができなかったが、今回は赤点無しだ。


夏休み中は部活もするが、アルバイトもする必要がある。

アイテムは引き継げるが、所持金は引き継げないので、お金が無いのだ。

賭ける金がないので、競馬で稼ぐ事もできない。

ちなみにアイテムは売ることも出来ない。


舞衣から提示されたバイト候補はもちろん3つだ。


1.漫画のモデル

2.古本屋

3.実験助手


……気のせいかな。

なんか、バイトなのにキャラクターが奥に見えるんだけど。


「舞衣、一応解説を頼む」

「1.はね、漫画を書くときに資料用にポーズをしたりするバイトだね。男子高校生限定の募集で、容姿が低くないことが条件。美術部がお休みのときだけ出勤だからちょうどいいよ」

「それ、依頼主が美術部にいるからなんじゃないの……」


俺は嫌な予感しかしないので、1.は却下した。


「2.は店番だね。女子高生のバイトがいるんだけど、一緒に働いている男性がすぐに辞めてしまって困ってるみたい。なんか女子高生に話しかけられた男性が一様に犯罪者にはなりたくない、とか叫んで逃げ出すんだって」

「その女子高生のバイトが誰で、何ていうセリフを男に言ってるのかが大体想像つくんだけど」


2.も辞退することに。


「3.は実験の助手だね。治験と違って薬は飲まないみたいだよ。新しい薬品や発明を行うのに男手がいるんだって」

「これも俺は依頼者の顔が見えるんだが……実験の助手で、実験材料じゃないなら良いか」


こうして夏休みは美術部と、実験助手のアルバイトをして過ごすことになった。


バイト先は学校からほど近くの、ラテスラ特殊研究所という名前の建物だ。

やっぱりな……。


「今日からアルバイトのロトでーす、よろしくお願いしまーす」

「変態を呼んだ覚えはないぞっ!?」


そう言って、勢いよくしゃがんで足を隠そうとするニコ・ラテスラ。

全部お前のせいなんだよ。

俺は変態じゃない。

しゃがんだせいでミニスカートから下着が丸見えだが、もちろん興奮などしない。

前回のくまさんよりは、今回の水玉の方が良いとは思うが。

でも、灰色っていうのがな。水玉は絶対パステルカラーの方がいいだろ。


「やっぱり足を見てるじゃないかっ」

「足なんか見てないぞ」


俺がみてるのは、足の間に見えるぱんつだ。

変態扱いするのはやめて欲しい。


「むうう」


睨みつけながら唸るニコ。

ようやく立ち上がったので、顔を見る。

やはり背が低い。135cmだったっけ。義朝のせいで覚えちまったじゃないか。


「ほいで、ニコ、なにすりゃいいんだ」

「こら―! ビジネスオーナーに対してその態度はなんだ! 呼び捨てにすんな!」


両手を上げて抗議するちびっ子。

ううむ、これが雇い主なのか、信じられない。


「ニコ様、ご命令を」

「うんうん、それでいいぞロトくん」


慇懃無礼という言葉を知らないのか、このロリは。

両腕を組んで、満足そうに頷いている。

扱いやすいから、このスタンスで行こう。


「のどが渇いたなあ」

「ニコ様、粉ジュースでございます」

「ごくろー、ごくろー」


給湯室には駄菓子屋で買ったであろう、粉ジュースが大量に置いてあった。

お子様にも程がある。

俺が溶いた粉ジュースを美味しそうに、ストローでちゅうちゅう吸って笑ってやがる。

控えめに言って天使だ。3年後が楽しみだ。

このバイト、義朝に譲ってやったほうがいいんじゃないかな。


「さてさて、今日の実験は~、成長促成剤だなー」


成長促成剤か、名前から察するに農作物の肥料か何かだろうか。


「飲んで見るから、忌憚のない男性としての意見をくれ給え」


自分で飲んで実験するのかよ!?

って俺も散々治験はやったけどな……。


ニコは1粒の錠剤を飲んだ。


ふむ……。

何か変化はないか、観察する。


「どうだー? せくしーだいなまいとになったかー?」

「いや、全く……」


そういう薬なの?

だとしたら、凄いことだが……。

少しだけ背が伸びた、か?

元が小さすぎてよくわからん。


「そっかー、じゃあいっぱい飲むか」


ニコは片手で掴んだ錠剤を口に放り込む。

そんな適当なやり方の実験があるかよ!?

って、おいおいおい。

みるみる大きくなってるぞ……胸が!


ニコの胸の辺りから、ばちーんという音がした。

こりゃ下着が弾けとんだな。


「うっわー、実験成功だなー」


本人は呑気なことを言っているが、俺はツバを飲んでいた。

背は少しだけ伸びただけだが、全体的に、とても、イイ感じだ。

なんというか……凄くイイ!

セクシーダイナマイトではないが、俺はこのくらいがいいぞ!

しかも、元々着ていたノースリーブとミニスカートがもう、ぱっつんぱっつんだ。

ニコ様ばんざい!


「ど、どうした? なんか興奮してるのか?」

「ニコ様! ああ、ニコ様!」

「な、なんだ? ちょっとだけ大人びた私に惚れたのか?」

「え? はい」


ちょびっとだけじゃねーよ、いい感じに大人びてるよ。

完全にどストライクだよ。


「ほ、ほほう。まぁ当然だな」


ちょっと嬉しそうにしているニコ様だが、なにやら変だな。

なんか……どんどん……胸がしぼんでいく……。


「うーん、1分で効果が切れるのか。早いな」


だるんだるんに伸び切ったノースリーブを引っ張りながら、ちびっ子が言った。

そんなに引っ張ると、おっぱい見えちゃうぞ。

はぁ、短い夢だったな……。



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