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異世界メモリアル【2周目 第4話】


今度はアホほど理系の勉強だけを続けた。

一ヶ月ほどで授業のところまで追いついた。

いやー、よくここまでストイックに出来るよな~俺。


そう思いながら廊下を歩いていると、なにやらヤバイ匂いが教室から漏れていた。

なんだ、これは。

例えようもないほど、ヤバイ。

ヤバイくらい……なんかえっちな気分になる。

どういうことなんだこれは……。

猫がマタタビに狂うのが理解できるくらい、脳にくらっくら来る。


ドアを開けて、中に入る。

中に居る人間をレイプするため……じゃないぞ勿論!

異常すぎて見過ごせないからだ。

来斗さんのせいで脳内に変な言葉が登場してしまうな。


教室は化学実験室だった。

大変だ!

ぐったりと倒れている……と思ったら、血気盛んに薬品を混ぜ合わせている!

なんだ、コイツ!?

どうみても小学生じゃないか!

でもマッド・サイエンティストにしか見えないぞ!


「おい! 何やってんだ!」

「ん? なんだお前。実験、という言葉でわかるか?」


振り向きざまに俺を見た彼女は小学生みたいだったが、やはり美少女だった。

ショートカットのシルバーブロンドで肌は真っ白く、瞳はブルー。

唇は紅く、背は低く、胸は皆無。

しっかし、こんな北欧系のロリがなんでこの学校にいるんだ。

あっ、わかった。

そういうパターンのやつ、知ってる。


「お前、若き天才だから飛び級してる留学生なんだな? でも危ない実験はやめとけ、な?」

「確かに留学生だが、誰が飛び級だー!? お姉さんだぞ私は!」


少女は激昂した。

なんでだ?

敬意を払ったつもりだが。


「あれだろ? 天才すぎて飛び級してるけどホントは11歳なんだろ?」

「普通に高校1年だし、もう誕生日を迎えてるから16歳だー! お前も1年だろ―!?」


16歳?

俺はなんか2周目とかしてるからこの世界の年齢なんてどうでもいいけど。

この世界での俺の設定はまだ15歳だな。

そういう意味じゃあ、確かに年上だ。

しかし、どう考えても嘘だ。


「おいおい、そんな露骨な嘘ついて恥ずかしくないのか?」

「口の聞き方に気をつけろー! お姉さんだぞこらぁー!」


怒りっぽいなぁ、このお子様は。

しかし見た目は天使のようだ。

天使すぎてやっぱり高校生どころか、中学生にも見えない。

小学生でももうちょっとスラっとした子はいるよね、と思うくらい。

ホントに銀髪のお人形さんというか、天使というか。

そういう存在だった。


「よしよし、でも危ないことはやめような」

「ううっ!? 子供扱い止めろっ!?」

「ほら、怖くない」

「あう」


頭を撫でくり撫でくりしたら、黙った。

嘘がバレるのが怖かったんだ、そうに違いない。

しばらく頭を撫でていると、顔を赤くした幼女は突然こちらの顔を見て言った。


「はっ? ひょっとしてお前、まさかこの、え、えっちな気持ちになる匂いで私に対して、その、興奮しているのか!?」

「は? いや、全然」


俺が断言すると、両手を床につけてがっくりと首を落とした。

どうしたんだ、こいつ。

いくら美少女でも小学生相手にえっちな気持ちになるわけないだろ。


「ば、ばかなーっ、この私が作ったムンムンムラムラが全く効かないだとーっ」


なぜか才能に打ちひしがれている模様。

才能ではなく、見た目の問題だぞ。

あと、ムンムンムラムラっていうネーミングもどうかと思う。


「おっかしいなぁ……半分、こぼしたからかー?」


そう言って、椅子に座り直し、脚を組むちびっこ。

む? なぜか上履きを履いていないな……


「ちょ!? なんでお前私の足に顔を突っ込んでるんだ!?」


は?

俺がそんなことをするわけがない。

にしても、靴下というのはこんなに良い匂いがするものだっただろうか。

干したてのバスタオルみたいに、温かくて気持ちのいい肌触りだ。


「足の匂いを嗅ぐな!? へ、変態……」


失礼なやつだな、俺が変態なわけないだろ。

くんくん。


「んああ!? 舐めるなぁ!?」


しょっぱくて美味しい。

特にこの、親指と人差指の間が。


「くっ、零した薬を靴下が吸ったのか……なるほど……足を()むなっ!」


美幼女は靴下を脱ぎ、窓から放り投げた。

靴下を脱ぐ時に、くまさんの描かれた布地が見えた。

ほらみろ、やっぱりがきんちょじゃないかって、そんなことより靴下が!


「さぁ、靴下を追って出て行け、この変態め」


しかしあれほど魅力的だった靴下に、俺はもう興味はなかった。

目に写るのは、ちいさなあんよ。

生足だ、生足、生足、生足、生足、生足。


「うわー、なんで足を触る、なんだその恍惚した表情は!?」


あぁ、生足、生足、生足。

なんて小さくて、すべすべしてるんだ。


「舐めるな、嗅ぐな、味わうな! そうか、薬品の効果が出るのは布ではなくて肌なのか……んあぁ! 実験結果はよくわかったからもう止めてぇ!」


なにかハンカチのようなものを鼻に押し付けられて、俺は気を失った。


うーん。

俺は気づいたら下校中だった。

どうも記憶があやふやな部分があるが……うう、頭が痛い。

しかし、俺が変態だった一連のことは完全に覚えていた。

なぜあんなことをしたんだ……ってどうかんがえてもあの薬品のせいだわ。

あのロリっこ、絶対ヤバイ化学者に違いない。

とんでもない出会いイベントだったな……ってあいつ攻略対象なのか?

どうみても小学生だぞ?

いや、しかしギャルゲーにはそういう需要もあるか……。

そんなことを考えていると家に着いた。


「ただいまー」


リビングに入ると、妹が足に鎧のような防具を装備していた。


なんで俺に起きたことをなんとなくわかってるのか。

そして、なんで薬品のせいだという肝心なことは知ってくれないのか。


やれやれだ。

俺は何も言っていないのに、言い訳をした。



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