表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

356/364

異世界メモリアル【12周目 第26話】


「や、やめろー!」

「いいじゃんか~。ずっとこうしたかったんだよ~」


俺はニコを抱きしめ、頬ずりし、ちゅっちゅして、頭ぐりぐりして、もうとにかく猫可愛がりした。

彼女を攻略したのはなんせ二周目。俺の感覚では30年前のことです。

異世界メモリアルのシステムを理解していなかったので、もう会えないなんて知らなかったし。どこまで許されているのかも知らなかったし。後悔ばかりなんですよ。

髪はショートカットのシルバーブロンド。

肌は真っ白で、瞳はブルー。

唇は紅く、背は低く、胸は皆無。

見た目は北欧の11歳美少女という、理系のロリだ。もうね、むちゃくちゃカワイイんですよ。


「ニコ~、ニコちゃあ~ん」

「や、やめ、やめろー」


抵抗は無駄です。ひ弱極まりないからね。

これがしたくて戦ったんだ、やらせてもらうぜ!


「頭が小学生レベルだと、女性の好みも小学生になるのか」


こんなことを言うのはもちろん沙羅さん。


「俺のことはなんと言おうと構わないが、ニコを子ども扱いするのはやめてもらおう。彼女は立派なレディだ」

「ロト……」

「そうだよね、ニコちゅわ~ん。んちゅ~」

「おい! レディに対する態度じゃないぞ!」


沙羅さんの断崖絶壁の盾(アナグマ)は非常に固い守りらしいが、守れるのは前方のみ。頭上からの攻撃には無力であった。ニコを仲間にするのが必須であったと言えるだろう。

ニコの正確無比な殺人光線(ニコニコ・びーむ)は空から降り注ぐ強力な魔法で、しかも長距離攻撃。つよつよです。弱点としてはニコ自体のスピードが遅いことだろうか。いわゆる行動順が最後になると思ってくれ。

ちなみに、魔法の呼び名はそれぞれ自分で考えてネーミングしているそうです。ニコニコ・びーむって、物騒さと可愛さと頭の良さとアホさが同居している、ニコらしいセンスですね。

アナグマは将棋の囲いの名前だ。穴熊囲いというやつ。将棋好きの沙羅さんらしい。

なお、てんせーちゃんは明朗快活なる(スタートゥインクル)回復の波動(ヒーリングっど)だそうで。ニチアサ~。


「ロトさん、ロリっ子とイチャついてないで次の戦いの準備をしてください」

「痛い、痛い、痛い、痛い!」


実羽さんは非常に嫉妬深い。

沙羅さんは皮肉を言うだけだからいいが、実羽さんはつねってくるぞ。

次の戦略かー。


「沙羅さんは、どう思う?」


将棋が好きってことは、こういう戦略シミュレーションゲームみたいなものも得意なのではないかと考えた。


「選択肢は……江井愛(えいあい)と、次孔律動じあなりずむ、それに寅野真姫とらのまきですか」

「あれっ、古々路野こころの 義朝よしともちゃんは?」

「彼はラスボスです」

「えっ!? 彼!?」

「なにか?」

「いや……」

「彼がラスボスというのは意外だったでしょうか」


そんなことはどうでもいいんだが、義朝(女子)を手ごめにしたかった……なんで男なんだよ……。


「おい、真面目な話してるなら、私のそこかしこを触るのはやめろ」

「やめるわけがない。ニコも触ってくるといいぞ。それで沙羅さん、考えを聞かせて」

江井愛(えいあい)はやめておきましょう」

「なんで~」


あいちゃんは、ニコの次に会っていない女の子だ。むかつくやつだが、悔しいことにめちゃくちゃ可愛い。会いたい。


「彼女の軍は史上最強のロボット軍団です。はっきりいって強い。勝てないでしょう」

「うへー」


あいちゃんがめちゃ強いっていうのは納得なんだよなー。


次孔律動じあなりずむもやめておきましょう」

「なんでよ」


ニコの太ももをすべすべ触りながら文句を言う。ニコの文句は聞かない。


「彼女は情報収集能力に長けたくノ一軍団です。苦戦は必至です」

「うへー」


次孔さんが率いるくノ一軍団。絶対厄介じゃん。


「でも、真姫ちゃんは強いでしょ」

「いえ、彼女には勝てます」

「そうなの?」

「だって、私がいますから」


おお!

すごいドヤ顔だ!


「私の盾があれば、どうということはありません」

「ほーん」


そこまで言い切るなら。

軍師の言う通り、真姫ちゃん軍に攻め込んだ。

こちらの攻撃を待つなんてことはなく、彼女はものすごいスピードで襲ってくる!

ニコの射程距離に入った。


「あ、当たらない……」


ニコが愕然とする。

真姫ちゃんのスピードは異常だ。あれを避けられるなんて尋常じゃない。


「くっ!?」


星乃さんの攻撃もあっさり避けた。


「あら~」


鞠さんの攻撃も駄目。とにかく動きが速すぎる。

真姫ちゃんは、一気にこちらまでやってくる。雑魚に用はないとばかりに。戦力を削ぎに来たニコとは対象的だ。


「こうなることはわかっていました」

「さすが軍師」


沙羅さんは勝ち誇ったように断崖絶壁の盾(アナグマ)を展開。

俺と沙羅さんの周りに、透明に近い緑の魔法壁が現れる。この壁は破壊できないだろう。


「うりゃー!」


真姫ちゃんは高くジャンプ。

あっさり壁を越えた。


「沙羅さん!?」

「飛車だと思ったら、桂馬でしたか……」


沙羅さんはもう投了のようです。なんて頼りがいのある軍師なんだ。


「やばい! 俺はいいけど沙羅さんがやられたらうちの軍はおしまいだ!」

「そうなのか!? いいことを聞いた!」

「えっ!? えっ!?」


真姫ちゃんが、俺ではなく沙羅さんを狙った。無防備に俺に背を向けて。


「今だーっ!」


大きく袈裟斬り!


「すかさず!」


てごめにする!!!

相変わらずけしからんおっぱいしやがって!!!!


「うわ、やめ、やめー。あっ……あー」


真姫ちゃんがアホで助かったぜ。


「ロトさんは大したものですねえ」

「いやいや、軍師の戦略のおかげさ」


俺と沙羅さんは、お互いを笑って称えた。

いやほんと、いいおとりだったよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] すかさずノクターンに持っていって!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ