異世界メモリアル【12周目 第24話】
「ふふふ、やっぱりドジっ子は萌えですね」
来斗さんが仲間になった。
てんせーちゃんは頑張ってぱんつを見せていたが、さっぱり効果はなかった。
不思議に思っていたが、魔法を禁止させておいた鞠さんが、ズッコけて自然にぱんちらしたところ来斗さんはのこのこやってきた。
そこで俺が弱体化させて、見事に捕獲だ。もちろん「レイプされるー!」と大声をあげていたし、レイプはしてない。
てんせーちゃんのわざとらしいぱんちらは、なんか美学に反したらしい。わからなくもない。俺も萎えた。
「ロトさんはなんで、てごめにする(全年齢)なんてするんですか? レイプすればいいのに」
「いや、うーん」
全年齢は俺が望んだことではないが、レイプしたいというのは語弊がある。
なお来斗さんは9周目で攻略した、長い黒髪と黒い瞳、白い肌にほっそりした体型の文系ヒロインだ。見た目は正統派の美少女だが、発言が正統から一番かけ離れていることでおなじみ。
最終的には不意打ちのキスのことをレイプと呼ぶことにして、レイプをしまくるエンディングを迎えている。
しかしこの世界で会う彼女たちは、当然その攻略したときの記憶を持っているわけではない。だからその時の設定のレイプという意味ではないのだ。
ところがまったく何も知らないというわけでもないようで。
「セクハラとかレイプとかロトさんは大好きだったような……そんな気がします」
「……」
俺はよく覚えているから、胸に来るものがある。
「レイプなんてしちゃ駄目にゃん!」
「いや、しないよ、てんせーちゃん」
「どういうことにゃん」
「それよりなんでいきなり猫っぽくなったの」
「んー。なんかロトにゃんとはこうしてたような気がするにゃん」
そう言って、猫の手で肩を撫でてくるてんせーちゃん。
これはてんせーちゃんとエンディングを迎えたときにしていたやり取りだ。なんとなーく前世の記憶的に知ってるような気がする、らしい。
具体的に何か覚えているわけではないが、俺のことをまったく知らないとは思えないんだとさ。なんじゃそりゃと思わなくもないが、ファンディスクとかスピンオフのゲームみたいな感じでそれほど違和感なし。つまりはいただきストリートに出てくるフローラやゼシカと思えばヨシ!
「ロトさん、魔法はロトさんが方向を指示してくれれば上手にできる気がします。なんとなく」
「ああ……なるほどね」
鞠さんとは一緒にゴルフをしていたからね……。天然でドジではあるが、器用だし能力は高い。それが彼女だ。上手に扱えば戦力になるのかな。
「さて、次はどうする、ロト!?」
「どうするとは?」
突然選択肢のない質問が登場しましても?
「ここまでは序盤だから……じゃないや、攻め込む場所が決まってたからな!」
「なんか気になること言ったけど、まあいいや」
「ほら、公孫瓚を倒すしか無い的な!」
「劉備でスタートしたときで説明なんすね。黄巾党がいなくなった頃の年代の」
光栄の三国志で説明したらわかりやすいと考えているのはどうなのか。
俺はわからなくもないけれども。
「もしくは今川を倒すしか無い的な!」
「いや信長だったら斎藤道三攻めるだろ」
野望で説明しても、別にわかりやすくないぞ。
「そんなわけで武田と北条、どちらから攻めようか!?」
「いや、例えなくていいから」
「最強の騎馬隊と難攻不落の城……どちらも強敵だな!?」
「そう言われても実際は違うんだろ? いいから普通に教えてよ」
「ニコ・ラテスラか、望比都沙羅なんだが!?」
「そう言ってくれたほうがわかりやすいんだが!?」
「数学を使用した正確無比な長距離砲撃魔法を使うニコと、鉄壁の魔法壁を扱う沙羅だが?!」
「最初からそれでいいんだが!?」
こんな完璧に説明できるのに、なんでムリに光栄っぽくした!?
しかし、ふーむ。そうねえ。
「ニコだな」
「ほう、なんで!? やはり魔法壁はやっかいと考えたか!?」
「そんなのニコに会いたいからに決まってるだろ! 最初にクリアしたから過ごした時間が短いんだよ! また会いたいの!」
正直恨んでいることのひとつ。
ニコに二度と会えないとわかっていたら、最初に攻略などしなかっただろう。
「あー。そういやロトはロリコンだったな!?」
「ロトにゃん、ロリコンにゃん!」
「わ~。ロトさんはロリコンだったんですね~」
「やはりランドセルを背負うかな」
こいつら……。
「こらー! そういうことじゃない! 俺のことはロリコンと言っていいが、ニコをロリというのは許さないぞ!?」
「なにそれ」
「なんかカッコいい雰囲気出してるけどそうでもない」
「わたしのことはロリと呼んでもいいけど」
くっ、好き放題言いやがって。
あと実羽さんにロリはムリ。
「ニコはデートのときに年齢が選べるという最強仕様なんだから、ロリじゃないの!」
「すご」
「なにそれ」
「ロリコンの夢じゃん」
そうなんですよねえ……いやいや、違いますよ?
ニコ・ラテスラは最初にクリアした女の子。最も懐かしい思い出の相手。
本当に会いたい人なんだ……。
そんな、会いたい人に会えるというイベントだと思ってしまった俺は、それまでの、序盤の戦いとはまるで違う状況に陥った。




