表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

353/364

異世界メモリアル【12周目 第23話】


チュートリアルにふさわしい弱さだったのが、画領天星(がりょうてんせい)

彼女とエンディングを迎えたのは8周目だった。

BLをこよなく愛する腐女子であり、イラストや漫画がとても得意な芸術系ヒロイン。

顔は丸くて目が大きくてクリクリとしている。いわゆるたぬき顔。大きくて丸いメガネが特徴的だ。

胸はかなり大きく、ぱふぱふをしてくれた思い出が蘇る。

非常にノリのいい性格で、明るく楽しくグラマーなオタクである。


「ロト氏~」

「お、おう」


てんせーちゃんは、基本的に距離が近い。

スキあらば腕を取ってくる。


「また、てごめにしてよ、ロト氏~」

「や、俺は、ほら、イーナちゃんがね」

「それはそれ、これはこれ。いいじゃん、拙者は気にしないよ~」


うん。

てんせーちゃんらしい。とてもいい女です。が。

正直なところ、イーナちゃんよりも問題があるのよ。

俺はてんせーちゃんの耳に口を寄せる。


「あそこで、睨んでるこわーいお姉さんがいるでしょ」

「ああ。貧乳ヤンキーこと実羽映子でござるか」

「だれが貧乳ヤンキーですか!?」

「てんせーちゃん、聞こえちゃってるじゃん」

「拙者は気にしませんぞ」

「気にしてくれ!」


こんな感じでまたしても時は過ぎ……。


「さて、第二戦だなロト!」

「始まっちゃったよ」


全然説明聞けてないんですよ。

チュートリアルと同じで大丈夫なの?

てんせーちゃんだったから勝てたようなものの。


「次が誰かわかるの?」

「二戦目は庵斗和音鞠あんとわねまりだ!」

「じゃあ楽勝だ!」


鞠さん。五周目でクリアした非常に美しい女性だ。

美しく長い金髪をなびかせ、きゅっと絞まった細い腰に、雪のように白い肌。

すらりと長い美脚。全女子が憧れるような美女だが、致命的な欠点がある。


ずどどどどどーん!


「あ、まちがえちゃったぁ~」


彼女は超がつくほどの天然、ドジっ子である。

これほどキレイなフレンドリーファイヤーを見たことがない。

鞠さんは前衛の味方に隕石を降らせて全滅させた。いわゆるメテオ。怖すぎる……。

実羽さんは後衛を倒しに行った。星乃さんと鞠さんの元へ。てんせーちゃんはオレが置いてきた。ハッキリ言ってこの戦いにはついてこれそうもない。


「さて、ロト、弱らせる魔法があるから。真似して!」

「あるのかよ」


なんでてんせーちゃんには剣でツンツンさせたのさ。


「こう構えて、こう!」

「ああ、破邪剣征桜花放神だね」


わかりやすい動きなのですぐに習得。

おろおろしているだけの鞠さんに向けて剣を構える。


「はじゃけんせい……おうか! ほーしーん!」

「きゃー!」

「よし! これですっごくだるくなって、スタン状態になる!」


ぺたんと座り込む鞠さん。地味だな。剣からエネルギーがほとばしると思ったが、見た目はなんもなし。相手は隕石を降り注がせているというのに。


「俺は完全に捕獲要員なんだねえ」

「さ、ゲットだぜ!」

「ほいよ」


剣の紋章を押す。

いともたやすく行われる魔法紐によるバインド。

よっしゃ、てごめにする(全年齢版)ぜ。


「ふー」


やってやったぜ。

鞠さん、やっぱいい女だぜ……。


「よしよし、さすがロト!」

「まあ、てんせーちゃんと鞠さんは余裕だな」


序盤にふさわしい相手でしたね。

この調子で領地を支配していけばいいのか。

しかし真姫ちゃんとかだったら勝てる気がしない。沙羅さんにも勝てる気がしない。


「次のボスが誰かわかるの、星乃さん」

「次は、来斗述(らいとのべる)だな!」

「なるほど! じゃあ、星乃さんと実羽さんはミニスカートを履いて、ぱんつを見せながら戦う作戦で行こう!」


ドカ! バキ! グシャ!


……二人からボコボコにされた……。いたって真面目に考えているのに。

来斗さんは俺よりも女子のぱんちらを愛している女子ですよ?


「だ、だって、ぐふっ……来斗さんを倒すならお色気作戦しかないって」

「そんなの画領天星にやらせればいいだろ! それくらいならできる!」

「ええ……」


なかなか辛辣な意見ですね星乃さん。役に立たないから色気出せって、昭和のセクハラ上司の発想だよ?


「そうだそうだ」


実羽さんもあっさり乗っかるんですね。根はいい人なんですけどね。


「そうですよ」


鞠さんも賛成しちゃうんですね。天然だからしょうがないか。


「確かに!」

「えー!? てんせーちゃんも納得なの!?」


さすがに嫌がってもいいんですよ?

ひどい話ですよ?


「いや、この中でセクシーなのは拙者だけですし」


おっ?

ポジティブ?


「庵斗和音殿はあれ、モデルみたいって言えば褒め言葉かもしれませんが、結構ガリガリだし、ぶっちゃけ男にはウケないタイプ。来斗殿にもウケないでしょうなあ」

「あー」


確かに。

美人ではあるが、なんかエロさはあんまないかも。要するに女の子向けの雑誌に出てくるタイプであり、男子向けのグラビアには出て来ないタイプ。


「実羽殿はねえ? サンダルとジャージで深夜の激安ディスカウントストアを徘徊している感じ。ぱんつが見えても大して嬉しくないでしょうなあ」

「あー」


いるよね、いるいる。

ダルそうに髪をボリボリさせながら、ふぁ~っとあくびしてる姿が目に浮かぶぜ。


「星乃殿は男みたいっていうか、ゴリラみたいなもんですしおすし」

「あー」


言われてみればそうかもな。普段は恥じらいとか皆無だし。

こんな堂々と腕組み仁王立ちでぱんちらしたからって、なんにもなんないかも。


「その点、拙者はグラマーでコケティッシュですからな」

「確かにそうだよな。エロい体してるよね」

「そんなわけで、ひと肌脱ぎますぞ」

「ありがとう、てんせーちゃん。てんせーちゃんがエロ可愛くて助かったよ」

「ふふん、まあね~」


いやーよかったよかった。

これで全部丸くおさまったね。

そう思っていたのだが、なにやら不穏な空気が……。


「「「あーじゃ、ない!!!」」」


ドカ! バキ! グシャ! ズガッ! ドゴッ! ピシャーン! ガン! ガン! ゴン!


なぜかてんせーちゃん以外の三人から、とてもじゃないが行動できないくらいのダメージを受け、俺たちはその場で二泊することとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ