表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

342/364

異世界メモリアル【12周目 第12話】


天空の花嫁。

誰もがこの二択、世代によっては三択……に迷わされてきた。と思う。

だが俺は迷うことなくルドマンを選んだ。「なに? ワシを選ぶのか?」とか言われたと思う。

もちろん俺はルドマンが好きな訳では無い。

シナリオをしゃぶりつくしたいからだ。すんなりクリアしてしまったら、寄り道のシナリオを知らないままクリアしてしまう。

クリアしてから、やり込むタイプもいると思うが、俺はできるだけ寄り道をしてプレイするタイプ。

さて、ルドマンは選べるわけがないと思ったが、実はフローラも選べないと思って選んだ。

子供の頃のエピソードがフローラもあるならわかるのよ。

ビアンカだけ、幼少期を過ごしてるわけで。

だから、結局ビアンカになるんだろ、と思いながら選んだ。

驚いたね。

本当に結婚するとはね。

とはいえ、リセットなんてしません。

フローラはとても素晴らしい女性でしたよ。いたストに出てきたときは、非常に腹黒い人でしたが。それも良しです。

だから、ビアンカを選ばないやつは人間じゃない派と口論になるときは、微妙な立場ですよ。

選ぶことができないと思って選んでるからね。

そんな俺でも()()()がクリアできないと知ったときは愕然としたものです。

妹だからクリアできないってなんだよ。12人の妹を誰でもクリアできる方がよっぽどまともと言えよう。

実は血がつながっていませんでしたって、それでいいじゃないの。

ファンディスクで、もし妹じゃなかったらのifエピソード追加すりゃいいじゃないの。

そういうのは許せないタイプだ。

だからこそ、今目の前にいるのえみさんを諦めない。絶対にだ。名前すらわからなくても、俺はあらがってみせる。たとえ相手が、この世界そのものだろうと、神だろうとだ。


「そんなわけで、のえみさん」

「何度も言うように、のえみという名前ではないのですが」


そういうなら教えてくれてもいいだろうと思うが、どうしても教えてくれない。のえみさんのせいではないのだろう。教えられないシステムか、それとも名前がそもそも無いか……。

のえみさんは別にサイドポニーテールではなく、灰色がかった銀色のロングヘアーだ。

元気な妹キャラでもない。普通の耳をしたエルフの女王という感じだ。目は切れ長で、まつげは長く、肌が白くて、すらっと細長いスタイルをしている。

モブなのに素敵過ぎる。

いや、モブだからこそ素敵なのかもしれない。

攻略できないと思っていたときの、フローラのように。

改めて、俺は彼女に伝えたい。この思いを。


「キスしてもいいですか」

「えっ……」


頬を染めるのえみ。

嫌ではなさそうだ。

俺はルックスが低い。

それでも、彼女はきっと……。きっと……。


「もうちょっとカッコよくなってからならいいですよ」

「なんて正直な!?」


ルックスいるのかよ!

ここはしてくれる流れだろう。


「いくら命の恩人といえど、さすがに……」

「命の恩人でもキスは無理なルックスでしたか」


命の恩人補正があっても無理なんですって。そこまでか?

そこはどうしようもなくこの世界なんだな。ステータスは必要なんですよ。たとえそれがモブでもね。

しかし、なんだかむしろワクワクするな。

なぜか。

それは親密度がわからないからだ。

俺は今まで、相手がどう思っているかわからないということがなかったわけで。

もうデートに誘ってもいいか、キスしてもいいのか、大体わかっていたわけで。

今は彼女の気持ちがわからない。

命の恩人だとしても、キスしたくないと思ってるらしい。

でも、逆に言えば、ルックスさえまともになればキスしてもいいと思ってるようで。

それが本心かどうかはわからないけれど。

いいじゃん。

親密度がわからない。大変結構だ。ワクワクするぜ。

見るまでもなく俺のことを大好きなんて、そんなの少しも面白くない。


「よし、カッコよくなるぞ。カッコよくなって、絶対にキスしてもらう」


これほどの決意。久しぶりだ。

握りこぶしを見ながら、のえみは「それ、全然カッコよくないですよ、ふふふ」と笑った。

そもそもこの世界、キスを超えることはできない。背中におっぱいが当たるとかはあるけど、それ以上はどうしてもできない仕組みとなっています。

だから。

もし、キスができるのなら。

それは攻略ヒロインとモブヒロインの何が違うというんだろうね。


「さて、どうやってカッコよくなるか」


ヨガですかね?

美顔ローラーですかね?


「まず短足をどうにかしましょう」


短足……そこか……今までそれはなかったな……。


「どうにかなるのかな」

「手術で」

「手術なのね!?」

「次に鼻と目」

「手術ですかね?」

「あと歯」

「歯医者ですね?」


この世界において美容とは外科であった。

ところがこの学園においてお金を得る手段はない。


「どうしたら施術してもらえるのかな」

「さあ……わたしには必要ないものなので……」


わからないってさ。

本来こういうのって舞衣に聞くことだもんな。攻略相手に聞くことじゃないのよ。攻略できなくてもそうだよな。


「訪ねてくるよ」

「いってらっしゃい。カッコよくなってきてくださいね」

「頑張ってくる」


美容室に行く前の夫婦の会話みたいだな……と思いながら出かけた。


「あのー、脚を長くして欲しいのですが」

「え? その顔で?」


エラい言われようだった。

冗談は顔だけにしろってやつですか。


「顔もなんとかして欲しいです」


素直にブサイクを認めるぜ。

というか別にブサイクだと俺は思わないが、周りの連中はみんな顔が濃いからね。この白衣の男も顔が濃い。


「そうか……かわいそうに」


同情するなら手術してくれ。


「どうしたらこれほどの顔に生まれるのか……やりがいがあるなあ」


あんたいつも客にこんなカンジなの? 結構失礼だよ?


「なんとかしてあげたいんだが、実は手術に必要な麻酔がなくてね」

「なるほど」


わかりやすいクエストだ。

麻酔を手に入れることで、手術をしてもらうのだろう。


「痛さで死ぬかもしれないが、それでもいいならやってあげよう」

「なんでだよ。やだよ」

「じゃあ、麻酔と交換でもいいよ」

「なんで残念そうなんだよ」


普通に麻酔と交換でいいだろ。なんで一回変な選択肢出したの。

俺は関羽じゃないので麻酔無しで手術をしても平気とか無いんですよ。この世界、痛みはガチなんですよ。

こうして俺は、麻酔を得るためのお使いクエストに出かけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 麻酔なかったら絶対手術失敗するだろ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ