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異世界メモリアル【11周目 第23話】


ボーイッシュ。

男性的な女性。

割合でいえば、男が八割。女が二割。

親密度が低い義朝はそんな感じ。


ユニセックス。中性的。

例えば、女性役もこなせる女形の役者だったり、男装の麗人のようなスター。

割合でいえば、男が五割。女が五割。

お墓参り以降、義朝はそういう感じになるかもと思っていた。


「ロト―!」

「おー」


両手をぶんぶんと振りながら小走りで近づいてくる義朝。


「ほら、どうだどうだ」


くるりんと短いスカートを翻してターン。

夏の日差しを浴びた太ももが眩しい。


「太ももがエロい」

「それな! わかるわー。やっぱそう思うかー。自分でもそう思ってたー」


俺の顔に指差しながら、バンバンと肩を叩く義朝。

リアクションが完全に男。

というか、太ももがエロい女を見つけたときに盛り上がる悪友って感じだ。

いきなり服を褒めると照れちゃうから、一旦こういう軽めのジャブが必要。


「あと、白くて爽やかなワンピースが似合っててめちゃくちゃかわいい」

「あ、うん……あんがと」


下を向いて恥じらい、上目遣いで俺を見る義朝。

リアクションが完全に女。

というか、いままで登場した誰よりもギャルゲーのキャラっぽい。

もしここで服を褒めないと怒り出すからな。


「じゃ、行きますか」

「おう! エスコートしろよロト!」


義朝は、ボーイッシュとか中性的とかそんなもんじゃあなかった。

完全に男だし、完全に女でもある。

割合でいえば、男も十割。女も十割。

義朝はなかなかわかりにくかったが、わかってしまえば単純だった。

どっちかではなく、どっちでもある。

つまり、どっちかだと思って接してはいけない。


「いやー、しかしプールとはな」

「義朝の水着が見たいからな」

「部活で散々見ただろ~?」

「まあ、確かに。布地の面積が少なくてエロいっちゃエロい」

「そんなふうに見てるから弱いんだよ!」

「ただ、あれは競技用だからやっぱ可愛くはないじゃん。可愛い水着の義朝が見たいんだよ」

「そ、そっか……へへ」


こんな感じだ!

パターンわかったよ、パターン!


「じゃ、期待しないで待っててくれ」

「期待して待ってるぜ」


さっさと着替えて、更衣室の出口で待つ。

この時間は、何度味わっても飽きることはないな。


「おまたせ」

「うわー、むちゃくちゃ可愛い~」

「へへへ」


白とピンクのビキニだった。むちゃくちゃ女の子っぽいし、キュートな印象の水着とダイナマイトボディが最高だ。マリアージュというか、ケミストリーというか。相乗効果ってやつ。


「髪型もいいな」

「そう?」


水着姿で、髪をアップにしてるのは新鮮だった。

部活のときは水泳帽だったし。

やはり溺道は所詮スポーツよ。デートの水着とは違うな。


「この水着だと、部活のときほど胸は揺れないのかな」

「どうかな。うりゃ」

「ふむ……もうちょっと動いてくれ」

「こうか?」

「ふーむ。もうちょっと」

「うりゃうりゃ~、ってお前、おっぱいみたいだけだろ!」

「バレた!」

「このスケベ!」

「そうですがなにか?」

「ったく~!」


ぷんぷんと怒ってるようにずんずん勝手にプールの方に行ってしまう義朝。

これは照れてるからしてるポーズであって、本当は怒っていないのです。


「とりあえず、このウォータースライダーは外せないな」

「そうだな」


やっぱり怒っていない。

むしろウォータースライダーが楽しみすぎるのが伝わってくる。

螺旋階段に裸足で並ぶ。前に義朝がいる状態だ。胸もいいけど、お尻もいいねえ……。


「これ滑ったら、ボート借りて流れるプールでのんびりするか」

「いいねえ」

「その後は、水鉄砲で対戦だ」

「負けないぜ」

「ご飯は……サンドイッチ作ってきた」

「義朝が!?」

「あ、お前、俺が料理できないと思ってんだろ!?」

「いや、そうじゃなくて。嬉しすぎてビックリというか」

「ん、んー。そうか……そんなに嬉しいのか~。へ~」


うーん。かわいい。

それにしても、義朝はいつにもまして上機嫌に見える。


「義朝って、プールが好きなのか?」

「え? なんで?」

「いつにもまして楽しそうだから」


気軽に。

本当に軽い質問だと思っていた。


「ああ……そうだな。俺、プール初めてだから」

「……初めて? え?」


そんなわけ……ああ。


「こういう遊園地のプールは初めてってことか」


そりゃそうだな。

市民プールとかしか知らないと、こういうの興奮するよね。


「いや……プールも海も行ったことないんだ。まともに泳げない」

「え? は? え?」


だって、部活は溺道だよ?

散々プールに入ってたんですよ?


「うん……だから溺道以外でプールに入ったこと無いし、立ち泳ぎみたいなので移動はできるけど、いわゆる水泳はできないんだ。ジュニアの溺道は足がつく小さなプールでやるし」

「ええ~!?」


爆弾発言だった。


「溺道は泳げなくてもできるぜ。だって溺れるか溺れさせるかだけだからな」

「いや、まあ、そうだけど」


それにしたって。


「泳げない人間がプールに入るのって恐怖すぎるだろ」

「絶対溺れたくないから、強くなるんだよ」

「マジかよ……」


なんというハングリー精神。

強いわけだぜ。


「にしてもなんで……」

「おっ、ロト。順番が来たぜ。俺、後ろな」

「俺が前なの!?」


二人乗りのゴムボートの前に乗る。ほとんどのカップルは男が後ろなんですけど?


「よいしょっと」

「おお……」


後ろから抱きついてくる義朝……当然背中には胸が当たる……前で正解だ!


「ひゃっほー!」

「ひゃっはー!」


その後、水上アスレチックや流れるプールなど、ひとしきり遊び倒した。

それにしても、まったくプールに入ったことがないというのは一体……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] tsキャラって通常ヒロインよりもヒロイン力増えるよなぁ tsは良い……
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