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異世界メモリアル【11周目 第17話】


クリスマスも年末年始も、女装メイド喫茶のバイトに費やした。お金というより、バランスの良いステータスにするため。

冬休みは温水プールで部活動。こちらはむしろ、ステータス向上が目的なのではなく、なるべく義朝と過ごせる時間は増やしたいからだ。

属性の『色男』を保有していた頃は、ひっきりなしにデートのお誘いがあったわけだが、ハードモードで『TS』以外持っていない今の俺は、誘わなければデートはできない。

しかしながらただでさえ、休日は部活動に勤しむ義朝。なかなか誘う機会が少ない上に、デートの誘いの成功率は低い結果となっていた。

親密度は悪くないのだが、どうしてなのかわからない。

さらにいえば、義朝の親密度はなにが重要なのかもわからない。

俺は今、状態異常を回避するためだけに行動しているという状況。防戦一方だ。二年の三学期ともなると、義朝を攻略するための攻撃態勢に入る必要がある。

俺は相談相手そのイチ、実羽映子を一番どうでもいいデートスポット、近所の公園に呼び出した。


「どうしたらいいんでしょうか」

「うんうん。苦労してるようで、大変結構です」


満足そうだった。俺はもちろん不満。

すでに次の周回での苦労が見えるようだ。つらい。

とはいえ、実羽さんのようにどうすれば攻略できるのか明確なのは助かる。

義朝はさっぱりわからん。

ぶっちゃけ、俺は『TS』を手に入れた時点で攻略できたのかと思っていた。

特にステータスや、特殊なイベントは必要ないと。『TS』こそが条件だと。

しかし星乃さんの情報でわかった、実は義朝は前世で女の子……厳密にいうと女性の体で生まれた人、ということになるが……。

性格や言動は完全に男だった頃と何も変わらない。

つまり、中身は男性ということであれば、義朝は俺のような男を恋愛対象にしていない、ということすらありえるわけだ。なにそのギャルゲー。

この世界においては義朝こそが女の子情報を教えてくれる立ち位置なのだが、その義朝の情報を得るにはどうしたらいいのか。

俺は次のプレイをハードモードにすることを条件に、実羽さんと星乃さんから情報を得るためのデートをすることになっていた。


「義朝のこと、なにかわかりました?」

「誰かと付き合ったことはないようですね。男性とも、女性とも」

「うん。まあ。はい。確かに重要なポイントではありますね」


ギャルゲーの友人ポジで女の子にモテまくる、というキャラもいたが。普通は誰かと付き合ったりしない。

そしてギャルゲーの攻略対象がすでに誰かと付き合ってるパターンは聞いたことがない。それはこの世界の女の子も同様。

なので考えたこともなかったが、確かにありえない話ではないな。

女の子とお付き合いしている女の子を攻略するギャルゲー……新しいかもしれない。


「他には」

「……胸がどんどん大きくなってます」

「あ、はい。それはわかってます」


スリーサイズの情報も教えてくれるのが義朝。だから義朝のスリーサイズはわからない。だが、はっきりいって見ればわかる。


「……」

「部活で死ぬほど見てるので」

「……」


そんな突き刺すような目で睨まれましても。自分が言い出したんじゃないですか。

それに溺道で胸を見ないで闘うとか無理だから。


「他にないですか」

「好きな女性のタイプはわたしだそうです」

「……? 嘘っすね?」

「ちょ! 失礼なんだけど!?」

「いや、絶対違うでしょ……」


ニコとか舞衣が好きなんだぞあいつは。

ニコや舞衣が大好きで、実羽さんも大好きなんてことは……あるか。俺だ。


「まさかストレートに好きな女性のタイプは? って聞いたら実羽さんかなー、って言ったとかじゃないでしょうね」

「……そうですけど?」


いやいや。

それ社交辞令だから。

嘘ではないかもしれないが、真実でもない。


「はー。じゃあ、俺にも聞いてみてくださいよ」

「へ? ロトさんの好きな女性のタイプは?」

「あなたです。実羽さん」


つまり、こういうこと。

真に受ける人はおるまい。


「えっ!? あっ!? えっ!? ええ~っ!!」


こっちがびっくりするくらい驚いていた。

おいおい。

チョロすぎるのでは?


「ええ~っ……そうだったんだ……ふぁ~っ。全然選ばれないからタイプじゃないんだと思ってた……」


……攻略が遅いことを気にしていたようだ……。

確かに実羽さんは変なことしないで、今のままで居て欲しいというようなことは言ったことがあるが、俺の好みのタイプだと言ったことはない。

というか、もはや好みのタイプなどないと言っていい。

俺は今まで攻略した女の子たちを心から好きだし、全員タイプだと胸を張って言える。

だから、実羽さんもタイプとも言えるし、そうでないとも言える。


「そっかー。そうだったんだー。へへへへ」


胸が痛い。

別に嘘をついたというわけでもないのだが、いくらなんでもここまで喜ばれてしまうと、罪を感じざるを得ない。

同時に、ものすごく嬉しそうにしている様子を見ていると、愛おしさも溢れそうだ。


「ところで、義朝の好きな男性のタイプなんだけど……」

「え? んー。ロトさんじゃない?」

「ほんとに?」

「いやー。ほら。女の子はみんなロトさんがタイプだと思うよ。うん」


……ふー。

残念ながら、俺はそこまでチョロくはない。

そしてこの日、実羽さんから有効な情報を手に入れられることはなかった。

「いいね」が実装されたそうで!

押してください!(どストレート)



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[良い点] この作品常時いいねなんで 毎回押さんとあかんやつかこれ
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