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異世界メモリアル【11周目 第14話】


この状態異常『ムショ帰り』の影響だが、丸坊主になってしまったために容姿が下がることと、セリフが二つしか言えないことだけだった。

正直なところ、助かった。

あまりにも『女性差別』はひどすぎたからな。

強制労働されたにも関わらず、感謝しているほど。

二度とならないように、ステータスは平均的に。特に料理は怠らず。

地道にステータスを上げていこう。


「お兄ちゃん、今日もお料理するの?」

「……すいやせん」

「いやいや、いいんだけど。全然いいんだけど」

「……すいやせん」

「包丁はまだ使えないんだね」

「……不器用ですから」

「しょ、しょうがないよね。でも大きめの具材も歯ごたえがあっていいよね」

「……すいやせん」


こうして料理を頑張る。

部活も頑張る。


「ロト、今日も撮影か。二年生になっても変わらないなあ」

「……不器用ですから」

「あんまりえっちな写真撮るなよ」

「……すいやせん」

「溺道の方はまだやらないのか?」

「……不器用ですから」

「ま、まあ、学校も少し来れなかったわけだし、焦らずに」

「……すいやせん」


こうして撮影による芸術向上を頑張る。運動能力は強制労働で結構上がったからね。

勉強も頑張りますとも。


「ロトさん、二年生でも補修の方はさせてもらいます、夜露死苦!」

「……すいやせん」

「まだ小学生の内容が終わってないんだね」

「……不器用ですから」

「まずはとにかく教科書が読めることを最優先」

「……すいやせん」

「部活もいいけど、もっと補修に来れないの?」

「……不器用ですから」

「そ、そう……」


こうして実羽さんとの補修も順調だった。

そう、順調だったのです。この「……すいやせん」と「……不器用ですから」以外の言葉が口から出せないのに。とんでもない縛りだと思いきや、むしろ選択肢をミスらないという。

こうして二年生の一学期が終了し、夏休みに突入することとなった。

一年生の二学期時点からの比較となるステータスが下記になる。


【ステータス】

―――――――――――――――――――――――――――――

文系学力 152(+95)

理系学力 103(+48)

運動能力 219(+99)

容姿   42(+12) ムショ帰り-30

芸術   129(+40)

料理   53(+53)

―――――――――――――――――――――――――――――


これからの方針としても料理と容姿。次に文系学力、の順番に重要だろう。

学力向上は二学期でいいことにして、料理と容姿が向上するバイトを夏にするべきだ。

なお、親密度もそこまで悪くない。


【親密度】

―――――――――――――――――――――――――――――

実羽映子(じつわ えいこ)     [カプチーノくらい好き]

古々路野こころの 義朝よしとも  [スイカのアイスキャンデーくらいアリ]

―――――――――――――――――――――――――――――


妹の舞衣はもちろんだが、義朝、実羽さんも『ムショ帰り』に関してまったくマイナスの効果がなかった。

なんなら実羽さんについてはプラス評価のような気がする。やっぱりヤンチャな人が好きなんですかね?

この状態異常が今までに攻略してきた女の子たちだったらどうか、と考えてみる。


まぁ、来斗さんだけはわかる。レイプ犯扱いしてくるから大変。それだけは目に浮かぶ。レイプ犯扱いされてるのに「……すいやせん」と「……不器用ですから」以外返事できないの地獄だろ。

あとは、沙羅さんならキツめの皮肉を言われるとか。あいちゃんは、より一層めんどくさくなりそう。

他は……鞠さんとか、真姫ちゃん、ニコは気にしなさそう。てんせーちゃんも、そこをどうこう言ってくる感じはないかな。せいぜい受刑者同志のBLだの看守とのBLだの言われるくらいだろう。

次孔さん……は想像すらしたくないな……そもそも次孔さんが存在する世界で『女性差別』になるなどゾッとするどころではない。こわっ。次孔さんこわっ。

とりあえずこのハードモードではこの二人しか登場していないことに、軽く感謝しつつ。

夏休みに行うバイトを紹介してもらおう。


「それでは、料理と容姿が向上するアルバイト、舞衣ベストすり~!」


……前回それで俺は地下強制労働施設行きになってるんですけど?

というセリフが少し出そうになったが、なんとか堪えた。うん、舞衣はね、悪くないよ。うん。


1.いけ麺屋「翔」

2.コンセプトカフェ「牡奴隷」

3.女装メイド喫茶「路面のメイドガイ」


「……すいやせん」

「あ、うん。ちゃんと説明するね」


舞衣がこれだけでわかってくれて助かる……。


「1はね、ラーメンとつけ麺を出すお店だけど、見た目で値段が変わるシステム」

「……すいやせん」

「食券を買うときに調理する人の指名をするんだって。写真氏名と本指名があって、人気があると値段が上がるから味より顔らしいよ」


なんじゃその店は。

ラーメンなんて誰が作ったって別にいいよ。

とはいえ、仮に可愛い女の子が握ってくれるお寿司屋さんがあったら、顔で選びそうな気もするが。


「続いて2ね。こちらはお客様が女性限定で、お嬢様として来店する設定のお店だって。店員は下着だけのみすぼらしい格好ながらも、なんとか見初められて奴隷として購入してもらうようにご奉仕する……という斬新なコンセプトのカフェとなっております。らしいよ」


なんじゃその店は。

カフェってのは落ち着く場所では? 絶対落ち着かないよね?

とはいえ、仮に可愛い女の子が奴隷みたいに働いてるカフェがあったら、行ってみたい気もするが。


「3は、女装してメイドさんになる喫茶店だね。調理メインだけど、提供もするみたい」


なんじゃその店は。

って嘘です。知ってます。よ~く知ってます。

そして、俺は3本指を立てました。


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