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異世界メモリアル【11周目 第2話】


「舞衣、死ぬバイトを頼む」

「ええ~」


そりゃそうだろ。

こんなのリセットボタン即押し案件だろ。


入学式に参加するどころか、家に帰るだけで死にものぐるいだった。

舞衣は疲労困憊で帰ってきた俺をねぎらってはくれたが、露骨に顔をしかめていた。きっと俺がブサイクだからだろう。つらい。哀れみしか感じない。

温かいお風呂と、おいしい食事と、可愛い妹が家にいるというのに、幸せを感じないとか末期にもほどがある。死ぬしか無い。

幸福っていうのは環境だけで決まるものじゃないことがよくわかる。自分がなんにも出来ない、自信のない存在だったら、生きる希望がないんだよ。


「いいんだ、俺は死にたいんだ。何も言わずにバイトを斡旋して欲しい。なんかあるだろ、絶対死ぬ薬の治験とか」

「絶対死ぬ薬の治験のバイトなんてやったら犯罪だよ……悪の組織だよ……」

「そりゃそうか……じゃ、あれだ、影武者的な」

「影武者が必要な要人は、見た目がいい人ばっかりだから……」


くっ……。

死にたい。

ますます死にたい。

早く死にたい、一刻も早く死にたい。


「なんでもいいから死ぬバイトさせてくれ……」

「というか、字が読めなくて、時計もわからなくて、常識もなく、まともに歩けない人にバイトは無理だよ……」

「……」


ほんとだな。

国が保護した方がいいレベルだわ。

よくもまあ学校に通う設定が通るよね。無理だろ。幼稚園児よりスペック低いんだよ。

だから死にたいのに。


「お兄ちゃん、力のつくものを料理するから、まずは学校に通えるようにトレーニングしよう」

「うん……」


筋トレしないと死ぬことすらできないとは。死ぬためには勉強したり努力がいるのだ。なんてこった。

なお、この世界で交通事故などはどうやってもおきない。

部活など、死ぬほどの思いをすることはあるが、それではおそらく死ねない。

俺の知る限り、死ねるのはバイトだけだ。

死ぬために頑張って筋トレするか……。


「がんばれ~、お兄ちゃん」

「うん」


久しぶりだな、膝をついて腕立て伏せするのも……普通に腕立て伏せをするだけの筋力がないんだよ。

そういえば今回は舞衣は久しぶりに妹だった。幼なじみで同じ年齢ではなく、二歳年下の妹。

『年齢変更』が無いからか……と思ったが、その属性を手に入れる前に幼なじみになっていた気がする。

よくわからないが、今回は相当お世話になることは確実だ。本当に久々に妹無しでは生きていけない。


「今日も学校行かないの?」

「行かないというか、行けないんだよな」


一週間筋トレばっかりしているが、まだまだ運動能力が不足していた。

現状で学校に通うとしたら、夜中に出発して何もわからない授業を受けて、下校してきたらまた夜中。

割に合わなすぎる。

まずは体力を手に入れるのが大事だろう。


「そっか……そうだよね」


なんか意味深だなと思ったが、あまり気にしてもしょうがない。

食って、運動して寝ることにした。

で、翌日。


「なんじゃこりゃワレェ!?」


久しぶりに洗面台の鏡でびっくりした。

茶髪のリーゼントだったからだ。熱血硬派的な。

しかもなんか勝手に口調が変わっている。


「どうしたの、お兄ちゃん」

「どうしたもこうしたもあるかいボケェ!」

「わーん! 怖いよお兄ちゃん」

「す、すまねえな、このアマ!」

「あ~、これが状態異常のヤンキーなんだね」

「やっぱそうかこのタコ!」

「タコって……」

「思ってないけど言っちゃうんだよ、このビッチが!」

「……」


舞衣がビッチなわけがないが、勝手に言っちゃうんだよ!

確かにヤンキーなどの状態異常になりやすくなるって言ってたけども。こんなに早く知ることになるとは。


「学校を休みすぎて不良になっちゃったんだね」

「そういうことなのか、オラァ! ああん?」


どうやらサボったから不良、つまり学校に行かなすぎてヤンキーになったということらしい。不真面目だからなったんじゃねーっつの。学校に行くだけの体力が無いのになんでヤンキーなんだよ。ケンカしたら舞衣にも負けますよ?


「見た目と口調以外にどんな影響があんだよ? あ?」

「……」

「泣きそうなツラしてんじゃねーぞ?」


これヤンキーっていうかチンピラじゃね?

神室町でうろうろしてると襲いかかってくるタイプじゃね?

なんでいちいちメンチを切らないと会話できないの?

どっちかっていうと、くにおくんじゃなくて、クロヒョウなの?


「……影響については、今夜ね」

「おー、逃げんなよ」

「逃げないけど……」


今夜は定例の日だ。

ステータスの影響を教えてもらえるだろう。


【ステータス】


―――――――――――――――――――――――――――――

文系学力 0 ヤンキー-50

理系学力 0 ヤンキー-50

運動能力 30(+20)

容姿   60 ヤンキー+50

芸術   5

料理   5

―――――――――――――――――――――――――――――


「あん? いいじゃねーか」


現状では学力が10だろうが0だろうが同じこと。どっちにしろ、なーんにもわからないからね。

容姿が上がる方が断然良い。ヤンキーだと見た目が良くなるというのはよくわからんが、たしかにただのブサイクよりはマシな気はする。


「舞衣も俺のことカッケーって思ってんの? マジ?」

「……ま、まあ」

「へ~。お前もマブいけどな」

「……」


ステータス的には問題ないが、なにか言うと舞衣がイヤな顔をするというのが致命的な影響だな。

なんにせよ、このヤンキーを解除するために学校に行くという選択肢は無いな。

このハードモード、状態異常を上手に活用していくのもカギになりそうだ。


異世界メモリアルってもともとこういうやつだったよね……と、書いていて懐かしい気持ちになります。

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― 新着の感想 ―
[一言] まぁあれだ、病弱ヤンキーキャラでいけばいいんだよ(ぇぇぇ…
[一言] 懐かしい....!
[一言] あれ? アイテム効果は? ブロマイドとかあったよね?
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