異世界メモリアル【8周目 エンディング】
バレンタインデーの後、3週間足らずの日々だが、とても幸せだ。
いっぱいキスしたし。口説き文句があれだったから、したいと言えばさせてくれるという無敵モードだった。
あと胸も触らせてくれたし。すっごいです。舞衣とはちょっと別物って感じでした。
「クソゲーじゃなかった……」
結局のところ、クソゲーかクソゲーじゃないかはそこにかかっていた。
やっぱりね。そうなんですよ。
こうなってくると、ニコや愛ちゃんとももっと本当はいろいろできたと思われる。
「やっぱクソゲーだ……」
もっかいプレイさせろよ……。
なんで一度クリアしたらもう会えないんだよ……。
容姿MAX状態で江井愛から「かっこいいですね~」とか言われたかっただろ。
「何考えてんのかにゃん、ロトにゃん」
猫耳猫しっぽ装備のメガネメイドさん状態のてんせーちゃんだ。控えめに言って最高。
やっぱクソゲーじゃないです。
「ごめんごめん、他の女の子のこと考えてた」
「あー! そんなの駄目にゃん!」
ぷん、ぷん!
とわかりやすく怒った真似をしてくれるてんせーちゃん。控えめに言って天使。
「てんせーちゃんのこと、好きって言ってにゃん」
「てんせーちゃんのこと、大好きだよ」
「嬉しいにゃん!」
抱きついてくれるてんせーちゃん。もちろん、わざと胸を当てて。控えめに言って世界一幸せ。
てんせーちゃんは元々ノリがいいのだが、バレンタインデー以降はますますノリノリになった。
巫女やシスターをやれば、お淑やか。
ナースや先生をやれば、ほのかなお色気。
くノ一だったら忍法を使ってくるという本格派だ。忍法縄抜けの術をするから一度縛って欲しいと言ってくる、てんせーちゃんのくノ一っぷりはスゴい。どんな城でも籠絡できる。
そして猫耳をつければ、猫なで声でコレですよ。
「てんせーも、ロトにゃんが~、大好きにゃ~ん」
「嬉しいにゃ~ん」
俺は猫耳をつけていないが、思わず猫化してしまうほどです。いや、むしろ狼になってしまいそうで怖いね。
「な、なにやってるの……」
「げ、舞衣にゃん!」
「舞衣にゃんって……」
イチャイチャしているところを見つかってしまった。これは恥ずかしい。
「……いちゃいちゃするのもいいけど、なんでうちのリビングでするの? 見せつけてるの?」
「いや、そういうわけでは……」
「あの日もそうだったし……」
あの日とはバレンタインデーのことだろう。
パジャマ姿の天星に愛の言葉をぶつけまくったリビングでの出来事を、舞衣はすっかり知っていた。
そりゃリビングだから見られててもおかしくはないのだが……そもそも舞衣はなんでもお見通しなところがあるので、あまり気をつけていなかったのだが。
結構、お怒り……というかむくれている。
「ロトにゃんとてんせーにゃんは、にゃんにゃんしてるだけにゃ~ん」
「くっ……」
舞衣は悔しそうな顔で出ていった。
今回問題があるとしたらココだけだろう。
色男属性とラッキースケベ属性があるため、天星以外の舞衣や実羽さん、来斗さんともエンカウントが発生するのだが、俺とてんせーちゃんは常にこの調子なので、見る目がひどい。
来斗さんは9周目ではおそらく覚えてないからまだいいが、舞衣と実羽さんは……。あわわ……。
「おっと、バランス崩したにゃん」
「おっふ」
顔が豊かな胸に包まれた。こ、これはいわゆるひとつのぱふぱふ……。
「このまま、ぱふぱふしちゃうにゃん。ぱふぱふぱふぱふ……」
ああ……さっきまで何か悩んでいたような気がするけど、もうどうでもいいや……。
人間って幸せすぎると、他のことはどうでもよくなるんだね……。
この時間が永遠に続けばいいのに……。
と思ったら流れてきました、エンディング曲。
どうやらフラグを立ててしまったようです。やっぱりあれだろ、性格悪いでしょこの世界の神。
とはいえ、沙羅さんに続いて今回も平和にエンディングを迎えた。
いつものように、走馬灯みたいなその後の人生のダイジェストが始まる。
天星は両親のこと、本当の両親のことの説明をしっかり受けた。そして何も変わらなかった。それでいい。
俺と天星は美術系の大学を卒業した後、一緒に会社を立ち上げたらしい。コスプレの会社だ。
衣装やアクセサリーの制作と、スタジオのレンタル、撮影。メイクや着付けも行う。
天星は自ら広告塔として、コスプレイヤーとしても活躍。
世界を二人で飛び回った、とのこと。
やりたい放題やりおえた俺達は会社を売却し、そこでようやく結婚した。
会社を売った資金を使って超豪華な結婚披露宴を行い、三年に及ぶハネムーンに出かけたとさ。そのハネムーンのところだけでいいから体験させてくれよ……。豪華客船で仲良くピースしてる写真一枚だけで説明しないでくれよ……。
その後は二人で子作りと子育てに集中。五人の子宝に恵まれた。
末っ子が小学校に上がったタイミングで、また二人は会社を立ち上げる。
いつまでも仲良く二人で一緒に、やりたいことをやり続ける人生だった、そうです。まぁ、てんせーちゃんが幸せそうでよかったよ。
俺のほうが幸せそうにも見えるけど。その世界線は俺は知らないけど。ちくしょう。
しかし、実際のところ本当にその人生を最後までやるわけにもいかないことはわかる。
来斗さんにだって、こんなハッピーな人生をプレゼントしなければならない。
よし、9周目を始めようか。
おかげさまで、8周目のエンディングを迎えました。
ここまでの話、もしくは8周目に関して、あるいは画領天星についての感想いただけますと嬉しいです。
まだ評価してないよ―、という方はぜひとも、評価おねがいします!




