異世界メモリアル【8周目 第14話】
夏休みの部活動は、秋の文化祭のための写真撮影だ。
どういう写真を撮るかだが、部長からはこの学校の生徒を被写体とすること、とだけ決まった。
夏休みに撮るなら、そりゃあ部活動中の生徒を撮影するしかないだろう。
俺は水泳部の撮影をしたいけどラッキースケベが発動したらどうするんだろ、そうなったらそうなったでしょうがないよね、しょうがないよと思いながらプールに向かおうとした。
「ロ~ト~きゅん♡」
ぶりっ子モードのてんせーちゃんが現れた!
どうする?
たたかう
じゅもん
どうぐ
▷にげる
嫌な予感しかしない。
三十六計逃げるに如かず。
「あ、待って。今ノーブラだから走って追いかけられないから」
だが、逃げられない!
こんなに運動能力があるのに!
ズルいぞ!
そう言われたら逃げられないだろ。
まぁ、てんせーちゃんには勝てない。諦めよう。ボス戦みたいなもんだ。
「どうしたの、てんせーちゃん」
「胸を見る目が凄いですな、ロト氏」
「嘘だったら逃げようと思って」
「しょうがないですな、ちょっとだけですぞ」
てんせーちゃんは、ちょっとだけピョンピョンとジャンプした。
「わかりました。嘘つき呼ばわりしてすみませんでした。そしてありがとうございます」
ぺこりと90度に腰を曲げ、謝罪と感謝の気持ちを伝える。
真姫ちゃんほどではないが、すごいですね。
いつラッキースケベが発動するか、楽しみだな。
「やー、実はお願いがありまして。被写体になって欲しいなーと」
指をフリフリしながら、ブリブリとお願いしてくる。
この程度のお願いにしては、過剰なサービスだ。絶対に裏がある。
俺は半眼で睨む。
「何か事情があるね?」
「義朝殿と一緒にちょっと絡み合って欲しいだけデスYO~」
「逃げます」
「ピョンピョンピョンピョン」
「くっ! ズルいぞ!」
ズルいと思いつつも、やはり嬉しいが勝つ。ありがとうございます!
「もちろん、そのお礼はちゃんとしますぞ」
「お礼?」
「このダイナマイトボディのてんせーちゃんをロト殿のお好きなように撮影して結構です」
「えっ? マジで?」
「マジです。水着だろうとバニーガールだろうとご自由にどうぞ」
「委細承知。好きにしてくれ」
「さすがロト殿」
腹はくくった。
ハイリスク・ハイリターン。
「では、まずロト殿にやって欲しいのは、義朝殿の勧誘でござる」
「そっからか!?」
「それはもう、彼にメリットを提示できませぬからして」
「くっ。俺から頼むのか……」
「舞衣殿の協力があれば、なんでもしてくれるかと」
「てんせーちゃん軍師!? 舞衣まで巻き込むのか!?」
「舞衣殿の協力無しに、どうして義朝殿が動きましょう。舞衣殿を使って調略するのです」
軍師~。知力100かよ~。
戦略は完璧だけど~。
義朝が喜ぶようなことを舞衣にさせるなんて……。
「てんせーちゃん撮影会はネコミミメイドでも、マイクロビキニでもご自由にどうぞ」
「わかった」
しょうがない。そこまで言われてはしょうがないのです。
じゃあクエストを開始するか。
【舞衣のもとへ向かえ】
まずは舞衣に会いに行く。同じく写真部なので、校内で撮影していることだろう。
校庭をぐるっと走っていると、舞衣を見つけた。棒高跳びを撮っているようだ。なんて真面目なのかしら。
「舞衣~」
「どしたの、おにーちゃん」
「ものすごく言いにくいお願いがあるんだが」
「え、うん」
「義朝にちょっとだけサービスしてやってくれないか」
「え!? ん!?」
舞衣はおどろきにとまどっている!
「まず、義朝はお前のことがめっちゃタイプじゃん。超カワイイと思ってる。ここまではいいよな?」
「そうなの!?」
「あいつはロリコンだからな」
「舞衣はロリじゃないよ!?」
「舞衣はロリです」
「ええ!?」
知らなかったのか……。
だとしたらとんでもないタイミングでとんでもない事実を伝えてしまったな。
「ロリコンの義朝のために、一肌脱いでくれないか舞衣。こんなことを頼めるのはロリである舞衣だけなんだ」
「おにーちゃんのためなら頑張るけど……なんか正直複雑なんだけど……」
「なんでもするから!」
「そこまでして、なんで義朝さんに?」
「いや、そりゃあれよ、部活動のためだよ」
「そうなんだ……さすがおにーちゃん、凄いね」
若干、胸が痛い。
嘘ではないのだが……。
「とりあえず義朝に一緒に会いに行こう」
「義朝さんなら、バスケ部だよ」
さすがロリコンだ。小学生は最高だぜということだろう。俺は合宿中にぱんつを返すだけのゲームを思い出していた。何を言っているんだと思うだろうが、本当に存在するゲームだから。結構やり込んだから。
「じゃあ体育館に行くか」
「うん」
【義朝のもとへ向かえ】
「義朝~」
ちょうどよく、麦茶を飲んで休憩していた。
「おー」
「義朝さーん」
「ま、舞衣ちゃん!?」
ひらひらと舞衣が手を振っただけだけで露骨に大喜びする義朝。なんて露骨なんだ。俺が言うのもなんだが。
「義朝にちょっとお願いしたいことがある」
「なんだよ、ロト」
「俺と一緒にてんせーちゃんの餌食になってくれ」
「な、なんだと……」
青ざめる義朝。
これはちゃんと理解している反応だな。
「舞衣、頼む」
「りょ」
すちゃっと了解ポーズをする舞衣。なんてカワイイんだ。義朝に見せるの勿体ない。
「義朝さーん」
舞衣は義朝の手を両手できゅっと包み込むと、上目遣いでにこっと笑った。
「おにーちゃんのために、お、ね、が、い」
「わかったよ、舞衣ちゃん!」
チョロくてよかった……。
手を握るくらいだったらオッケーだ。
それにしてもてんせーちゃんも凄いが、舞衣の媚び媚びっぷりも凄いな。あざとすぎて勝てん。
こうして、俺と義朝はてんせーちゃんの生贄となり。
俺は、てんせーちゃんを思う存分撮影することになった。
ロトが言っている女子小学生のぱんつを返すゲームとはPSPの「ロウきゅーぶ! ひみつのおとしもの」のことです。シャワーを浴びている最中に見つからないようにロッカーに忍び込んでこっそりスポーツバッグにぱんつを返したり、すやすや眠っている女子小学生を起こさないように歩いてぱんつを返すアクションゲームです。見つかると社会的に死んでバッドエンドです。名作でしたね。梶裕貴さんの声で「返すだけだ、返すだけだ、返すだけだ」と言いながらぱんつをバッグに押し込むんですよ? お前が駆逐されろって感じですよね。最高です。
「ロウきゅーぶ!ないしょのシャッターチャンス」は撮影するゲームですから、この写真部の活動に近いですね。
舞衣はロリ扱いされてますがロウきゅーぶほどロリではないので安心(?)してください。




