異世界メモリアル【8周目 第1話】
無事に八周目が始まった。
毎度おなじみ、暗闇空間でございます。
「あなたはロトだね。特技『理系の心得』と『世界の基礎知識』と『運動の心得』に『美容の心得』、『スーパースター』と前回プレイのアイテムを引き継ぎます。属性『色男』も付与されます。また、前回でのエンディング時のステータスからボーナスをポイントを算出します」
そして久しぶりに聞く声でございます。
もはや安心している。今となっては全然違うゲームが始まったら怖い。
ロトという名前にももう愛着しかない。本名で呼ばれても振り向けないかもしれない。
それにしても、やっぱり属性も引き継がれるんだな。
正直なところ特技はあきらかに有利なものだが、属性は怪しい。
色男のせいで無駄に爆弾処理をする羽目になったし。
よってとりあえず無難にステータスを上げている。
【ステータス】
―――――――――――――――――――――――――――――
文系学力 610
理系学力 718
運動能力 555
容姿 999
芸術 855
料理 1099
―――――――――――――――――――――――――――――
もはや特技が功を奏しているので、アイテムなどに頼らずとも日常生活で十二分にステータスが上がる。
文系学力と運動能力を投げ捨てて、芸術を上限突破させることも可能ではあったが。
それでなんかとんでもない属性がついたら嫌だし。
てんせーちゃんが芸術ヒロインだから『両刀』みたいな属性がついて男子も攻略対象になるとかな。こわっ。
「料理に+150のボーナスポイントが付与されます。さらに料理のステータス向上が倍の早さでアップする特技『料理の心得』を取得しました」
これは想定通り。
問題は料理の上限突破で属性があるのか、だな。
何を食っても美味しく感じるとかね。それはそれでつまらないだろうな。櫛さんの微妙に美味しくない料理みたいなものが愉しめない。
さて、どうなるか……。
「さらに、料理のステータスの上限突破による属性『ラッキースケベ』を取得しました」
な!?
なんだって!?
それは、俺が知っているラッキースケベのことなのか!?
なんで料理の上限突破でラッキースケベになるのだ?
そう言えば、沙羅さんは1周目の最初のデートからラッキースケベが起きていた。ガキが沙羅さんのスカートを捲ったんだよな……。それがヒントだった……?
いや、そんなことはどうでもいい。
なぜ一番最初にこれを取得しなかったのか……最優先事項だった……。
言われてみれば舞衣は一番最初から料理をしたらどうかってアドバイスしていたじゃないか。
なんということだ……もっと妹のいうとおりにしていれば……。
オー・マイ・リトルシスター。
最初から料理部に入っていたのに。そのまま沙羅さんを攻略していれば……。
「初期ステータスを確認して、ボーナスポイントを振り分けてください」
【ステータス】
―――――――――――――――――――――――――――――
文系学力 75
理系学力 111
運動能力 163
容姿 165
芸術 15
料理 165
ボーナスポイント 100
―――――――――――――――――――――――――――――
後悔の時間はもう終わりだ。
気持ちを切り替えねば。
俺はラッキースケベのためにこの世界で生きているのではない。
そうだ、使命を思い出せ。
まだ俺の攻略を待っている女の子がいるんだ。
ステータスを割り振って、誰かと幸せになろうぜ。
【ステータス】
―――――――――――――――――――――――――――――
文系学力 175(+100)
理系学力 111
運動能力 163
容姿 165
芸術 15
料理 165
―――――――――――――――――――――――――――――
これだ。
スーパースターの特技があれば芸術は部活で上げればいい。
勉強はキツイ。周を重ねるごとに求められる学力が上がっていく。
料理は楽しいし、運動は慣れたが、勉強はキツイ。
突然、風が吹く。
爽やかで気持ちいい風だ。
桜の花びらが舞っていくと同時に、俺が花粉症でないことを感謝する瞬間でもある。
「きゃーっ」
実羽映子さんだった。
いきなり突風でスカートがめくれあがり、白い下着が見えている。
マジっすか?
ラッキースケベですか?
もう?
なんという属性だ……神よ……神ゲーだ……。
ばっちり見終わってから、風が止む。
さて前回と同様に実羽さんとお約束である初めての出会いをするか。
今回こそ実羽さんを攻略するのもいいかもしれない……また彼女から腕を組んでくるだろうか……と思っていたら。
「はやくいこ、おにーちゃん」
「え?」
なんとすでに腕を組んでいる相手がいた。
「ま、舞衣!?」
なんで舞衣が学校に?
どういうこと?
「今日から一緒に一年生だね、おにーちゃん」
そうなの!?
そういうことになったの!?
いきなり設定が大きく変わりすぎてビックリなんですけど!?
見た目は同じだ。
制服がうちの学校のものというだけ。すっごく可愛い。
「同じ学校に入れてよかったよー、同じクラスになれるかなー」
「お、おう……」
腕を組んでいるため、舞衣がずんずん歩いていくのをついていくだけ。
1周目がこうだったらどれだけ楽だったろうか……。
「やったね、おにーちゃん。同じクラスみたい!」
「お、おう……」
「あたしも同じクラスみたいだね、そこの仲良し兄妹さん」
「あ、じ……」
実羽さん……と言いそうになったが、言っちゃいけないのだった。
なんか今回の実羽さんはちょっと怖い。怒ってる?
さっきぱんつ見ちゃったからかな……不良っぽい見た目なのに清楚なシルクのやつだったからかな……。
「わたしは舞衣。おにーちゃんはロトだよ。よろしくね」
「映子。実羽映子」
「よろしくねー」
「よろしく、実羽さん」
「……」
実羽さんは、俺と舞衣を交互に見ながら不機嫌そうにしていた。
今回ちょっといつもと違うな。
どうなっちゃうんだ8周目は……。




