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異世界メモリアル【7周目 第2話】

6周目最後のインタールードを読んでなかったら読んでくださいねー


「お兄ちゃーん! お兄ちゃんのだ~い好きな時間だよ~」

「ん。定例な。よろしく」

「……」

「どうした?」


様子が変なので、腕立て伏せを止めて舞衣の方を見る。


「お、お兄ちゃん?」

「どうした?」


ドアを開けたまま、ぽかーんと口を開けて固まっている。

なぜだろう。


「こほん」


わざとらしく咳払いをする舞衣。


「お兄ちゃーん! お兄ちゃんのだ~い好きな時間だよ~♪」


くるくると二回も回転しながらさっきと同じセリフを言う。

マジでどうしたのかな。

顎に手を当てて考えてみる。

夕飯のときにあまり美味しいって言わなかったからかな。

どうしても三年生になってからの方がいろいろ酒が飲める分、満足度が高いんだよな。

この世界ってどうしても序盤はステータスも低いし、幸福度が低いんだよね。


「じゃんっ、じゃんっ」


指で自分の服を指している。

なんだ? ちょっと変よ? どうしたのかな?

なにかいつもと違うのかな。お腹?


「ちょっと太ったとか?」

「なんでよーっ!?」


選択肢を間違えたらしい。

いやこれわかんないぞ。

ルームウェアがいつもと違うとか? でも普段からかわいいしな……。


「そんなことより、定例だろ? まだ実羽さんしか出会ってないけどさ」

「むう」


何が気に食わないのか、目に見えてご立腹ですよ。


【親密度】

―――――――――――――――――――――――――――――

実羽じつわ 映子えいこ [お風呂上がりのビールくらい好き]

―――――――――――――――――――――――――――――


「まぁ、実羽さんは俺のことを好きなのはもうわかってるけどな」

「あ、うん。そうだね」

「そんなことより」

「そんなことよりってことは、実羽さんは結構どうでもいいってこと!?」

「いやそんなことはないけど……なんで嬉しそうなの」


機嫌がよくなったのはいいが、なぜこのタイミング?

実羽さん以外を攻略したほうが都合がいいのかな。

それはちょうど良かった。


「いや、早く相談したかったんだよ舞衣に」

「うんうん。なになに?」

「部活効果が高いのを活かしたいから、料理か芸術か文系学力が向上する部活に入りたいんだけど、それって結構攻略キャラを決めるのに近いじゃん」

「え、あ、うーん」


難しそうな表情になった。

まったくわからない。


「来斗さんか、沙羅さんか、てんせーちゃん。誰から攻略するべきかなあ」


いい加減、最初から狙っていくべきだろう。

7周目に入り、すでに6人を攻略した。

登場した女の子の過半数を越えている。もはや感傷に浸っているほど弱くないのだ。

全クリに向けてガンガンいこうぜって感じですよ。

それに限界を突破するメリットもわかった。

部活をうまく使ってステータスを上げていくべき。


「う、うーん。他にいるんじゃないかな?」


他に……?

あぁ、そっかそりゃそうだよな。

さっき嬉しそうに感じたのは気のせいだったか。


「んー。まぁわかるよ。実羽さんがぐいぐいきてるもんな」


まだ実羽さんしか出会ってないって言ったら不満そうだったもんな。

つまりそろそろ実羽さんを攻略したらどうなんだと。そう言いたいわけか。

確かにな。

ステータス合理主義みたいな考えが気に入らなかったのかも。反省だ。


「そ、そうじゃなくってね。実羽さんはいいよ別に」


え?

いいよ別にってこともないだろ。なんなんだ。

他にいたっけ?


「ほら、ほら。じゃんっ、じゃんっ」


小さく両手を上げている。

なんだろう、この可愛いクイズは。


「あっ!?」

「わかった!?」


そうか。そういうことか。


「新キャラが出るんだな!?」


新キャラ登場のジェスチャーだったか。

そうか、最近知らない女の子と出会ってなかったけど、まだいるのか。

ネタバレになるから言えなかったのかな。


「……いや、それはわかんない」


わかんないのかよ。

なんなんだ。まじでなんなんだ。

このクイズ難しすぎるぞ。


「そ、そうじゃなくて。ほら、いるでしょ? もっと前から知ってて、とっても大事な」

「んん~?」


あっ。

そうだよ。

すっかり忘れてた。


「しまった、本当そうだよな。大事なことを忘れてたよ」

「うんうん!」

「星乃さんね!? そうだよなー、もうステータスに苦労しなくなったんだ。そろそろ約束を果たすときだよな。すっかり忘れてた」


星乃煌(ほしのきらめき)のことを忘れていたというのは確かにひどい。

いつか攻略すると約束したじゃないか。

最近出てこなかったからなあ。登場条件がわかんないんだよな。

生徒会活動はボランティアと違って、容姿や学力も向上する。そう考えれば何かの部活に入るよりいいかもしれない。


「星乃さんって……あれ?」


舞衣は部屋の隅で体育座りをしていた。どうしてなの。


「……あ、そうだ、お兄ちゃん」

「な、なにかな」

「アイテム買いに行こうよ、アイテム。選んであげるから」

「いや、金が無いし」


アイテムは引き継がれるが、お金は引き継がれない。


「バイトしたら? バイト選んであげるから」

「いや、部活の効果が二倍ならバイトするより部活のほうがいいし」


「……はぁ……」


ため息をついている……。

舞衣はどうしてしまったのか。

可愛い顔が台無しだ……笑顔で居て欲しい……。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ロト君、可愛い可愛い妹妻が寂しがってるで。 今回は計画的に能力を上げるのは良い判断ね! でも、同時攻略で妹妻をもっとメロメロにデレさせてくれたら、ジオン十字勲章モノの手柄である事は保証しよ…
2020/08/30 22:04 にゃんこ聖拳
[一言] あらかわいいじゃないの。がんばってアピールをする姿はポイント高いわよ。 初期で仲良くしたがっていた主人公を再三にわたって、自分に構ってないで女の子を攻略しなさいとド正論ではねのけ続けてきたの…
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