異世界メモリアル【5周目 エンディング】
庵斗和音鞠さん。
非常に美しい女性だ。長いブロンド、細い腰、白い肌、長い脚。これぞ美人。THE美人だ。
その姉妹もみんな美しいが、姉たちはどこか似通っている。それは父親の好みに合わせていくからだという。それは彼が最初にお付き合いした女性だった。
自分が未熟であるがゆえに心中をさせてしまった愛する女性。
その彼女を失ってしまったことがきっかけで、特定の女の人に執着せずに最初に愛した女の人に似た娘を量産するというねじ曲がった男を絶対にぶん殴ると決めていたのだが……
「今日はスナックに行こうか、スナック」
「ええ……」
俺はなぜか鞠さんの父親に気に入られていた。もう二人で酒を飲みに行くのも飽きたぞ。
「あのですね、俺は鞠さんと一緒に居たいんですよ」
「なぜ」
「なぜって、そりゃ好きな女の子と一緒に居たいと思うのは普通のことでしょう……」
「なるほど。好きな女の子がたくさん居た方が普通は嬉しいよな?」
「それは違う! 違いますよ!?」
「どう違うのか教えてもらおうか」
くそっ! また口車に乗せられた。どうせスナックに行ったら演歌を歌うだけ! 俺の話なんか聞かない!
「うーん、やっぱりロトくんのフォークソングはいいね。愛があるね」
「そりゃどうも」
「鞠以外のうちの娘とも、仲良くしてくれたらいい。もちろん、結婚なんかしなくていいんだ、愛を注いでくれれば……」
「だああ! だからそれがわかってないんだっての! それをするのはあんたの役目だろ!?」
「おっと、そうだったそうだった、じゃあ次の店行こうか」
「なんでだよ!?」
んもー、なんなんだよこの人。
飲み代を全部出してもらい、タクシー代も貰って、べろんべろんに酔っ払って帰る。
「あー、お兄ちゃん、また酔っ払ったねえ」
夜遅く帰っているのに舞衣が出迎えてくれる。
「ごめんな、舞衣」
「ううん、偉いよ」
「偉い?」
酔っ払って帰ってくることの何が偉いというのか。
「お兄ちゃんは優しくて偉いよ」
優しくて偉いのはどう考えても舞衣だろ。次は舞衣を攻略しようかな……。
残り少ない学校生活、後数回しか見られないであろう制服姿の鞠さんに廊下でばったり。
というか、必ずしも卒業式まであるわけじゃないんで、もういつ終わるかわからないんだけどね。
いいんだいいんだ、どうせ一線は超えられないんだ。
俺と鞠さんは一度同じベッドで寝たんだ。それで十分なんだ。
「ロトさん、いつもありがとうございます」
「え? なにが?」
本当にわからない。いつもとは?
「父のことです」
「ああ」
姉や妹とも仲良くしちゃえばいいのにとか言うようなお父さんですけど、大丈夫ですか?
「今までも友達みたいな関係ではあったけど、もっと話してくれるようになって……親友みたいに」
それは……いいのか?
多少、間違っているかもしれないという不安を感じたが、
「ロトさんのこともとっても気に入ったみたいで、自慢するみたいに話してくれるんですよ?」
と続けた鞠さんは、心底嬉しそうに微笑んだ。
これなら安心だ。この笑顔が間違いであろうはずがない。
「今度みんなで温泉に行こうって。父がどうしてもというので」
「温泉ですか」
「姉妹も含めて……混浴に……」
「え、ええ!?」
「どうでしょうか?」
「どうしてもというのでは仕方がないですね!」
仕方ないなー。まったく仕方のないお父さんだ。まったく! 俺はぐっと拳を握った。
家族仲良くするためであれば、やぶさかじゃない! やぶさかじゃないぞ!
これは決して助平ではなくてだな、俺は博愛主義なだけで……
などと思っていたら、脳内に聞き覚えのあるメロディが!? 待って! 十分じゃない! さっき十分とか思ってごめん! ごめんなさい! まだ、待って! せめて鞠さんと混浴するまで待ってー!!
いや、そうじゃない!
「よかった、楽しみ」と微笑んでいる鞠さんに言うことがある! このままじゃ終われない!
「鞠さん、ありがとう! 大好き!」
「え!? ええ!?」
良かった。告白もしないで終わりはツラすぎる。
いいんだ、返事はいらない。
直接言われなくたって、わかっている。舞衣から教えてもらっている。
「私と一生一緒に幸せに過ごせばいいじゃない」って思ってることは知っているんだ。
最後に笑顔が見られてよかった……
そして何度か味わった、エンディングの始まりだ。
走馬灯のように、総集編のように、俺が味わえなかったその後の人生をダイジェストで見せられる。
見せられるだけで実感がないところがクソゲーすぎるんだよなあ。
その後、一緒に大学に通い、テニスやゴルフをしたり、スキーやボーリング、ビリヤードなんかもしたり。まるでバブル時代みたいな青春だ。俺も過ごしたいよ、俺の人生をよ!
俺は研究者になったらしく、世界中を飛び回ったようだ。俺と鞠さんが世界各国で撮った写真がいっぱいある。俺は行った覚えはないけどな!
結婚式で天然すぎて離婚届を書いてしまう鞠さんとか、ハネムーンの入国審査で片栗粉を持ってて大騒ぎとか、笑いが耐えない一生を過ごしたみたいだよ、俺。完全に他人事ですよ。
鞠さんの父親がついに結婚し、その披露宴に二人で参加したりしたようだ。
なんか俺たちの間には子供が生まれなかったみたいだけど、たくさんの家族に囲まれて一生を終えたらしいです。
一生一緒に幸せに過ごしたんだね、よかったよかった。めでたしめでたし。
って……美人姉妹達との! 混浴は! どうなったんだよ!! せめて見せろよ!
このクソゲーめ……
まぁ、鞠さんが幸せな人生を歩めたなら、それでいいけどな……
そして、また、三年間が始まる。
鞠さんのいない三年間が。
長かった~、何ヶ月かけて書いてるんだっていう。
ここで感想がいっぱい貰えますと、非常に筆が早くなると思いますので、何卒。
これで四人目の攻略となりますね。
好きなキャラとか一言いただけると本当に嬉しいので、本当に一言いただけますと幸いです。
エンディングがどうなるかはともかく、キャラクターの出番は増えるかと。
では六周目もよろしくおねがいします。




