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異世界メモリアル【5周目 第2話】


勉強が……カンタンだー!

身体が……軽いー!

これこそ、強くてニューゲームってやつだ―!

くうう、ここまで来るのが長かったね。


毎度毎度のことだが、ゲームを攻略するという観点でステータスを上げていくことが出来ていない。今回こそは次回のプレイのことを考えて上げたいところだな。そうなると文系学力を極めて学力無双になるというパターンもあるが、やっぱり容姿が重要であると言わざるを得ない。

料理が下手でも付き合ってくれる女の子はいるが、ブサイクは無理なのです。これは真理なのです。

努力の仕方も微妙だしね。勉強とか運動と違って、ヨガだの蒸気エステだのやらないといけないのはいい加減おさらばしたい。

あと、容姿キャラだけ誰かわかっていないこともあるしな。


よし、今回は絶対に容姿をあげるぞ!


その決意はあっという間に崩壊した。

俺が作った夜飯を食った舞衣が、明らかに落胆したからである。妹の笑顔、プライスレス。


料理が下手だと愛する妹が悲しむため、当面は料理を努力することにした。料理部には入らずにだ。

料理に関しては知識は失われてないが、手が動かない。包丁やフライパンを思うように動かせない。自転車になぜか乗れないみたいな感覚で気持ち悪い。箸はうまく使えるのに、菜箸はうまく使えないとかどうなってんだ。茹でるだけなら簡単だと思ったのに、ほうれん草のおひたしすら茹ですぎてしまう始末だ。


俺はぬか床をかき混ぜながら考える。まだだ、まだ容姿を諦めるのは早い。料理は家でやるだけで十分だ。それは過去の経験からわかっている。そうすると学校では何をするかということなんだが……。

容姿を上げにくいことの一つが、部活がないってことなんだよなー。また女装メイド喫茶のバイトでもするかなあ……。


4月の終わり、大型連休に入る前に行われるのが部活発表会。

新入生たちに向けて、自分たちの部活に入部してもらうためのプレゼン大会である。

今までこのイベントはあまり重要視していなかった。体育館であくまでプレゼンをするだけなので、その場では料理をすることもなければ、サッカーをするわけでもないからだ。

書道部の書いた書を見るとか、吹奏楽部の演奏を聞くとか、合唱部の歌など芸術系はお披露目があるわけだが、こちとらどのステータスを上げるかを判断基準にしているわけで、楽しそうなどという理由では選ばないからな。単にやりたい部活を選ぶということは幸せなことだろう。


部活はかなりメジャーなものを除くと、毎回プレイするたびに増減する。野球とサッカー、美術部などは必ずといっていいくらい存在するが、卓球部や軽音楽部などはあったりなかったりだ。寅野真姫(とらのまき)は登場しない世界になってしまったせいか、柔道部もなかった。ストリートファイト部は当然無し。プロレス研究会ももちろん無し。

式次第を見る限り、今回はゴルフ部も無いみたいだな。ぼんやりとしていたところに凛とした鈴のような声が響いた。


「美しさとはなんだろうか」


男装の麗人だ。

当然この世界はすべからく女性が綺麗なので、格好良いことこの上ない。


「人は生まれながらにして美しいのではない」


うんうん。そうなんだよね。努力して容姿を上げるんだよね。ていうか、俺はそうだけど、みんなは生まれながらに美しい気がしますが。


「美しいものに憧れることで美しさに近づくのだ、来たれ演劇部へ!」


よくわかんないけど、ポーズも決まってて格好良いな~。思わず見とれていたが、これってひょっとして俺に対してのプレゼンなのか?

人から見られることで容姿が上がることはわかっている。演劇部なら上がるということを言っているのかもしれない。

確か、演劇は芸能だから芸術も向上するはずだ。そう考えるとうってつけの部活かもしれん。


翌日、演劇部を見学しているとよく知ったヒロインが登場した。

長いウェーブの掛かったブロンド。細く長い手足。雪のように白い肌。バラのような唇に長い睫毛。もう少し彫りが深かったら外国人に見えたことだろう。ニコは別に彫りは深くなかったけれど。

彼女は、庵斗和音鞠あんとわねまり。3周目のときに彼女のキャディを務めていた。一言でいうと、天然ボケのお嬢様だ。

まぁ、そりゃあ素でジュリエットみたいなお方だ、演劇部はお似合いである。

この世界は認識することは出来ても、出会いの条件を満たさなければ出会う事はできない。話しかけようとすると、女の子はいきなりトイレに行きたくなったりするのである。

鞠さんは入部届を書いている。演劇部に入るようだ。俺も入部すれば出会うことになるだろう。


実は彼女とはデートしたこと無いんだよなあ。ひたすら、みんゴルごっこをしていただけだ。そして出会う方法もいまいちわかっていない。あのときは新聞部の取材で見つけたわけだから、さっぱりだ。


これはもう決まりだろう。


俺は今回のプレイの部活動に演劇部を選んだ。


翌日、早くも俺の最初の役が決定する。それは男の娘役だった。

いや、確かに男の娘もいいかもって思ったけど、それは俺がやるって意味じゃねえんだよ。


しかし悪くないかもしれない。

そう考えたのは、恋人役が男装した鞠さんだったからだ。

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