異変!?
「じゃあ。乙愛。またね明日ね。ばいばーい。」
「ばいばーい。」
入学式も無事終わり、しずくと一緒に帰宅。
明日から一緒に登校するから待ち合わせの時間を決めて別れた。
「ただいま〜」
「おかえり。乙愛。」
わたしのお母さん。天野乙女
我が母ながら乙女って名前はすごいと思うけど。笑
「お父さんは?」
「星一さんは大学のゼミで今日は天体観測で遅くなるみたい。」
天野星一。わたしのお父さん。天文学者でいまは大学の准教授。
「乙愛。今日はかおるちゃんとこと一緒に夜ご飯だからね」
「聞いてないよ〜」
「さっき決まったの。ほら着替えて準備手伝って〜」
「はーい」
少し不満げに二階への階段をのぼる。
かおるちゃんはお母さんの小学生からの幼馴染で獅音のお母さん。
腐れ縁って代々伝わるんだろうかと前は疑問に思っていたけど、案外そういう人たちはけっこういるかもしれないと最近は思うようになってきた。
「獅音もくるのか〜。今日は部活の見学に行くって言ってたけど。」
獅音は小学生からバスケをしていて、けっこううまい。選抜にも選ばれてたみたい。
クラスメートのせなとも仲が良い。
中学の時付き合ってるって噂もあった。真相は聞けてないけど・・・。
そんなことを考えながら自分の部屋のドアを開けると
「おそーい!!!どこ行ってだんだよ!!!」
「えっ?だれ?」
「だれじゃないよ。朝説明したでしょ。シルフ!!あんたに仕える精霊のシルフ!!!」
思い出した。
変な夢を見て、今朝この変な精霊?みたいのが目の前に現れて、
なんか星宝石だっけ?そんなのを集めろ〜とか言ってた気がする。
「ちょっとしっかりしてよ。一人でなにぶつぶつ言ってんの。」
「夢じゃなかったの?」
「もう何回説明すれば気が済むの!!あんたは星宝石を集めるために力を与えられた使徒でヴァーゴの力を持ってるんだって。」
「ヴァーゴってどっかで聞いたことある。あっ乙女座のことか。英語で言われてもいまいちピンとこなかったよ。」
「そんなことはどうでもいいの。一刻もはやく星宝石を集めないといけないんだって。」
「えっでも。そんなこといわれても。」
「乙愛〜!!!なに話してるの。はやく降りてきて手伝って〜。」
やば。お母さんだ。
「はーい。いま行く。
とりあえずまたあとから!!!」
急いで着替えて一階に駆け下りた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「また三年間よろしくね。」
「こちらこそ。同じクラスでほんとよかった。」
そんな会話で盛り上がる親同士の横でもくもくとご飯を食べる獅音。
「獅音くんはバスケ部はいるの?」
お母さんが獅音に尋ねる。
「うん。そのつもり。中学から一緒だったやつとかけっこういるし。
部もできてあんまりたってないけどそこそこ成績は良いみたいだし。
乙愛は部活すんの?」
「わたしは〜」
と言いかけたとき
「星宝石を探すから無理」
はっ、と声のした方に目をやるとあの精霊が浮かんでる〜!!!!
「ちょっ。やば。みつかる。」
「なに言ってんの乙愛。」
「あんたにしかあたしは見えないよ。」
「えっ?」
「さっきもなんか大きな独り言いってたけど大丈夫?」
お母さんが顔を覗き込んでくる。
みんな本当に見えてない?
「乙愛はいつも声でかいからな〜。
話しかけてんのか、独り言かわかんないし。」
獅音がちゃかすようにつっかかってくる。
「てか乙愛。
なにこれ。ピアス??」
これ。この精霊にもらったやつ。
「乙愛。いつの間にそんな」
「違うよ、お母さん。これイヤリング。この前雑貨屋さんで見つけたの。星座のイヤリング。乙女座のマークが入ってて可愛いでしょ。」
「ほんとね。しかも守護色の藍色ね。それ作った人センスいいわ〜。」
守護色・・・?
どこかで聞いたような。
「おばさん。守護色って?」
獅音が間髪入れずに聞く。
「守護色っていうのは、言い換えればラッキーカラーってとこかな。12星座全部にあるのよ。あと乙女座のこのマーク。これはシンボルっていってギリシア神話から作られたとか古代エジプトで見つかったとかたくさんの説があるけどね。」
「へえー。乙女って詳しいんだ。まあ乙女って名前と星一さんの影響もあるのかしら。」
かおるさんが感心した顔をしながら呟いた。
「そうね。星一さんと出会ったときはいろんな話を聞かされたわ。
乙女なのになんで乙女座じゃないんだって何回も言われたっけ。」
「星一さんが聞きそうなことね。」
わたしはこの会話をじっと聞いていた。
なんだろう。また胸が熱くなるこの感じ。
しかもなんか耳が少し熱い。なにこれ。イヤリングが熱くなってるの?
「いやな感じがする。」
精霊が呟いた。
「どういうこと?」
「いいからはやく行くよ。」
「行くってどこに?」
「乙愛。どうしたの?」
「はやく。」
「お母さん。ごめん。ちょっとしずくが渡したいものがあるってうちの近くまで来てるみたい。
行ってくる。」
「いまから?遅くならないようにね。」
「俺も行こうか?」
獅音が聞いてくる。
「大丈夫。すぐ帰るから。」
そしてわたしはこの精霊に言われるがまま、家をでた。




