星座石
「ん〜。よく寝たあ…」
今日は土曜日。
部活してない私はゆっくりできる。
「おはよ〜」
「おはよっ。シルフ。」
天気良いなあ。
今日は何しよ〜。
「乙愛〜!
朝ごはん食べるでしょ?
降りてきなさい。」
「はーい。」
着替えを済ませ、一階に降りる。
「あれ? お父さんは?」
「朝早く出て行ったわよ。大学のゼミだって。」
「土曜日も忙しいねえ。」
「熱心な生徒さんが多いみたいよ。
いつも楽しそうに話してる。」
「へえ〜。」
「そうだ、乙愛。
今日何か予定あるの?」
「特にないけど?」
「手伝ってほしいことがあるんだけど…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
手伝ってて掃除かあー。
することないからいいんだけど。
ここは前はお母さんの仕事部屋だったんだけど、
仕事を辞めてからは物置みたいになってる。
ちなみにお母さんは元イラストレーター。
仕事の依頼は受けてないみたいだけど
今でも趣味程度に書いているみたい。
「ずっと入ってなかったから
この部屋久しぶりだな〜」
「これお母さんが描いた絵?」
シルフが壁に飾ってある絵を指差して聞いてくる。
「そうだよ!上手でしょ。」
「うん。綺麗だね。」
イラストレーターのお母さんだけど
これは珍しく風景画。
綺麗な星空のね。
タイトルは…
【流星の降る夜】
こんなタイトルだったけ?
そんなことを気にしながら
机の引き出しを開けた。
???
なんだろこの箱。
古い木の箱?
開けてみよう。
パカっ。
これは…石?
でもなんかすごく綺麗。
青?
藍色?
「乙愛!これ!!!」
シルフがいきなり叫んだ。
耳がキーンとする。
「ちょっと。いきなり大きい声出してどうしたの。」
「これだよ!!ヴァーゴの星宝石!」
「え?これが???
確かに綺麗だけど本当なの?」
「私が間違えるわけないじゃん!よく見てよ。」
目を凝らして石を見る。
「あ。これ。」
「ほらね!」
その石には私の左胸と同じ
乙女座のシンボルが刻まれていた。
「でもなんでお母さんが…?」
「それは分からないけど」
「聞いてみる!!」
わたしはお母さんの元へ走った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「お母さん!!」
「どうしたの、乙愛?そんなに慌てて。」
「お母さんこれなに??」
星宝石をお母さんに見せる。
「失くしたと思ってたのに
久々に見たわこれ。」
「ねえ、これなんなの?お母さん!」
「そんな慌てないの!
リビングで話ましょ。」
「お母さんこれなんて石なの??」
「これは星座石よ。」
「星座石?」
「そう。そう聞いてるけど。」
「聞いてるって誰かにもらったの?」
「これはね、これおばあちゃんのものなの。」
「おばあちゃんの?」
「そうよ。」
おばあちゃんに直接聞きたいけど
もう五年前に天国に行っちゃったから
聞くことができない。
「ねえお母さん。この星座石にこの前教えてくれた乙女座のシンボルが刻んであるんだけどわかる?」
お母さんが星座石を見つめる。
「シンボル?見えないけどな。」
うそ…。見えない?
わたしも最初は気づかなかったけど意識して見れば見えるはずなのに。
でもあんまり言ったらいろいろまずいかも。
「あれ?わたしの見間違いかも。」
とっさにとぼける。
「たまに変なこと言い出すんだから。
誰に似たのかしら。」
お母さんがにこりと微笑む。
「この星座石、乙愛にあげるわ。」
「本当に??」
「本当。おばあちゃんの形見だと思って大切にしてね。」
「うん!ありがとう。」
「懐かしい気持ちも思い出せたしね。」
「懐かしい気持ちって?」
「私もこれを乙愛くらいのときかな。おばあちゃんの部屋でたまたま見つけてすごく綺麗でほしいほしいって
何度もお願いしたの。」
「そうなんだ。」
「でもおばあちゃん、とてもこの星座石を大事にしていたみたいだから
これはお母さんの大切な宝物なのってくれなかったな・・・。」
「おばあちゃんの大切なものだったんだね」
「そうよだから大事にしてね。」
「うん。大事にする。」
「それじゃ、すこし休憩もしたし掃除再開するわよ〜。」
「は〜い。」
おばあちゃんが大切にしてた星座石。
でもこれがシルフのいう星宝石。
これをあと11個集めるのが私の役目・・・。
使徒かあ〜。
わたしが。
まだ実感はわかない。
だけど最近起こったこと、こうして星宝石が見つかったこと。
少しずつだけど現実なんだって嫌でも感じてしまう。
「とりあえずヴァーゴの星宝石が見つかってよかった。」
シルフが呟く。
「この調子であと11個はやく見つからないかな」
「どうだろうね。でも一刻もはやく探さないといけないのは変わらないよ。
でも少し気になることは本格的にモレクが動き始めるかもしれない。」
「どういうこと・・・?」
「言ったでしょ。モレクも星宝石を探してるって。」
「あっ・・・。そうだったね。」
「人間の負の心もルシファーの源だけど、星宝石がモレクの手にわたってしまえば、よりはやくルシファーが復活してしまう。」
「うん。はやく探さなきゃ。」
「やっとその気になってくれた?使徒としての自覚が出てきたんじゃない?」
シルフが嬉しそうに言ってくる。
「違います。はやく普通のJKライフを満喫したいだけ。」
「JKってなにさ」
「おしえない〜。ほら掃除するよ。」
「もう乙愛。おしえてよ〜。気になるよ〜。」
「自分で考えなさいよ〜。」
耳元でシルフがごちゃごちゃ言ってくるのを無視して掃除を始めた。
左胸が疼くのを感じながら。




