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勇者駅員~勇者 loves 聖女~  作者: 明日乃未来
1.元勇者の新入社員研修編
2/3

失ったもの

ようやく主人公登場です(⌒∇⌒)やっと話が始まります。

・書きわすれてましたが、不定期で頑張ります。

・割とゆっくり話は進むと思います。

・現実世界とファンタジーな異世界を絡み合わせたような話になります。

・恋愛要素もあるので、そういうのが苦手な方はお気を付けください。

・でも、基本は現代ファンタジー?な感じでいきます。

都心から車で約500m離れた高層ビル街のど真ん中。そこに、トップレベルの建築技術で作られ、現在世界で最も注目されている建造物の一つで、この国が誇る「東都ニュータワー」がある。


 その700mまで及ぶ世界3位の高さと、円錐型で独特なデザインは、オープンした当時はマスメディアで話題になったものだ。今も尚、国内外からたくさんの観光客が訪れているここ東都の名物スポットである。


特に、地上550mの展望フロアは、東都の高層ビルが立ち並んでいる街並みを上から、見下ろすことができ、夜になると、闇夜に浮かぶ光り輝く宝石のような美しい景色をみせる東都をその目にすることが可能だ。それもあって、カップルや夫婦の姿をちらほら見かけることはよくあることだ。


けれど、今は夕方。空が赤紫色に染まり、一日の中で、一番異界への扉が開きやすいとされ、情緒あふれる不思議な時間である。


俺、友護=ブレンソンは、この展望デッキの窓際の手すりによりかかりながら、夕焼けの空に、オレンジ色に見える白い雲が西から東へ通り過ぎていくのをぼんやりと眺めていた。


ここから見える風景は、5年前勇者として召喚された異世界の大都市シュラバルンの時計塔から見えるものとよく似ていることから、こちらの世界に帰ってきてからよく来ていた。

今日も、異世界で出会った仲間たちのことを想いながら、哀愁の雰囲気を漂わせつつ、窓の外を見続ける。


仲間たちのことは、みんな大切で、一人だって忘れたくないとおもっているけど、その中でも、忘れようにも忘れられない女性がいた。


 彼女の名は、リリー=フォン=フォアードで、俺たち勇者一行の聖女的な役割をしてくれていた人物だ。瞳が少女漫画に出てくるお姫様のようにパッチリと大きく、特徴的な黄金色で、鼻筋も綺麗に整っていて、なりよりも淡いピンク色の髪の毛は、道ですれ違う通行人の視線を多く集めて、離さない。容姿だけでなく、心も優しく、他人を思いやる素晴らしい女性だった。


そんな、彼女と俺は、実は恋人同士でもあった。

(俺が勝手に彼女だと思い込んでたわけじゃないからな。ホントに付き合ってたからな!)


でも、なぜ過去形なのかというと、魔王との最終決戦で奴の攻撃に気が付かないでいた俺をかばって、時空の彼方に消えて行ってしまったからだ。

勇者のくせに、最愛の彼女を最後の最後で、守れなかった自分を恨ましく思う。


―――――――――――――――――――


時空の狭間に吸い込まれようとしていた時、差し伸ばした俺の手をリリーはこう言って払いのけた。

「ユウゴなんか、嫌いですわ。私はあなたを利用していただけ。」

突然の言葉にかなり動揺してしまった俺は、思わず手を放してしまった。

「あっ…….。」

 自分の仕出かしたことに気づいてしまい、呆然とする俺に、リリーは柔らかな笑みを浮かべ、時空の裂け目に消えていく刹那、悲しげな様子も見せずに言った。

「嘘ですわ。ユウゴのことは世界で一番だーいすきですわ。だから、生きて幸せになって。私は、あなたのことをどこからか見守っていますわ。浮気も許しますわ。でも、変な女に引っかかってしまってはダメですわよ。」

「リリーつ!!」

俺がそう叫ぶのと同時に、彼女は世界から消えてしまった。心にぽっかりと穴があき、視界から色が消える。文字通り、世界が変わって見えた。


----------------------


 そのときから、俺のこころは穴が開いたまま。他の女性と付き合えば、少しは変わるのかとおもったけれど、このどうしようもない心の空白地帯を埋めてくれる人など現れやしなかった。

「会いたいよ、リリー。君の笑顔が見たいよ。叶うことならばもう一度、君の傍で笑っていたいんだ。」

そういうや否や、俺は姿勢を正すと、外が既に暗くなっていることに気がついた。

どうやら、思ったよりも長い時間、時を忘れていたみたいだ。

「リリー……..。」

もう一度そっと呟くと、踵を返して、外の景色に背を向けた。




ちょっと黄昏てましたね。次回お楽しみにください。

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