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古代地下墳墓 1

その大きさは数千体の遺体を収納できるほどの大きさがある上、所々に隠し部屋、隠し通路があり、正確な大きさはわかっていない。

依頼内容はその古代地下墳墓カタコンベの調査及び障害の排除。

調査、といえば聞こえがいいが様は墓掃除である。

どちらかというと障害の排除が主なのだ。


古代のものだからと言って今は使っていない、ということは無い。

代々使われている墳墓である。

死体や遺骨、遺灰を埋葬していると自然発生的にスケルトン、ゾンビ、グール等のアンデットが湧く。

それを排除するために冒険者が雇われている。

主に下級アンデットが多い為、初級から中級と言われる冒険者の仕事では実入りの良い仕事である。

と言うのも、アンデット化した者が所持していた物品は倒した冒険者が貰って良いことになっている。

その上、カタコンベ内の隠し部屋での財宝も冒険者のものになる。

仕事を斡旋したギルドは前もって斡旋料を支払っている為、追加料金が発生することはない。

その為この仕事は予約制で順番待ちが多い。


「・・・と言うわけで我々の順番が回ってきたわけだ。」

ウィルヘルムの説法にも似た長い話が終わり仕事の段取りに移る。

皆話の長さに脱力気味だ。


通常、カタコンベを調査するのは1パーティである。

今回もそれにもれず、彼らだけが調査に来ていた。

このパーティ内訳が、重戦士、魔法戦士、剣士、神官と見事に前衛よりなのである。

したがって、彼らの戦法は必然的に


見敵必殺サーチアンドデストロイ


敵しか出ない古代墳墓は彼らの独断場である。

ここならば、間違って他のパーティをぶん殴る(時々ある)事もないし、他のパーティが狙っている獲物を横から分捕る(よくある)事もない。


ズゴバッ!!


ドワーフのオイーレが振るった斧はスケルトンの頭蓋を両断する。

そして、そのまま崩れ去るスケルトン。


「スケルトンじゃ、張り合いがないのぉ。」

オイーレはそう言うと近くにいるスケルトンを斧で一撃。


それに対してエルフのハートガントは

「それでもゾンビよりはマシでしょう。あの匂いは遠慮したいものです。」

とちょっと額にしわを寄せ言った。


「全くじゃ。あれを切った後は斧の手入れが大変じゃて。」

実際、スケルトンは骨だけに対して、ゾンビは腐った肉がついている。

腐っている分、とても臭い。

その上、ゾンビは生きている生物が近くにいると抱き着く特性がある。

臭いが鎧に着いた場合、2,3日は取れない。

結果、大抵の店は出入り禁止になる。(スウェイドの行きつけの店でさえだ。)


ハートガントはそれを見越して、ゾンビが出た場合

「という事で、ゾンビが出た。ウィルヘルムに任せる。」

とウィルヘルムに流す。


それを受けてウィルヘルムは対アンデット用の呪文を詠唱する。

「我が親愛なるレーア様に願う。わが眼前に居る不浄の者を浄化したまえ。」


詠唱と共に光の輪がウィルヘルムに発生する。


「ピュリファイ アンデット!」


発生した光の輪はゾンビ達を囲みボロボロと崩れ去る。

何体か浄化したようだ。


スウェイドは落ちていたスケルトンの槍で残ったゾンビを突き刺し倒す。

彼でもゾンビの臭いが付くのは嫌なのだ。


「どうやら、ここいらのアンデットは倒しきったみたいじゃな。」

オイーレは一息つきながら話す。


「そうですね。

この辺りにアンデットの反応はもうないようです。

奥の方には夫大きなものもあるようですが・・・。」

ウィルヘルムはクレリックだけあってアンデットの気配が判る。


「なんじゃと。大物が奥におるのか!」

オイーレは目を輝かせながら

「ハートガント、スウェイド、大物じゃ。奥に行くぞ!」

そう言うと奥へ続く扉へ駆け寄る。


「まてオイーレその扉は鍵が・・・。」

ハートガントが慌てて忠告する。


ガチャ。


「ん?鍵?そんなもの掛かってなかったぞ。」

ドワーフのオイーレは手先がとても器用な分、大抵の扉は鍵無しで開けてしまう。

罠も低レベルの物は自動的と言っていいぐらいの技で解除してしまうのだ。


それを見たハートガントは

「・・・いや、いい。」

思ったよりも鍵の難易度が低かったようだ。



扉の先は、地下墓地の聖堂まで続いている。

通路の両側には魔法の灯りが等間隔に置かれ、あたりを照らしている。

「気をつけてくださいよ。この奥にいるアンデットは、私では浄化できないクラスです。」

ウィルヘルムは小声で話す。

彼の警戒具合から判断すると奥にいるアンデットはかなり危険な存在らしい。


「ふむ、奥の方から強者の気配がするな。」

スウェイドは目を細めつつ奥を睨む。

その手には長剣ロングソードが握られ何時でも戦える状態である。


オイーレやハートガントもそれぞれ戦斧バトルアックス短刀ショートソードを構えゆっくり進んで行く。

前衛よりだからと言って彼らは脳筋パーティではない。


隊列を組み壁沿いにゆっくり進むその姿は訓練された戦士団そのものである。

聖堂の入り口までたどり着くと4人の中で最も遠くまで見通せるエルフのハートガントが部屋の中を確認する。

「中には見たところ何もいませんが、中央で魔力の塊を感じます。」

ハートガントは魔法剣士でもあるため、魔力を感じ取ることが出来る。


「魔力の塊ですか。強いアンデットが出現するようですね。

強さ的には、4人がかりで倒せると思いますが・・・。」

ウィルヘルムはクレリックの見地から出現相手を予測する。

やはり強敵が出現する様だ。

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