プロローグ
不定期連載です。
世界を救った冒険者。
伝説に語られる彼らは、品行方正であり聖人君子てあり正に人の鏡である。
だが、真実は得てして異なるもの。
長い年月により脚色され美化される。
ここに世界を救った四人、一つのパーティがある。
彼らは、人、エルフ、ドワーフからなる冒険者で数多の冒険の結果、
民を救い、国を救い、終には強大な魔王を倒し世界を救った。
そんな彼らの話をしようと思う。
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「うぉおおおおお、わしの嫁じゃ~!!」
「は、離せっ!この変態オヤジ!!」
筋骨たくましいドワーフが幼女を襲っている。
ばっ!
幼女と見えたのはドワーフの少女らしく、それなりに力があるようだ。
無理やり掴まれている手を引きはがす。
「離さ~ん!」
がばっ!ばっ!がばっ!ばっ!がばっ!ばっ!がばっ!ばっ!
「ぜーは、ぜーは、ぜーは」
ドワーフの少女は息も絶え絶えだ。
よく見るとその姿はフリルのついたピンク色のドレスを纏っている。
いわゆる魔法少女のような姿である。
その姿でピンク色のハンマーを肩に担ぎ
「もう許さない!このハンマーで成敗するわ!!」
しかし当のドワーフは
「元気じゃのう。やはり嫁としてはそれぐらいではないとのう。」
「誰が嫁だ!くらえ!メテオ・ダイ・・・。」
がばっ!
「やはりわしの嫁じゃ~!」
ドワーフ少女がハンマーを構えた瞬間、ドワーフが両手で抱きかかえるように掴む。
先ほどからこれの繰り返しである。
「ルビー。そろそろ帰るわよ。」
少女の仲間であろう、薄紫のドレスを着て杖を持つ魔法少女然とした姿をしている。
身長はドワーフ少女より高いので人間の少女の様である。
「でも、アメジスト。ここで成敗しなくちゃ・・・。」
「だめよ、幼児は済ませたのだから帰るべきよ。第一、掴まれたままじゃないの。」
「う~。」
アメジストは持っていた杖で何かの準備をする。
「トパーズも帰りのゲートを用意して。」
「はぁ~い。」
トパーズと呼ばれた黄色いドレスの少女(同じように魔法少女然としている)は呪文を詠唱する。
ばっ!
ルビーが掴まれていた手を振り払った瞬間、アメジストが杖を使い真言を唱える。
「ターン・アゲイン3rd」
するとどうだろう、ルビーがドワーフらしくない速度でアメジストやトパーズのいる場所まで移動した。
「ゲート」
トパーズが呪文を唱えると白く輝く楕円形のゲートが出現する。
「今度は7人全員で相手するわ。」
と言い残し、三人はゲートに消えていった。
「うーむ。しかし少しは協力してくれてもいいのじゃが。」
ドワーフは後ろにいる仲間、三人に声をかける。
「少年がいないのに、何故かまう必要がある。」
ロングヘアーのエルフ(男)が答える。
「わが神の教えを、伝えそこなった・・・。」
「無理やりに見えたのだが・・・。」
「えぇい!エル腐も狂信者も臭男も、ドワーフの流儀を分かっておらん!」
「「「ロリーフが何を言う。」」」
この変わった四人組が世界を救うことになるとは知る由もなかった。