嬉しいがトラウマ
冷静さを失い、結局私は寂しさに負けて知らない人たちについて行ってしまった。いつも帰り道で見るアパート前に私たちは到着した。
「ようこそ、我がアパートへ」
そう言ったのは黒髪の眼鏡をかけた男だ。彼は螢といって数日前、溜息をついているところをこのアパート前で目撃されていたようでいきなり声をかけてきた変わった人だ。まあ、今はそんなに嫌な印象はないが。
「いきなり住んでいいんですか?大家さんとかいますよね」
私が彼にそう聞くともう一人の方の茶髪の男、遼が答えた。
「それなら大丈夫だ。とっくに大家も了承してんだろ?」
そう言って遼は螢を見た。私は驚いて螢を二度見してしまう。まあ、確かに庭掃除するのなんて物好きか大ー家ぐらいのものか。不審者だとは一度は思ったこともあるが、大家ならばそれなりのお願いはしたほうがいいだろう。
「よろしくお願いします」
「い、いいんだよ、そんな。名義上での話だし」
螢は眼鏡をクイッとあげながら笑った。しかし、見た目はまだ二十歳ぐらいに見える。世の中は自分の予想以上のことがあるものだ。
アパートは珍しい三階建てで、近くで見ると少し大きく、ざっと三十部屋ぐらいはありそうだった。階段を上がり、案内されたのは二階の204号室だった。螢は201号室に部屋の鍵を取りに行き、戻ってきた。玄関が開いて私は中に入った。第一印象は狭くて古いだった。床は畳でおおよそ九畳ぐらいだろうか。まあ、アパートだし外見からして古そうには見えたが、やはり古かった。私の住んでいたあの無駄に広くて邪魔な家よりも遥かに狭い。しかし、むしろ私にはこれが落ち着く気がした。一人でいるならこのぐらいが丁度である。
「すまない、うちの遼がいきなり誘うから・・荷物はまだないけど何かあればいつでも相談のるよ」
「はい、大丈夫です。それより・・」
私には気になって仕方がない事があった。確かに、広さに不足はない。キッチンもあるし、しっかり掃除もいき届いている。何が問題って、
「お風呂はないんですか」
玄関から入って右側はすぐキッチン。その奥にスライド式の扉があってリビングである。ほかに扉があるようにも見えない。これはあれだろうか。
「あぁ、お風呂は近くの銭湯なんだ」
まあ、やはりそういう事だろうとは思った。自慢にもなりはしないが、私は人生で一度も銭湯なんて一度も行ったことがないからなにがなんだかさっぱりだ。というか、知らない人たちとお風呂に入るなんて怖くてできない。そう思っていると、後ろにいた遼が言った。
「今の時間帯なら誰もいないぞ。今時なかなか銭湯なんて行く奴減ったしな。俺でよければ案内するぜ?」
頼れる人間は今となっては・・というかようやく二人だけだ。そうするしかない。私にはその選択肢しかない気がした。
「いいんですか」
「おう。風呂の道具は持ってきたか?」
「はい、一応・・」
私は大きな鞄から袋詰めにした風呂道具を探す。すると、螢が遼に聞いた。
「ご飯は帰ってきてからにするかい?」
「ああ、そうする。今しか行けないだろうからな」
そう言って遼は部屋に道具を取りに行った。私の部屋には螢と私の二人になる。
「てっきりもっと警戒されているのかと思ったよ」
「え?」
彼は急にそう切り出したので私の頭には一瞬、?が浮かんだ。意図がわかり返事を返す。
「警戒・・してますけど、これが最後の賭けなので。それに、頼れそうなのあなた方だけですから」
言葉を聞いて彼は嬉しそうにそうかそうかと言った。本当にお人好しそうな人である。どうか私の期待がなくならないようになることを願った。道具を取り出し、部屋を出ようとする。
「待って、もう鍵渡すから。・・はい、これで君もここの住人だ」
「・・本当にこんなに簡単に決めていいんですか?家賃だって・・」
「家賃は一応三万にしてるけど、払いたくなければ大丈夫。君は学生さんだしね」
「そんな感じでいいんですか」
「そもそも認めた人間以外は入居拒否してるから問題はないよ。それになんやかんやでみんな家賃払ってくれてるしね」
そういえば遼がここは施設見たいなものと言っていた気がする。なら、私は同類とみなされたということだろう。
「ありがとうございます」
「いやいや、こちらこそあんな勧誘して悪かった。怖かったよね」
「・・まあ、怖かったですけどあそこにいるよりは誘ってもらえてよかったです」
私なりの感謝の言葉を頑張って述べたつもりだ。
「行くぞ」
玄関から遼が声をかける。
「さ、いってらっしゃい。あそこの銭湯は気持ちいいよ」
いってらっしゃい。そんな言葉言われたのはもう私の記憶の中には存在しない。私の中でその言葉は外来語のように聞こえた。
アパートから出て、私は遼と並んで歩いた。誰かと二人なんて経験した覚えがなく、私は非常に困惑していると、それを察したのか彼から話しかけてくれた。
「そういえば、お前の名前聞いてなかった。俺は日野遼だ」
「わ、私は嘉月杏和です」
「そこの私立高校だろ?」
「はい」
「高校近いなんていいな。俺なんて自転車で一時間だったからなぁ」
「偏差値も丁度良かったので」
「なんか、頭良さそうだな」
「そうでもないです。下から数えた方が圧倒的に早いかと・・」
「へぇー、意外意外」
「そうですか・・・・」
それから彼は黙ってしまった。平然と話しているように装ってみたが、正直話ってこんなにもやりにくかった。予想以上であった。というか、まともに返せているのだろうか。これはもしや呆れられるのでは・・。などという考えが私の頭の中でグルグルと回る。もう、全然話しかけてこないしこれは摘んだと思った。私の足はアパートから出た時よりも身に染みて重くなっていた。こんなことならば、地図でも描いてもらって一人で行けば良かった。どうせまたつまらない人間だと思われているのだろう。引っ越し先ではやくもくじけそうである。
「学校では正直どうなんだ」
私の考えを他所に、彼は何事もなく普通に聞いてきた。その問いにどこまで答えればいいのかわからないが、取り敢えず気まずさから抜け出すにはこの話を盛り上げるしかないと思った。ただただ、真面目にありのまま返そうと思った。
「基本一人ですね。休み時間とかはスマホとかのゲームで時間つぶしたりしてます」
「あぁ、そんな奴もいたっけなぁ。そういう奴って案外ゲーム上手いんだよな」
「上手いかはわかりませんけど・・勉強よりは自信あります」
「勉強をしなさい、勉強を」
「でも、日野さんも高校の時は勉強しなかったんじゃないんですか?」
今度は私から試しに質問してみた。その時私は高を括っていた。この人だってどうせ勉強を面倒だと言っていた人間だと。
「ん?俺は休憩中だろうがなんだろうが暇さえあれば勉強してた。それ以外やることがなくてな」
私はそれを聞いて絶句した。こんなことを言う人が実在するなんて思いもしていなかったのだ。というか、失礼かもしれないが、正直この男がそんな風に勉強をする人間だとも思えない。てっきり遊び呆けているような人間に見える。
「まあ、ガリ勉に見られたくなかったから多少は校則違反してたけどな。お陰様で先生とかには残念な天才とか言われてた」
そう言って彼は笑った。なんとなく納得した。
「勉強なんて楽しいですか?」
さり気ない疑問を口にしてみた。この男と出会わなければ誰にも言うことのない疑問だっただろう。彼は即答した。
「わかれば楽しい。・・そう思ったのも最初っからじゃないがな。小さい頃は大っ嫌いだった」
頭の良いやつの多くが口を揃えて言う言葉ベスト10にでも出ていそうな回答、わかれば楽しい。既にその言葉が意味不明である。授業をしっかり受けたってわからないのに、楽しみなんて湧く筈もない。そう言うやつは大概が珍しい生物などであると私は思うのだ。そう考える人の脳内が私にはわからない。
「私はずっと嫌いです。授業を受けても何言ってるのかさっぱりで・・」
いつも頭の中でグルグル考えているような事をまさかこんなに人に話すことになるとは思わなかった。でも、今はすべて彼が聞いてくれるから気楽に話すことができるような気がした。こんな他愛もない話でも話すというのは案外面白いことかもしれない。会話をする人間がいてくれることでなんとなくそう感じる。
「お前、それは本当の意味で授業を聞いてないからだ。その勘違いは俺もしたがあったが本気でやるっていうのはだな、もっと疲れるもんなんだぞ。先生の話を聞いて黒板をただ書き写すだけじゃまるで話にならない。たまに人の話を聞いただけで覚える奴もいるがあんなの稀だ、まず普通の人じゃできない。なら、どうするべきか・・・至って簡単、先生の言葉をメモするんだ。よく言われることじゃないかって思うだろ?でもこれが案外できてないもんなんだよ。騙されたと思って一回だけでもいいから先生の言葉を一言一句聞いて頭で整理してみろ。初めは現代文とか、まだ聞いただけで理解できるようなやつからやるのがおすすめだな。そしたら、自然にメモをしたほうがいいところが不思議とわかってくるはずだ。・・あとは慣れだな。そのうち数学、化学とかでも使えるようになるぞ」
彼は楽しそうに語る。こんなにも勉強に対して話してくれたのは彼が初めてだ。親だって成績の悪い私に何も言ってくれなかった。いつの間にか聞き入ってしまっている自分がいた。体を曲げてでも太陽の方に向かう植物のように、私もその時はそのことに気づいていなかった。遼はそのあとも絶え間なく私に話してくれて、さっきの辛さが嘘みたいにあっという間に銭湯に着いていた。
「ほら、着いたぞ。靴はロッカーの中に入れて・・そうそう、そのカギを取ったらこっち」
銭湯は少し錆びれていて、昔ながらという感じだ。入口の目に前に広場があり、その奥の方に受付、右脇に女湯、左が男湯がある。お湯の流れる音と広場にある少し古いテレビの音声が聞こえてきた。
「あ?なんだ、遼ちゃん女の子なんて連れてきちゃってなぁ。なんだ、彼女か?」
受付のオジサンが話しかけてきた。私は遼の後ろになんとなく隠れ、彼は話慣れた様子で返す。
「アパートの新人だ。生憎、恋愛には興味ないんでな」
「はっはっは、そんな遊んでそうな顔してるのにまだ彼女できねぇのか」
「顔は言うな、アホ」
悪態をつきながらも彼はなんだか楽しそうだ。
「じゃ、二人で四百円だな」
「へいへい。・・・杏和、金持ってきたか?」
急に話を振られて私はびっくりした。・・それと同時に胸に穴が開いたような感覚になる。急いで出てきたせいでお金を持ってこなかったらしい。
「も、持ってきて・・ない・・みたいです・・」
今からダッシュで帰って取ってきてもいいが、そうなると彼を待たせてしまうということになる。いや、それならばあとは別行動の方がいい気がした。・・それはむしろ迷惑だろうか。でも、道順もなんとなく覚えているし大丈夫だ。と、自分に言い聞かせる。すると、遼が何気なくお金を払っていた。
「ちょ、ちょっと・・!」
私はそれを慌てて止める。流石にそれは拙すぎるだろう。人からお金なんて借りたことなんてないし、何より申し訳ない。
「なんだよ」
彼は私の気持ちなんて他所に、キョトンとしている。
「お金とってきます」
「いや、いい。面倒だろ」
「で、でも・・」
「なんだ、そういうのこだわる派か?んー・・・・じゃあ、あれだ。引っ越し祝い。それならいいだろ」
そう言われてしまうと、そんな引っ越し祝い聞いたことないと思ったが断ることもできなかった。というわけで人生初おごられた。
「ごゆっくり~」
オジサンはそう言うと新聞を読み始めた。
「じゃあ、またあとでな」
遼も男湯へと行ってしまった。銭湯なんてよくわからないが、この生活を選んだのも自分だ。郷にいては郷に従え。私は女湯の方に入った。
確かに中に人は誰一人いなかったので、脱衣所も気を遣わないで使えた。流石は毎日通ってるだけある。風呂場に出ると、映画とかでよく見るような大きな富士山の絵が奥の壁に飾られており、なんだかようやく銭湯にきたと実感する。私は体を綺麗に洗い、早速湯船に浸かってみた。丁度いい温度だ。体全身がジワーッと温まるのがわかった。いつもならお風呂は一日の嫌なことが思い出したりされるのだが、今日はなんだかついつい放心状態になりかけて数時間前のことなどを思い出していた。こんなことになるなんて昨日の私は思いもしていなかっただろう。一日経つだけでこんなにも環境が変わるなんて、人生何があるかわかったまんじゃない。
私は目を瞑った。そして、少し眠りについた気がした。少し、ほんの少しだけ。継ぎ足されるお湯の音が耳に心地よくて、この暖かさもなんだか愛おしく感じて・・・・
ハッと目が覚めて、あたりを見まわすと窓の外は真っ暗になっていた。何分も寝た気でいたので、私は急いで上がって着替えると女湯を出た。
受付前広場にはもう既に遼がソーダ味の棒アイスを銜えてソファに座っていた。
「すみません、なんか寝ちゃったみたいで・・」
「そんなに経ってないから気にするな」
彼がそう言うので時計を見ると、確かに私が入っていたのは三十分だけだったみたいだ。いつもよりも短い。
「ほい」
遼が同じ種類のアイスを私に差し出してきた。
「風呂上がりのアイスはいいぞ」
「い、いえ・・そこまでしていただくのは・・」
「遠慮すんなって。ここまでが引っ越し祝いだ」
最早魔法の言葉のようにその言葉を乱用しているようにも思えた。この人も変わった人だ。私はお礼を言ってそれを受け取った。
帰りも遼はたくさん色々話してくれた。どうやら彼は話題が尽きないらしい。
「それでな、腰まで沼にはまって本当にあの時は死ぬかと思った」
「どうやって出たんですか?」
「まあ、気合いだな」
「急に精神論ですか」
「だって、はまった時点で頭真っ白でもう、足掻くしかできなかったんだぞ?しかも、そのつい数日前に学校で見た映画で沼にはまって死ぬっていうの見たから尚更死を覚悟した」
遼は終始笑いながら話していた。本当は私なんかと話していたってつまらないだろうに。
アパートに戻ると遼と別れて部屋に帰った。転居しても部屋には私一人だった。でも、なんだか今日は寂しさよりもこれは一般的に心が満たされたというのだろうか、そんな気持ちだ。畳に寝転がる。なんだかこのまま眠れそうだ。しかし、まだ腹は満たされていないので虫が鳴った。
「お腹・・減ったな・・」
何か買ってこなければ眠れそうにない。早く体を起こさねば・・。でも、今日は色々あったし、面倒に感じて体が動かない。これから買い物と料理をしないといけないなんて思うと余計に重く感じた。すると、インターホンが鳴った。誰だろうか。インターホンの音を聞いたなんて久しぶりであった。玄関を開けると螢がタッパーを三つほど持っていた。
「な、なんでしょう・・」
「ごめんね、もう夜なのに。これ、夕飯が余ったからどうかな。きっとまだだろうと思って」
そう言って彼は何もないキッチンをちらっと見た。わざわざ冷蔵庫さえない私の部屋を思い出して持ってきてくれたのだろうか。それならば申し訳ないが、それでも助かった。それに嬉しかった。
「ありがとうございます。・・でも、いいんですか?頂いて」
「勿論。引っ越し祝いと思って受け取ってくれないかな」
なんだ、ここのアパートは引っ越し祝いが好きなのだろうか。取り敢えず受け取ると、まだ中身は暖かかった。煮物と魚にお米が入っていた。
「じゃあ、僕はこれで・・おやすみなさい」
彼はニコッと笑ってそれだけ伝えると、帰って行った。私はさっさと食べて寝ようと思い、何もない和室の床に座ってタッパーを開ける。しかしどうしたことだろうか、今度は箸がないではないか。流石に手で頂くのは気が引ける。折角コンビニに行く必要がなくなったのに、これでは行く羽目になりそうだ。私は溜息をつく。すると、環境の変わった私の頭にはこんなことが浮かんだ。
(誰かから割り箸を恵んでもらえるんじゃ・・)
だが、そこまでお世話になるのも申し訳ない気がした。たかだか今日引っ越してきた分際でいきなり部屋にお邪魔して貸してもらうなんておこがましい。まあ、だからといって外に出て貰う・・・そもそも、コンビニに行って貰うなんて何も買わずして箸だけもらいに行くという、なんとも申し訳ないことをしなければならないではないか。それに、全く知らない人にわざわざ声をかけること自体がストレスである。確実に舌打ちしたくなるような客だろう。
<コンコン>
<ガチャっ>
「あれ、どうしたんだい?」
「こ、こんばんは・・」
三十分近く悩んだ末にやはり螢のところに来てしまった。何故か部屋には遼と公園で螢と一緒にいた青年に加えて知らない女の人がいた。
「おう、杏和も飲むか?」
つい先ほど別れたばかりなのに、どうやら相当お酒がまわっているようだ。テーブルの上にはビールの缶が五、六本散乱している。
「はいはい、酔っ払いは若い子に絡まない」
螢は苦笑いをして手で追い払った。
「あの・・割り箸っていただけますか?」
「割り箸?・・あ、ごめん。そこまで気がまわらなかった」
螢は慌ててキッチンにある棚の引き出しから割り箸を探し始めた。悪いのはこちら側だというのにやはり申し訳なく思った。
「ねえ、その子誰なの?見ない子だけど」
奥の部屋から見知らぬ女が言った。床につくほどの長い黒髪が似合う色気の漂う人だ。彼女の問いに答えたのは遼だった。
「今日引っ越してきたばっかりの嘉月杏和だ。螢がナンパして連れてきた」
「いい加減にしないと明日からお酒禁止にするよ、遼」
「ごめんなさい・・」
「わかればよろしい。まあ、僕が呼んだのは否定しないけど」
そう言って彼は私に割り箸を渡した。すると、女性が玄関まで来て、グイッと私の顔を覗き込んだ。
「ふぅん・・なかなか可愛い顔してるわ。・・・螢、この子」
「駄目だよ」
「えー、そんなこと言わないで。いいじゃない。この子の世界観変わるかもしれないわよ」
「駄目なものは駄目。そんなの可哀想だよ」
「可哀想かどうかは本人が決めることよ」
私は二人が何で言い合っているのかわからず、困惑した。そうしていると、今度は遼がビールの缶を片手に絡んできた。
「大人二人がなんか話してらぁ。なぁ、杏和」
少しお酒の匂いがする。率直に思った感想は酔っ払い怖い。
「あっ、遼!また新しいの開けて・・!さっきので終わりって言ったのに」
「杏和も飲むか?」
「え・・いや・・」
「あー、もう・・杏和ちゃん、もう帰った方がいいよ」
「は、はい。・・ありがとうございました」
私はそそくさと部屋を後にした。人の部屋に入るのが軽くトラウマになった。
気分屋なので梅雨は嫌な時と「傘なんかいらん!」となる時がある。
友人から最近鼻で笑われる。
「めんどくせぇ」って。




