僕がいた
───がいた (いつからいたの)
ウチがいた (なんでいるの)
わたしがいた。 (きえてよ)
そのうちみんな混ざって、
○○がいた。 (なんで変わるの)
私がいた。 (変わらないでよ)
いつの間にか、変わっていた (変わりたくなんかない)
特に意識していたわけでもないけれど、時間と共に、変わっていた
自分が、変わっていた。 (変わるなってば)
使い分けられるようになったわけではなくて、
使い分けることなどできなくて、 (そんな事できたら今頃)
自分が、変わっていった。 (みんな消えてる)
影響されやすいのだと、いつしか気付いた (気付くの遅いよ)
自分が弱いのだと、いつしか気付いた (もっと早く気付けたよね)
気付きたくはなかったけれど、ふと、気付いてしまった。
ただただ人目を引くため (人目なんて引いてどうするの)
ただただ自分を守るために (守るほどのものじゃない)
ただただ理解者を求めて。(理解者なんて必要ない)
そうするうちに、 (どうして)
わかってしまって。 (知ろうとしてしまうの)
私のことを、みんなが見ている。 (そんなことない)
○○のことなど、誰もみていない。 (そんなことはない)
自分のことなど、なにもわからない。 (それは違う)
いつしか見失っていた (元々見つけてなんかいなかった)
大切なはずなのに (ほんとうに?)
ないといけないのに。 (本当に?)
何で、ないといけないの? (いけなくなんてない)
何でって、ないといけないからだよ (なぜ?)
どうして? (どうしてだろう)
どうしてもだよ (どうしてもじゃない)
なぜ? (知るわけない)
なぜだろう (知っているはずがない)
───って、何? (───だ)
ウチって、誰? (あなたはあなただ)
わたしは、どこ? (わたしはそこに)
私は誰? (私以外の何者でもない。)
○○は何? (みんな、ワタシの一部だ)
あなたはだれ? (僕は、僕だ)
───はウチ。 (そうだ)
ウチはわたし。 (そうなんだ)
わたしは私の中に。 (迷う必要はない)
私は○○。 (それが)
○○はあなた。 (正しいのだから)
あなたも───。 (僕も、ワタシなのだから)
みんな同じで
自分の一部で
だけどワタシではなくて。
───はいらない。 (そんなことはない)
ウチは必要ない。 (そんな事はない)
○○もいらない。 (そうじゃない)
私も、必要ない。 (そうじゃないんだ)
ワタシはワタシ。
それだけで、充分なんだ。
(何も考えるな)
考えることをやめたのは、 (そうすれば、)
そのせいだろうか。 (哀しまなくてすむ)
(疲れずにすむ)
考えず、ただ流されて。 (なにも思うな)
成り行きに任せて。 (心配などいらない)
流されるままにここまできた。
(君は僕が、)
私は私。 (護るから)
僕は僕。
それが、当たり前だから。
疑うことなど忘れて。
いつのまにか、僕がいた。
他人のことを気にせず、
気にされていないと思い、
他人の中にはいることをやめたとき、
逃げ道は、僕の中にあった。
逃げてもいいと思った
逃げているのだと、思った
逃げ道としての、僕がいた。
引き留めてくれる私は、もういない。
今、私ではなく、僕がいた。
逃げ道へと引き込むのは、いつだって、僕だった。