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プロローグ

 空が、珍しく晴れていた。

 湿った灰色の中、ぽっかりと青い丸が顔を覗かせる。


 日の光が差し込む、ビルの谷間を真っ直ぐに。その先は、トウキョウタワー。

 しかし、赤くはない。

 そのトウキョウタワーはコケがこびり付き、ツタが生えていた。色あせ、ペンキが剥げている。

 箒に跨った人間がその周りを飛んでいる。

 剣を背負った人間が、軽口を叩きながら歩いてゆく。


 そう、これは遠い未来、仮想空間でのお話。

 トウキョウタワーがダンジョンと化した、初めての日の話である。


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