第9話 文化祭、トラブル発生!?リーダーの決断
和歌山の田舎から飛び出した水木菜奈(16)。
文化祭リーダー就任——
「水木!!展示の電源が……ヤバい!!」
初っ端から大ピンチ!?
1.文化祭当日、まさかのトラブル!
「水木!!展示の電源が……ヤバい!!」
朝からバタバタしっぱなしの文化祭当日。
開始1時間前になって、展示のLEDオブジェがまったく光らないという最悪の事態が発生した。
「えっ!?ちょっと待って、どういうこと!?」
菜奈は慌てて駆け寄る。
昨日の時点では、ちゃんと動いていたはずなのに、スイッチを入れても無反応。
「配線チェックしたん?」
「今やってるけど……どこが原因か分からん!」
(いやいや、なんでこのタイミング!?こんなん、映画とかドラマだけの話ちゃうん!?)
文化祭の開始まで、あと1時間。
このままでは、何も動かないままお客さんを迎えることになる。
(え、普通に詰んでない?やばいって、これリーダー失格とかいうレベルちゃうやん!!)
でも、菜奈は電気の知識にそこまで詳しくない。
つまり——
(……いや、そもそも何を直せばええか分からん!!!)
焦るばかりで、頭の中は真っ白。
周りの声が遠くに聞こえるレベルで混乱していた、その時——
「水木、落ち着け!」
バシッと肩を叩かれる。
「とりあえず、原因を一個ずつ探していこう。こういう時こそ、ちゃんと指示出さな!」
振り向くと、班の男子・山田が冷静な顔でこっちを見ていた。
(……指示?)
「リーダーは自分で全部解決せんでええねん。何をすべきか、みんなに伝えるんが仕事やろ?」
(……あ。)
(ほんまや。
全部自分でやらなアカンって思ってたけど、それがリーダーの仕事ちゃうんや。)
2.初めてのリーダーらしい指示!
「みんな!!まずは役割分担しよ!」
菜奈の声に、班のメンバーがピタッと動きを止める。
「配線チェック班と、電源チェック班に分かれて!」
「おっしゃ、配線組やるわ!」
「俺は?」
「お客さん対応の準備進めといて!展示が直るまで、説明でごまかせるようにしといて!」
「了解!」
一気にそれぞれが散っていく。
(……え、今のうち、リーダーっぽくなかった!?)
いつもなら指示される側やったのに、今はみんなが菜奈の指示を聞いて動いてる。
今まで「リーダーは無理」って思ってたけど、やってみると意外と……。
「電源、チェック完了!どうやら、ここの接続部分がゆるんでたっぽい!」
「ほんまに!?じゃあ、そこを直せば……!」
——ピカッ!!!
「ついたぁぁぁぁ!!!」
LEDオブジェが、無事に点灯。
予定していた「未来の光」ショーケースが復活した。
「よっしゃー!!!」
「間に合った!!」
班のメンバーが歓声を上げる中、山田がニヤッと笑って言った。
「水木、ナイス指示やったな!」
「えっ、うち?」
「せやで!水木がちゃんとまとめたから、すぐ直せたんや!」
(……え、これ、もしかしてうち、リーダー向いてる説あるんちゃう??)
<(`^´)>
3.文化祭スタート!そして、まさかの出会い?
無事にトラブルを乗り越え、文化祭がスタート。
「おっ、この展示、ええやん!」
聞き覚えのある声に、菜奈はハッとして振り向く。
「……えっ!?真理奈!!?」
そこにいたのは、大阪のライブ友達・真理奈だった。
「なんで!?なんでここに!?」
「なんか友達に誘われて、和歌山の文化祭に遊びに来てん。」
(えぇぇぇ、そんなことある!?)
「てか、水木、こんなんやっとったんや!」
「え、えっと……うん。なんか、リーダーすることになって……。」
<(`^´)>
「へぇ~、なんか意外!でも、ええやん!」
真理奈はニッと笑った。
「ライブの時とええ勝負やな!」
(ライブの時と……?)
言われてみれば、文化祭の準備をしてる時の気持ちは、ライブと似ていた。
仲間と一緒に作り上げる達成感。
本番前の緊張感。
そして、お客さんの前に立つワクワク。
(……ライブと、似てるんかも。)
少しずつ、自分の世界が広がっていく気がした。
この作品は「カクヨム」でも掲載中!
▶ カクヨム掲載ページはこちら(https://kakuyomu.jp/works/16818622170337121432)
Re:VOLT 公式プロフィールもあります。
一度見てくださいね。