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菜奈のライブ遠征物語  作者: クロクマせんぱい
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第2話 都会の洗礼!ナンパと大混乱

和歌山の田舎から飛び出した水木菜奈(16)。

都会デビュー初日に、まさかのナンパ!?

逃げ場なしのピンチに、現れたのはライブ好きのボーイッシュ女子。

「せっかく大阪来たんやし、楽しもや!」

ライブ前に都会の洗礼を受けた菜奈。

これは、田舎モンの“変わる”物語——。


1.まさかのナンパ!?


「お姉さん、ちょっとええ?」


トイレから出たばかりの菜奈に、突然かけられた声。

思わず足が止まる。


(え?え?なんや!?)


目の前には、20歳くらいの細身の男。

ゆるくパーマのかかった髪に黒スキニー、オーバーサイズのシャツ——いかにも都会っぽい雰囲気。


「今から暇?ちょっとお茶でも行かへん?」


(……え?)


ナンパ。

頭の中に、その単語が浮かんで、心臓がドクンと跳ねた。


(えぇぇぇ!?これ、もしかしてナンパ!?いやいや、そんなことある!?)


パニックのせいか、手のひらがじんわり汗ばんでくる。

男は警戒する様子もなく、気さくな笑みを浮かべていた。


「大丈夫、変なやつちゃうって。俺、あそこのカフェでバイトしてるねん。」


指差した先には、おしゃれなカフェ。


(いやいや、そんなこと言われても……!)


「え、えっと……」


どうする?断る?いや、都会の人ってこんな感じなん?

これ、普通に話すべき?それとも、やっぱり逃げたほうがええん?


焦りまくった結果、口から出たのは——


「か、かまんけど……」


「え、何?かまん?って、どっち?行けるん?」


(しまったぁぁぁぁぁ!!!)


「かまん」は「大丈夫、問題ない」の意味やんか!


でも、大阪ではそんな言葉、誰も使わない。


案の定、男は意味が分からなかったようで、困惑した顔をしている。


「あっ、えっと、その……かまんっていうか……まぁ……たいがい?」


「たいがい!?それ、どういう意味!?」


「……いや、えっと……まぁ、その……」


もう何を言っているのか自分でも分からない。

とにかく、ここから早く逃げたいのに、頭が真っ白になって言葉が出てこない!


そんな時——


「お姉さん、俺らと遊ばん?」


さらに別の男が、横からひょいと割り込んできた。



2.さらに増える!?逃げ場なしのピンチ!


「なぁなぁ、どっから来たん?観光?」

「めっちゃオシャレやん!その服、どこで買こうたん?」


さっきの男の友達らしき二人が加わり、気づけば菜奈は囲まれていた。


(やばいやばいやばい!!うち、こういうのほんま無理やねん!!)


全力で頭をフル回転させるが、どうやってこの状況を抜け出せばいいのか分からない。


「え、えっと……あの……うちは……電圧が……いや違う、テンションが上がらんっていうか……」


「電圧!?なんやそれ、理系の新しいギャル語!?」


「違う違う違う!!」


完全に言葉選びを間違えた。

ますます混乱するナンパ男たち。


(今や!!)


その隙をついて、一歩後ろへ下がろうとした——


が、何かにぶつかった。


「あっ、ごめんなさい!」


振り向くと、ショートカットの女の子が立っていた。

黒いTシャツにダメージジーンズ。手にはスマホ。


女の子は、菜奈の顔を見て目を丸くした。


「あれ?さっきライブハウスで会わんかった?」


(ライブハウス!?)


ナンパ男たちの視線が逸れた瞬間、女の子が菜奈の腕をガシッと掴む。


「ほら、行くで!」


「えっ、えええっ!?」


何が何だかわからないまま、菜奈はそのまま引っ張られて走り出した。



3.助けてくれたのは、大阪のライブ好き女子!?


人混みを抜けた先のカフェ。

女の子は椅子にドカッと座ると、大きく息をついた。


「ふぅ……ナンパされとったな。初めて?」


「う、うん……。」


まだ心臓がバクバクしている。

ようやく落ち着いて、助けてくれた女の子をじっくり見た。


ショートカットに、ゆるっとした黒Tシャツ。

ボーイッシュな雰囲気で、どこかカッコいい。


「うち、真理奈まりな。あんた、ライブ行くんやろ?」


「えっ!?なんでわかったん?」


「その格好、めっちゃライブ行く感じやん。」


(まじか……これ、ライブ向きの服やったんや……!)


「しかも、リボルトやろ?うちも今日行くねん。」


「えっ、ほんまに!?」


思わぬ共通点に、菜奈の緊張が少しだけ和らぐ。


「……でも、さっきのヤバかったな。」


「ああ、あれ?別に普通やで。都会やと、あのくらいの日常茶飯事や。」


「えぇぇ!?マジで!?」


「そんなん知らんと来たん?」


菜奈は一瞬、答えに詰まる。


(そうや……うちは、都会のこと、何も知らんまま来たんや。)


和歌山での静かな日常とはまるで違う。

何もかもが新鮮で、驚きの連続だった。


真理奈はニッと笑い、スマホをパタンと閉じる。


「せっかく大阪来たんやし、楽しもや。ライブ、めっちゃ盛り上がるで!」


(楽しむ……か……。)


都会の洗礼を受けた菜奈は、この日、初めて「ライブに行く」という実感を持った。



4.そして、ライブが始まる……!


ライブハウスの前に立つ菜奈と真理奈。

中からは、すでに観客のざわめきが聞こえてくる。


「ほな、行こか!」


「……うん!」


不安もある。

でも、それ以上にワクワクしている自分がいた。


菜奈の人生初のライブが、今、始まろうとしていた——。

この作品は「カクヨム」でも掲載中!

▶ カクヨム掲載ページはこちら(https://kakuyomu.jp/works/16818622170337121432)

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