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菜奈のライブ遠征物語  作者: クロクマせんぱい
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第1話 間違い通販と大阪デビュー

水木菜奈(16)、和歌山の田舎で退屈しとる女子高生。

ある日、間違えて届いた都会的なセットアップ。

ほんで、突然舞い込んだライブの通知。

「……よっしゃ、行ったるわ!」

初めての大阪、初めてのライブ。

田舎モンの大阪デビュー、波乱の幕開けや——。


1.和歌山の田舎、退屈な日々


「はぁ……退屈や……。」


水木菜奈(16)は、天井をぼんやりと見つめながら布団に寝転がっていた。

高校に入学して半年。特に大きな変化もなく、ただ日常が過ぎていく。


彼女が通うのは、和歌山の工業高校・電気科。

クラスの9割は男子で、女子はほんの数人。おしゃれなカフェで放課後を過ごすわけでもなく、毎日工具を使って作業する日々。


(まぁ、別にええけどな……。)


SNSでは、同じ学校の他の学科の子たちが「放課後カフェ!」「制服ディズニー!」と楽しそうな写真をアップしている。

自分には縁のない世界。


唯一の楽しみは、好きなバンド「Re:VOLTリボルト」の音楽。

イヤホンを耳に差し、スマホで再生した曲に浸る時間だけが、菜奈にとっての

“特別”だった。


「RE:VOLTAGE のライブ、いつか行ってみたいな……。」

そう思うものの、和歌山の田舎町に住んでいる限り、ライブなんて夢のまた夢だった。



2.通販の悲劇


そんなある日、家に届いた一つの荷物。


「やっと届いた!」


封を開けた瞬間、菜奈は固まった。


「……え?」


注文したのはバンドTシャツだったはずなのに、なぜか超オシャレな黒×ゴールドのセットアップが入っている。

生地はしっかりしてるし、デザインも都会的。


(え、なんで?こんなん絶対似合わんやん……。)


慌ててスマホの注文履歴を確認すると、どうやら商品を間違えて購入してしまったらしい。

しかも、セール品のため返品不可。


「はぁ……最悪や……。」


タグすら外さず、そのままクローゼットの奥に押し込んだ。



3.人生初のライブ参戦!


それから数週間後——。

菜奈のスマホが震える。


≪『RE:VOLTAGE 全国ツアー決定!』


「……えっ!?」


大阪・難波でライブ開催の通知。


(行きたい……でも、一人でライブとか行ったことないし……。)


悩みに悩んだ末、、


悩みに悩んだ末、、


悩みに悩んだ末、、


あっ!!


購入ボタンを押してしまった。。。


「……よし、行くぞ!」



4.クローゼットの封印を解く時


「せっかくライブ行くんやし、ちょっとはオシャレしたいな……。」


クローゼット・・・・


目に飛び込んできたのは、あの通販で間違えて買ったセットアップ。


(……これ、着たらどうなんやろ?)


(うわ、やっぱり無理や。うちには似合わん。)


でも、せっかくのライブなのに、いつもの地味な服で行くのも何か違う気がする。

しばらく悩んでから、小さく決意する。


「……よし、大阪着いたら着替えよっ。」



5.いざ、大阪へ!


ライブ当日。


初めての大阪に、菜奈は緊張しながら電車に乗り込んだ。


(難波の駅に着いたら、まずこの公園に行ってトイレで着替える……!)

(トイレで着替えるって、なんかよくないことしてるみたい。)(ちょっとワクワク)


電車の窓から流れる景色をぼんやり眺める。

次第に田舎の緑が消え、高層ビルが立ち並ぶ都会の風景に変わっていく。


——そして、大阪・難波。


「人、多っ……!!」


スーツ姿のサラリーマン、外国人観光客、若者のグループ……。

雑踏の音と活気が、菜奈の足をすくませる。


(やっぱり都会って、うちには場違いなんちゃうかな……。)


でも、ここまで来たんや。

そう自分に言い聞かせ、意を決して歩き出す。



6.そして、変身——!?


難波の小さな公園のトイレ。

リュックからセットアップを取り出し、着替える。


「……ほんまに着るんか、これ。」


鏡の前に立ち、ジャケットの襟を直し、リップを塗る。

そして、ゆっくりと顔を上げた瞬間——。


「……え?」


そこに映っていたのは、今まで見たことのない自分だった。


黒のジャケットが、不思議と都会の雰囲気を作り出している。

ほんのり色づいた唇が、表情を少しだけ大人びたものにしている。


「……これ、ほんまにうち?」


(なんか……いける気がする。)


心の中で、ふわっと高揚感が広がる。


「変われるかもしれん。」

「これが、“大阪の私”なんかもしれん。」



7.ここからが本当の始まり


胸の奥がドキドキする。

こんな気持ち、初めてだった。


(これから、何か変わるんかもしれん——。)


そう思ったその瞬間——。


「お姉さん、ちょっとええ?」


知らない男の声がした。

振り向くと、見知らぬ若い男が立っていた。


「えっ……?」


——菜奈の、大阪デビューが波乱の幕開けを迎えた。

この作品は「カクヨム」でも掲載中!

ぜひチェックしてみてな!


▶ カクヨミ掲載ページはこちら(https://kakuyomu.jp/works/16818622170337121432)

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