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丘の上の雑貨屋と魔王モール  作者: 登石ゆのみ
第16章 魔女帰省編
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魔女の初恋改ざん魔法、それは純情派おっさんに効く

攻めてきた敵にかけた魔女のコスプレ魔法放課後の夕暮れ・教室ラビリンスオブオレンジデイズの一幕から始まります。敵のケンタウロス族のケイロンを魔法にかけていますので、ケンタウロスが通う学校ということで。。

――魔女の空間ごと塗り替える魔法。終わるまでその効果はわからない。

俺たちは彼からは見えないようだ。まるでVR映画を見ているようだ。


ケイロンは、いつの間にか若返り、学ランを着ていた。


そして――彼の目の前に、もじもじしながら手紙を差し出す女学生。ケンタウロスの姿をした、だけど線の細い美脚をもった女学生。

顔は深窓の令嬢のように白く整い、つややかな黒髪が夕焼けに輝く。

(……ケンタウロスの学校、なんてジャンルがあるのか?)


「こ、これは……!」

うろたえるケンタウロスの賢人・ケイロン。(※ケンタウロス族のうち、頭の良いものをケイロンという。だからケンタウロスの学校)


『君の初恋を再生させてもらっているよ、色男くん。ナレーションは私がしよう』

……こうして、最低の魔法劇が幕を上げた。


「ずっと、この想いを告げることを夢見てました」

彼女はそういうと、手紙を差し出し、あらからめた顔を俯かせる。

あの日みた窓からの夕焼け、どういうことかその光に強い懐かしさを覚え、震える彼女の手紙を受け取った。

「開けて、いいかな?」


コクリ、震えながら小さくうなずく彼女。


――手紙には、誰もが一度は夢見るような、淡い恋の詩。

少年は、夕日の中で、少女の手を取った。


見つけ合う二人。

差し込む夕日は、青春のオレンジ。

学校の教室窓からすぅっと風が入り込むが、熱くなった二人の心が冷ますことはなかった。


遠くから聞こえる部活動の掛け声は、まるで神々の談笑。

まるで世界が二人を祝福しているようだった。

やがて、手を取り合い見つめあった二人は――。


**ーー**--**

〈シャラン〉魔法が終わり、俺たちは現実の空間へ戻される。


「や、やめろおぉお!」


叫び声とともに、幻覚魔法が終わりケイロンが膝をつく。息が荒い。


「おいおい、これからじゃあないか。甘酸っぱい思い出を我々にも見せてくれよ」

「こ、こんな、こんな魔法……、見たことも聞いたこともないぞ!」


動揺を隠せないケイロンに、ひょうひょうと魔女は言い放つ。

「そりゃあ、私のオリジナル魔法だからね」

「だ、だいたい、私にはあんな思い出は……」


「おいおい、隠し事をするなよ。いいじゃないか、シェアしようじゃないか」

「違わない! 私はこれでも魔王大学医学部に合格するため、受験勉強の日々だったのだ……。あんな思い出は……、いや、まてよ、確かあの夕暮れは……うあああぁぁー!」


ケイロンが頭を抱えもだえ苦しむ。髪が乱れ、巨大化した足も元に戻る。


頭をかきむしるイケメンに俺らは思わず身を引いてしまう。

「こ、これが最悪の魔女"ワルプルギスの昼"の力……」

「絶対こんな魔法受けたくないっす」

スコリィも顔を青ざめてしまっている。


「もしや、すべてを無にするという噂は……!」

ペッカがひらめいたように声を出す。


得意げに魔女が答える。

「無にするとは大げさすぎるが、……いかなる種類の記憶をも改ざんする魔法。今回のは初恋の記憶《コスプレ魔法・はぐれ初恋純情版》さ」

「改ざんって言っちゃったよ! 最低最悪の魔法だ!」


俺のツッコミも虚しく、魔女はうっとりと続ける。

「そもそも君たち、初恋って何だったか覚えてるかい? 人の記憶なんてあいまいで、改ざんされているものだよ。どうせ“改ざん”されてるなら、プロに任せた方がいいと思わない?」


いや、絶対に任せたくない。


さすがに頭を抱えるケイロンを不憫に思った俺は、魔女に申し出る。

「あの、これくらいにしておいたほうが……」


しかし、顔を紅潮させたガディが、俺を押しのけ身を乗り出す。

「ワタクシ、さっきの続きが気になります……!」

この水の精霊、順応早すぎだろ。

初恋の記憶を改ざんする魔法。存在しない記憶を植え付けられると、神話級の強さの異世界住民でもきついようです。

ちなみに作者に初恋はありません。

……感想・コメントお待ちしております!


2025.8.15 主人公の一人称を俺にして、それに合わせて各所書き直しました!

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