表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
丘の上の雑貨屋と魔王モール  作者: 登石ゆのみ
第16章 魔女帰省編
96/197

医術を極めたイケメンの変態率は異常(異世界調べ)

ケイロンがきましたが……。

「こいつは、医術を極めたケンタウロス! ケイロン!」

スラコロウが焦ったように叫ぶ。


「医術を極めたは言い過ぎさ! 私は薬専門だしね……!」

白衣に馬の下半身。その馬の背には何やら怪しげな丸薬の山。


「医術極めたとか、どうでもいいんだよ! コーヒーをくれ! コーヒーを、我に与えよッ!!」

左手を胸にそえ、右手を天に伸ばし、俺は叫ぶ。

ただ、いくら大きな声で叫んでも……眠い。


「ありますよ」

「なっ!?」


「申し遅れました。私、魔王モール4号店ドラッグ部門の健康素材部隊長ドーピング・草野。このあたりに珍しい素材があると耳にしてやってきました」


どう考えても健康素材集めている感じじゃないが、魔王モールなら仕方ないか。

って、このあたりの素材、そんな貴重なのあるの……?


「御託はいい……! コーヒーをくれ! コーヒーを飲んで俺は昼寝をする!」

「お前、もう目的と手段を取り違えるレベルじゃないぞ」

スラコロウが俺に何か言っているが聞こえない。


「特別なコーヒーですからねえ。珍しい素材と交換ならいいですよ」


「なんでもいいぞ! さあ、うちの自慢の雑貨屋をみてくれ!」

「気前がいいですねぇ!」


俺は店の在庫を減らせるうえにコーヒーが手に入るとは、なんて幸運だと意気揚々としていた。


「てんちょー、ルルドナさん奥に運んでおくっすね……」

小さいままのサイズのルルドナの入った茶碗を運ぶスコリィ。月明かりがよく当たるように窓際に置いておいたが、確かに商品と間違われるかもしれない。


「! そ、それは……!?」

文字通り、ケイロンの目の色が変わる。まるで雷のような閃きが、そのグレーの瞳に一瞬、走った。


「ああ、ちょっと……、人形のお風呂実験をしてまして」

自分でも苦しい言い訳。この年で美少女人形でお風呂遊びしていると誤解されたらどうしよう……?


ケイロンの馬体がわずかに震え、その白衣をまとった腕を伸ばす。

「それをくれないか……!」


俺はケイロンとルルドナの間に立ち、強い視線を相手に向ける。

「ルルドナは商品じゃない。それだけは、ダメだ!」


「いや、何か勘違いしているようだが、私が欲しいのはその人形じゃない」


「……?」

「その人形の……」


ゴクリ……。全員が息をのむ。

「入っていた――残り湯をくれないか」


……。


「は? 残り湯?」

こいつも変態かよ。

だいたい変態です。


感想・コメントお待ちしております!


2025.8.15 主人公の一人称を俺にして、それに合わせて各所書き直しました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ