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丘の上の雑貨屋と魔王モール  作者: 登石ゆのみ
第14章 茶屋から帰省編
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謙遜しすぎると勝手に看板を派手にされかねないから気をつけろ

【あらすじ】魔王モールからルルドナを取り戻し、クタニだけ寄り道をして、伝説の勇者『六古窯』の瀬戸さんの馬車に乗せて貰って帰る途中。ようやく、故郷(転生した場所)に戻れるようだが……。

 〈カタンコトン。カタンコトン〉

 ――乗せてもらった馬車の中。


 備前さんは近いうちに遊びにいくと言って、そのままお茶屋に戻った。

 狸顔の主人は結局、昼寝をしたまま会えずじまいだった。


 イゴラくんは、一応地元の山なんだし、もしかしたら自力で戻っているかもしれないとひとまずスロウタウンへ戻ることにした。


 瀬戸さんと二人きりで馬車に乗る。

 正確にはスラコロウもいるが、リュックの中で硬くなって眠っている。


「あなたよく見ると、ちょっといい男になったじゃない」


 たしかに、ちょっとはマシになったかもしれない。

「……気のせいですよ」


 自分の頬をなでながら、謙遜する。

「おほほほ。日本人らしく、謙遜ですか。でも謙遜し続けていたら、いつの間にか何もなくっていることになるかもしれないですわよ」


 いや、俺はダメなんだ。そういう、自己主張とか。


「謙遜して謙遜して最後にここほれワンワンとなく犬と幸せに暮らしますよ」

「おっほっほ。いじわる爺さんに気をつけなきゃいけないわねぇ」


「灰になんかさせませんよ」

「でもねえ。枯れ木になる前に、そもそも花を一度は咲かせなきゃ。せっかく転生したんだもの」

 この人、返しがうまいな。さすが伝説の勇者。


「花を咲かせたら摘み取られてしまうだけですよ」


「おっほっほ、誰も摘み取れないくらい高いところに咲かせればいいのよぉ。あなたは何かできそうな気がするわ。ともかくチャンスがあったらどんどんいっちゃいなさいな」


「そうですね。ま、面白い話になりそうなら、そちらに全力でいきますよ」

 微笑んだ俺はたしかに、少しは男前になったかもしれない。


***

 馬車が村に近づくころ、ふと胸の奥がざわついた。何かがおかしいような、何かが待ち構えているような──。

  ……その予感は、見事に当たった。


 俺を待ち受けていたのは、ある意味で最大の困難だった。


 そう、なつかしの我が店は、――めちゃくちゃ派手になっていた。


 イルミネーション満載の看板に、たくさんの照明。周囲は真っ白の大理石で装飾されていた。


 まるで駅前のパチンコ屋である。


『クラフトルナティ商会』と書かれているが、もう派手でダサくて仕方がない。


「て、てんちょー。遅いっすよ……」スコリィが居心地悪そうにこちらを見る。


 中は閑散としていた。そりゃ田舎でこんなもの作っても誰も来ないだろ。


「伝説の看板になるぞ」ペッカが愉快そうに笑う。他人事だと思いやがって。


「父はたぶん善意でやったと思うのですが」ガディは申し訳なさそうである。


 ルルドナは、お気に入りのソファですやすやと眠っていた。窓から顔だけ見える。


「ほら、置かれた場所で咲きなさいってよく言うじゃないですか」ガディがフォローする。お前それどこで知ったんだよ。


「咲きすぎだ! 客層変わっちゃうぞ!」


 俺が必死に抵抗するも、瀬戸さんは大笑い。

「おほほほ! 派手でいいじゃない! 案外、爆安の殿堂みたいな肩書がついて売れるかもしれないわよお!」


「こんな店で焼き物が売れるわけがない!」

 頭を抱えながら、ツッコミをいれる。そもそもスローライフがしたいのに、なんだこの派手さは!


 ――すると、意外なところから反応があった。


「いいえ! あきらめてはダメです! 売れないものを売れるヒント……、お教えしましょうか?」

 知らない声。それは……。


「失礼、私、魔王ペイ営業部のバーコード・ペイ次郎です。このたび、魔王ペイの導入をしていただこうかと思いまして参りました次第です」


 ……また、ろくでもないのが来た。

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