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丘の上の雑貨屋と魔王モール  作者: 登石ゆのみ
第12章 誰得山登り編
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博多弁の妹ほど頼れる存在はない

地面のパンを使って、どうにかなるのでしょうか?

「どうにかなるって?」

 上空を舞う敵は旋回の高度を低くして、こちらに狙いを定めている。


「夜明け前の鳥は食べもんがほしいだけやけん。別に私達が悪いわけじゃなか」


「そんなこと言っても、俺達がごちそうなのは変わらない……って、来た!」

 慌てふためくと、ライムチャートちゃんはそのまま倒れ込むように、両手をつく。


 その両手と周りのパンとなった地面が光る。


「ま、まさか……」

 彼女が使えるのは還元魔法だけではない。

 立派な石の塔をつくることもできていた。

 再構成の魔法も使えるのだ。


 ガルーダの爪が迫る。

 俺たちに勢いよく振り下ろされる鋭い爪――!


 〈ポスッ〉


 間抜けな音がする。ガルーダの爪が掴んだのは、巨大なハンバーガーだった。直径2メートルは超えるほどの巨大ハンバーガー。

 しかもあれは、てりやきチーズバーガーだ……!


「……」

 バサバサ、とホバリングするように上空で静止し、己の爪が掴んだ獲物を見るガルーダ。

 そのバーガーに納得したのか、静かにその場を去っていった。


「よ、よかったぁ……」

「……ふう、チーズば入れんと危なったね」

 いや、それはどうでもいいだろ。


「そう、なのか?」念のために尋ねる。


「この世界の魔物はグルメになってますからね」

 手に持った小型のバーガーを俺に差し出す。結構余裕あるな。


「しかし材料って、どうやって調達したんだ? チーズとか肉とか……」


「森ん中にあるタンパク分ばそれっぽくしただけよ。土とか、その中にいる……」


「ちょ、ちょっと待った! いい! 言わなくていい」


 世の中には知らないほうがいいことがある。眼の前のハンバーガーが美味しい。それでいいではないか。店でやるとコンプライアンス違反になりそうな考えだけどな……。


「そりゃ残念ばい。異世界人は化学に詳しいけん語りたかっちゃけど。どぎゃんにせよ、地面のパンがなければ危なかったばい」


 薩摩弁が混ざっているような気がしなくもないが、ともかくイゴラくんのお陰で助かった。

「で、これからどがんすっと? 登って日の出ば見ると?」


 もう空はかなり明るくなっている。日の出は近い。

「……まずはこの穴から出ないと」


 そう、俺らは、パンの地面のぶん低くなった窪地にいた。


 2mくらいだろうか? 幅広い落とし穴に落ちているようなものだ。


「私は魔力切ればい。休むけん、あとよろしくね」

 彼女はハンバーガーを食べ終えると、もそもそとレンガ帽子の縁に手をかけ―― 。

 〈スポンッ〉

 レンガの帽子に体を引っ込めた。


「ちょ、え……?」

 俺は彼女が引っ込んだレンガの帽子を持ち上げてみる。……重い。20キロはあるぞ。スコリィのやつは軽々と持ち上げてたけど。


 これを持ったままでは穴から出ることができない。

 俺は見上げながら考え込んでいた。


 ――そのとき。

 ふいに、穴の上から──黒い影が、俺を覗き込んだ。

覗き込む影の正体は……?


またこのパターンでひいてすみません。


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