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丘の上の雑貨屋と魔王モール  作者: 登石ゆのみ
第21章 雑貨屋増設編
163/198

考え込んで立ち上がると、だいたい

【あらすじ】魔法学校の夏至祭が終わり、帰って雑貨屋にいます。ただ、売りつけたモノはどうなったのか。

【登場キャラ】

・クタニ(主人公):転生者。若返り転生おっさん。中身はハニワオタク。陶器とハニワ制作でスローライフ経営を目指している。屋敷と山を10億で購入し、借金生活。

・ルルドナ:月の石を材料にしたハニワから生まれた少女。中身はクタニが転生前に契約していたAI彼女。強気だがやや抜けている。昼に強制的に寝てしまう夜勤担当。会計もしている。


・イゴラ:ミニゴーレム。魔法学校学科首席卒業。魔法やモンスターの知識が深い。力はあるが体力は無い。パン作り担当。

・スコリィ:ストーンピクシー。魔法学校実技首席卒業。高身長の推し活女子。目がいい。仕入と店番担当。


・ペッカ:フォレストミニドラゴン。子犬サイズ。経営知識を自慢したがる。暗いのが恐い。木彫り細工と配達担当。

・ガディ:デビルウンディーネ。黒い角がある水の精霊。神秘的な美しさだが、戦いになると口調が荒れる。社会勉強のため雑貨屋で働いている。掃除と店番担当。

・スラコロウ:四角いスライム。柔らかくなりたい。魔法知識が豊富で、特別な解呪魔法が使える。陶器の型担当。

・アダムン:魔法学校理事長。神の見えざる手、という魔法を使う。

・ヒュームン:夏至祭の屋台で、古本市をしていた謎の爺さん。100留しているらしい。

・狐面の少女:不思議な本の中から出てきて空き教室から連れ出した少女。

 ――雑貨屋。奥の休憩室。


 俺は震えていた。

 昼前に、手紙が来た。――魔法学校から。


「おい、とんでもないことになったぞ……!」


 驚愕の出来事が起こったのだ。


 魔法学校で売った物の数々。

 小型ハニワに、ヘルメット。


 その支払いはすべてツケにしていた。

 それで、今日、小切手が送られてきたのだが。


 震える手で手元の小切手を握る。

「あ、それ、ツケ払いのやつっすか?」

 スコリィが寄ってくる。


「そうなんだが、見てくれ……」


 ――その額、2億2500万ゲル。(※1ゲル=1円くらい……。お金の単位だけ異世界ですみません……)


 追加で、あと数百体を売ってくれと手紙に書かれているけど、それでも、高額だ。


「給与アップしてほしいっす!」スコリィがすかさず言う。

「お前はもう正社員だから、すでにかなり上がってるんだよ。月末に腰を抜かせ」

 社会保険完備とか言っちゃったし。


「マジっすか。じゃあ研究、頑張るっす!」

 そう言って、奥の研究コーナーへ消えていった。先日、彼女には火山の花の研究を許可した。


「にしても、どうしよう……」

 また借金返済に使うか、それとも設備投資に使うか。


 ――俺は、それぞれのメンバーの商品と経費を思い出す。


 俺の土器や陶器、土湿布、ハニワ造りは実質経費ゼロ。

 イゴラくんのパンは原価率3割で回しているし、ガディの水『七甲のおいしい水』もめちゃくちゃ安くで仕入れているし。

 ペッカの木彫りも経費ゼロ。

 火山噴火後の花の研究したいと言っていたスコリィには、土とか種とかを買い与えたけど、1万ゲルもいかなかった。


 瀬戸さんのお団子は定期的に配達の鳥モンスターが届けてくれるけど、これもそんなに負担ではない。

 ……設備投資、いらないじゃん。


 やっぱり余計なこと考えずに返済に充てたほうがいいのか?

 考え込みつつ。


 ――数日前の、魔法学校のことを思い出す。


******

 ――魔法学校医務室。


 白ヒゲの爺さん、もとい魔法学校理事長と狐面の少女が親友のように会話する。

「腕が鈍ったんじゃないのか。アダムン」

「お前こそ、何だその格好は。ヒュームン」

「バカめ。この脚線美がわからんのか」

「わかりたくもないわい」


 思わず尋ねる。

「あの、お二人はいったい、どんな関係ですか……?」


 アダムン理事長が応える。

「古くからの友人での。こいつは何か最近、仮装魔法ばかりしておる」

「おいおい。そのおかげで助かったんだぞ」

 狐面の少女が得意げに言う。


「合成魔法なんてひさびさで緊張したわい」

「理事長、失格だな」

「百留しているやつに言われたくないわい」


 またしても尋ねる。

「ヒュームンさん、なぜ少女の姿に? 狐の面も」

「お面は必要なのだ」


「なぜです?」


「キャラ作りだ。コスプレ魔法の基礎だ」

「は?」

 久々に出てきた意外な魔法の響きに、頭が真っ白になる。


「魔女ヒルデからきいていないのか?」

「え?」

 いきなり、何だ? ヒルデのことをなぜ知っているんだ?


「魔女ヒルデの弟子だったんだろう?」

「ま、まあ、流れで」


「実は……私もだ」

「ええ!? ……あ! だから兄弟子?」


「そうだ。もっとも、……この姿で会ったことはないが。二度と会うことはないか」

 声が、少し悲しいトーンになる。

 そうだ、もう、魔女ヒルデは。


 俺は明るく声を出す。

「だから俺にあんないたずらをしたんですね! 幻の優等生っていうのはジョークですよね?」

 ノートの最後を見せる。


「ふん。まあ、……そうだな。……完全に嘘ではないが」


「完全に嘘ではない?」

「もったいぶったことを言うようで悪いが、お前の魂の真実については、自分でたどり着け。そういう制約があるのだ」


「制約、ですか?」


「詳しいことはいえない。ちなみに私はセントラルライフシティで古本屋をしている。困ったらいつでもこい」


「その前に卒業した方が……」


「何を言っている。100留したのだ。200留を目指すに決まっているではないか」

 天才だけどバカなタイプだ。

 尊重しつつ、流す。

「夢は人それぞれですね」


「してクタニくん。これからどうするつもりじゃ。ワシらは、危険ペットショップ部門とかいうのを調べてみるつもりじゃが」


「俺はしがない雑貨屋です。まだ借金も残ってますし、雑貨屋を続けますよ」


***

 と、出てきたけど、なんかいろいろと気になってしかたない。


 ――特に概念の怪物の欠片。その残留物キメラ。


 偶然にしても不自然なほど、僕たちを襲ってきた。


 待てよ。

 まずは、店が壊されないよう、頑丈にする必要があるのでは?


 結界魔法が使える人物を雇うか?


 そのとき、ふと概念の怪物の欠片との戦いを思い出す。


 そういえば、食堂の若女将アツミさんは、鍋で強力な結界を作っていたような……。


(よし、さりげなく学食へ行こう。彼女に会えるし、コロッケ定食の食券あるし)


 そう決めて立ち上がったとき、――店の方から大きな声がした。


「ごめんくださいーい!」

雑ですが、ひとまずまとめました! 長くなりすぎたので……。後の話でジワジワと回収していきます……。


2025.8.21 ちょっとだけ書き直しました。

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