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丘の上の雑貨屋と魔王モール  作者: 登石ゆのみ
第20章 魔法学校夏至祭編
162/198

魔法学校の夜、残留物キメラ

【あらすじ】魔法学校夏至祭の後夜祭に突如現れた概念の怪物の欠片。理事長と狐面の少女の力で追い払ったが、そのあとに発生した残留物のキメラが襲いかかる。

【登場キャラ】

・クタニ(主人公):転生者。若返り転生おっさん。中身はハニワオタク。陶器とハニワ制作でスローライフ経営を目指している。屋敷と山を10億で購入し、借金生活。

・ルルドナ:月の石を材料にしたハニワから生まれた少女。中身はクタニが転生前に契約していたAI彼女。強気だがやや抜けている。昼に強制的に寝てしまう夜勤担当。会計もしている。


・イゴラ:ミニゴーレム。魔法学校学科首席卒業。魔法やモンスターの知識が深い。力はあるが体力は無い。パン作り担当。

・スコリィ:ストーンピクシー。魔法学校実技首席卒業。高身長の推し活女子。目がいい。仕入と店番担当。


・ペッカ:フォレストミニドラゴン。子犬サイズ。経営知識を自慢したがる。暗いのが恐い。木彫り細工と配達担当。

・ガディ:デビルウンディーネ。黒い角がある水の精霊。神秘的な美しさだが、戦いになると口調が荒れる。社会勉強のため雑貨屋で働いている。掃除と店番担当。


 空中に浮いた巨大な化け物。キメラというにはあまりに巨大な。まるでコンテナトラックのような大きさだ。


〈グオォォォーー!!〉

 目の間に迫る化け物の足。

 ――だめだ、大きすぎてよけることができない。


「クタニッ!」

 俺の前に真っ先に駆けつけたのは、紅赤の髪の少女。

〈ドゥンッ!〉

 彼女の重力魔法が、キメラを吹き飛ばす。

「ルルドナ!」


〈オォォォー!〉

 次は竜巻が発生する。キメラの巨体は回転しながら空中に吹き飛ばされる。

「てんちょー、やっぱり、最初に狙われるんすよね」

 そう言いつつ、スコリィの口元はわずかに笑っていた。

「スコリィ!」


〈ザンザンザンッ!〉

 空中に浮いた巨体に、水の針が何百と突き刺さる。

 〈ぐぉぉぉーー!〉

「クタニ、今度清めの水をプレゼントするぜ!」

「ガディ!」


〈フィオンフィオンフィオン!〉

「暴れ足りんかったけんね!」

 空を覆い尽くさんばかりの巨大な白い魔法陣。不思議な音を出し、敵を囲う魔法の螺旋。

 これは、神々の――力。

 キメラのつぎはぎだらけの表皮が分解、消失し、小さくなる。

「ライムチャートちゃん!」


 彼女の魔法でずいぶんと小さくなった残留物キメラ。

 そのまま消滅してくれ。

 ――誰もがそう祈った瞬間。

〈バチバチバチッ!!〉

 雷のようなものを発生させ、渾身の力で、魔法から逃れる残留物キメラ。


 ――しかし。

〈ドォン!!〉

 巨大な木製のドラゴンの足が空中に発生し、キメラを勢いよく地面に押さえつける。

「全員、動けるようになったらお前の元に走って行ったぞ」

「ペッカ!」


「そのまま押さえつけてなさい!」

 ルルドナが力を溜め、体を勢いよくひねり、渾身の回し蹴り。


 ――だがその寸前。

〈フッ……!〉

 残留物キメラが消える。


〈ブンッ!〉

 ルルドナの蹴りが空を切る。

「なっ……!」


「倒してしまわれると、困るんですよねぇ」

 ――突如。

 しわがれた、地響きのような声。


 渦巻く雲をまるで操っているかのような。


 巨大な鎖を持った黄色のタキシードの男が、空中に悠々と浮かんでいた。


「このキメラは、魔王モール4号店の危険ペットショップ部門がお引き取りいたします」

 残留物キメラは、黒紫の魔法陣の描かれた極太の鎖に巻かれている。苦しそうにもがいているが、その太い鎖をどうすることもできないようだった。


「弱らせていただきありがとう。あなたがたは象牙の塔で祭りでもしていてください」


 そう言うとあっさりと、その男は姿を消した。

 ――残留物キメラをつれて。


 俺たちは全員、動くことすらできなかった。


 見上げた夜空には、不気味なほどきれいな星空が広がっていた。

(※主人公の一人称、僕→俺に変更中)

短いですがこんな感じで、脅威は完全に去りました。

戦闘シーン修正しました!


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