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丘の上の雑貨屋と魔王モール  作者: 登石ゆのみ
第20章 魔法学校夏至祭編
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狐面の少女に連れられて

【あらすじ】魔法学校夏至祭。狐面の少女に連れられて外に出る。

「さあ、行くぞ、クタニ。召喚物競走だ」


そう言って、狐面の少女は、ためらいもなく焼けた石畳の通りへ足を踏み出した。

その目と鼻を隠す狐面を固定する赤い紐が、後頭部で揺れる。


俺とガディは、黙ってその背中を追う。灼ける日差しの下、文句も言えず歩かされる。


途中、ヒュームンさんの露店の前を通ったが、もう誰も居なかった。


ノートのいたずらの文句を言いたかったけど逃げられた後のようだ。


ずんずんと歩いていく狐のお面の少女の背中に問いかける。

「あの、あなたはヒュームンさんと何か関係が?」


「ヒュームンの……弟子のようなものだ」

「ようなもの?」

「気にするな。お前のとっておきの味方ということは……確かだ」


そういってさっさと人ごみの中を進んでいく。

人ごみに慣れてない俺らは見失わないようにするだけで精いっぱいだ。

ガディもあたふたして離れないようにするのでやっとのようだ。


ただ、魔法学校の生徒たちの何人かは水の精霊であることに気が付いているようだった。

四大元素の精霊はさすがにめずらしいのだろう。驚く生徒も数人いた。


ただ、召喚物競走に向かっているため、やはり召喚獣と間違ってくれているようだった。


「あのクタニさん、召喚物競争って何ですか?」ガディが息を上げながら尋ねてくる。


「俺もよくわからないけど、とにかく競争するんだろう。俺らは見ていればいいんだよ」

気軽に応えると、狐面の少女が注意してくる。

「何を言ってる、お前らも参加だ」


「え?」

(もしかして、ガディのこと、召喚獣か何かだと思ってる?)


「あの、ガディは召喚獣とかじゃなくて、れっきとした精霊なんですけど」


半分デビルガーゴイルなんだけど精霊であることは確かだ。


「召喚かそうでないかに何の違いがある? ヒトだって精霊だって、この世界に召喚されたようなものだろう。つまり、すべての生命体は召喚されたといってもいい。肉体から生まれるか召喚魔法陣から生まれるかどうかなんて些末な違いだ」


これは、口答えしたら、倍の文章量で返ってくるパターン!


――そのとき放送が入った。

『召喚獣の登録はあと10分です! ゲストおよび外部の参加も可能です!』


(スコリィも出るって言ってたけど、召喚なんて使えるのか?)

……他人の心配をしている場合じゃない。


いつの間にか召喚物競走の受付に来た俺たちは、息を切らせてかつ。

「魔法学校のルールに従ったほうが……」


「それなら問題ない。私がいればたいていのルールは変えてくれる」


「いったい何者なんです?」

「私の意思はヒュームンの意思、と学校中が知っている。よく思っているかどうかは別だがね」

(もしかして、学校一の変わり者と関わりあってしまったのか……?)


「キミとガディくん、それに胸ポケットの人形さんも登録しておいた」

(……!)


思わず胸ポケットのルルドナを確認する。何事もなかったかのようにすやすやと寝ている。

「どうして、ルルドナのことを?」


「きいたのだ。事情はあとだ。選手の集合場へ行くぞ」

***

「あ、てんちょー。もしかして、てんちょーも出るんすか?」

集合場所ではスコリィが準備運動していた。


「ああ、この子に無理やり……。ってあれ?」

いつの間にか少女の姿は影も形もなくなっていた。


「うお! ていうかガディさんもいるじゃないっすか。出るんすか?」

驚いたスコリィにガディは申し訳なさそうに答える。

「ワタクシも無理やり登録させられたようで……。ルルドナさんも」


「まあ、イベントだから楽しめばいいっす。後半にならなきゃ命の危険はないっす」

「後半は命の危険があるんかい!」思わずツッコミをいれる。


「ていうか、スコリィ、召喚魔法何て使えたのか?」

「何言ってるんすか、てんちょー。召喚なんて適当にハチでも召喚して、自分で走るのが最近の流行りっすよ」


……もうそれただの徒競走じゃん。

※主人公の一人称を俺にして、それに合わせて各所書き直しました!


2025.8.15 主人公の一人称を俺にして、それに合わせて各所書き直しました!

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