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丘の上の雑貨屋と魔王モール  作者: 登石ゆのみ
第20章 魔法学校夏至祭編
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「世界の疑い方を教えてやる」黒のハイソックスはそう言った

【あらすじ】魔法学校夏至祭。ノートの中の過去の世界に飛ばされてしまったクタニ。不気味な二つの月を食うヒュームンの様子を体験するが……。

目が覚めると、俺は汗だくで教室の机に突っ伏していた。

他には誰もいない。


そして不気味なことに、時計の針は一分も進んでいなかった。

何も起きていなかったようで、何もかもが変わってしまった気がした。


そっと、ノートを読み進める。

俺が体験したようなことが書かれていて、最後のページ。

(……!!!)


衝撃の事実。

『やっほー! 懐疑の過去世界魔法、楽しんでくれたかな? ほとんどウソだけど、ちょっと真実! 魂の兄弟よ、楽しんでくれたら幸いです☆ D.H.』


「作り話だったんかいっ!」

俺はノートをたたきつける。

裏表紙には魔法陣とヒュームンさんのサイン。


「はあ、むなしい……」


――暑苦しい教室。

静かな異空間。

窓枠に切り取られた青い空に白い雲。

教室の外の楽しそうな喧騒。


一瞬、世界が遠くなり、どこかで鳥の羽ばたきが聞こえた。


(まってくれ、おいていかないでくれ……)

とっさにそう思ったとき、俺は。


世界の重みを背負ったような、そんな重圧を頭の後ろに感じた。


外に出ろ。

きっと、受け入れてもらえる。

なんたって今日は祭りだ。

世界は遠く、口の中が妙に乾く。

楽しそうな笑い声がガラスの向こうに反響している。


一人は、だめだ。

この感覚は知っている。

だめだ。

はやく、変えないと。

みんないなくなってしまう。


気が付くと俺は、……ガディにもらった水筒のふたを開けていた。


***

〈キュッポンッ〉

「出ましたか!? 概念の怪物が! ……ん?」


臨戦態勢で出てきたガディ。

強力な水魔法を扱える、妖艶な美貌と神秘的な雰囲気をもつ水の精霊。雑貨屋の看板娘。


彼女はすぐに、空き教室に敵がいないことに気が付く。

俺の前に立ってジト目で言う。


「あの……店長さん?」

「ピンチだったんだ……。心が」

俺は居直ってガディを見つめる。


「子どもですか!?」

「心はいつでも少年さ!」

俺は胸を張って彼女から目をそらす。


ただ、彼女の反論が来る前に意外なところから声がした。


「いいことを言うじゃないか!」

教室の入り口でそう言ったのは美しい脚線美の黒のハイソックス、いかにも優等生のような美少女……らしき人物。顔の上半分は狐面で隠され、小さな薄い唇がのぞいている。


「キミは、懐疑世界の最後に出てきた……!」

黒いハイソックスを見ながら俺が言う。美しい脚線美。


狐のお面をかわいらしく傾げた少女は、滑らかにバレリーナのように回転し、魔法学校のブレザーとプリーツのスカートをひらりと揺らめかせる。


「そうだ。ついてこい、クタニ。世界の疑い方を教えてやる」


少女はそう言って、妖精が誘うように俺達を炎天下の外へ連れ出した。

なんかアクセス伸びたんで、書きためてたの置いておきます!

お楽しみください!


2025.8.15 主人公の一人称を俺にして、それに合わせて各所書き直しました!

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