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丘の上の雑貨屋と魔王モール  作者: 登石ゆのみ
第17章 ワルプルギスの夜の宴編
112/198

魔王には秘密にするか

闇の残留物の怪物が襲ってきます。


その怪物残留物キメラは、まさに残留物の集合体といわんばかりの姿をしていた。

空から急降下し、俺に襲い掛かってくる。

「うわっ!」


俺が避けると、残留物キメラは再び上空に舞い上がる。

「なんで迷わず俺が狙われているんだ!」


「きっと、一番不気味なのよ!」

再び急降下して襲ってきた残留物キメラ。


「甘い!」

なんと、ルルドナは、その闇を――蹴り飛ばした。

〈キィィィーー!〉


甲高い声を上げて、体勢を整える残留物キメラ。


ルルドナが勝ち誇ったように前に出る。

「魔法がきかないから、殴るか蹴るかすればいいのよ!」


いやそんな単純なことではないような気がしますが。


ガディの声。

「クタニさん、こちらへ!」

導くように水の編み物のような結界ができる。ガディの水の迎撃魔法。


――しかし。

(ォォォォーーン)

闇の中から生まれた低音が響くと、魔法は消え去った。


「くそ! 魔法を根本から吸収しやがる!」

二重人格モードの口が悪いほうのガディ。


「物理攻撃がきくなら、アタシの魔法もいけるはずっす! ライオライト・ストーム!」


スコリィが石そのものを召喚し、竜巻のように回転させ攻撃する!


しかし、その攻撃は闇の鳥の体を”通り抜けた”……!


「マジっすか……! ルルドナさんの蹴りは当たったのに!」


俺たちの混乱を前に、ライムチャートちゃんが前に出る。

「還元魔法、ホワイトクライ」


残留物キメラの周りに魔方陣が展開され、一瞬で白い雫に包まれる。

――が。


〈ォォォーン!〉

音とともに、魔法そのものがかき消える。


「じゃあ、あたしはこれで」

〈スポンッ〉

頭のレンガの中に引っ込むライムチャートちゃん。てめー。


「来るぞ!」

ペッカの声。

残留物キメラが大きく羽ばたいたかと思うと、闇のつぶてが俺たちを襲ってきた!

その数は、優に数百を超える。


「魔王様には言うなよ! ライトニング・シャワー!」

ケイロンが俺の隣に立ち、光の矢を放つ!


そうだ、ケイロンは光魔法が使えるんだ……!

〈ドドドドド!〉

闇の塊が次々と打ち消されるように消えていく。さすが神話級!


――しかし。


「まだ残っているぞ!」

闇のつぶてが集合し、塊となって俺に襲い掛かる

「召喚! ウッド・ドラゴン!」


ペッカの召喚。10メートルはあろうかという特大サイズの木でできたゴーレムが俺の前に出現する。戦うためではなく、……盾としての召喚。


〈ドオオオォォ!〉

闇の攻撃を受けた特大のウッドドラゴンは、その原型がなくなるほど、朽ち果て、崩れ落ちた。


「何とか防げたが……。くそ、無理をしすぎたか……」

〈ドサッ〉

ペッカが倒れこむ。とっさにガディが駆け寄る。

「ガディ、スコリィ。ライムチャートちゃんとペッカを避難させてくれ」


空の敵をにらみながら俺は言う。


スコリィが不安そうに尋ねる。

「何か、策があるっすか?」


「ああ、わかってきた。心配しなくていい」

強がって俺は笑顔でいう。


実は、わかっていない。

――でも今は、皆を安心させなきゃいけない。


空を舞う残留物キメラ。

あれは闇の残留物の集合体、ルルドナの蹴りがきき、ほかの魔法は効果がない。

……。

「見えましたぞ……! あの手の輩とは、手合わせをしたことがありますぞ!」


5メートルはあろうかという大きな槍を召喚し、留堂さんは力強く敵に向かって穂先を向ける。

「留堂さん……!」

「父上!」

俺とケイロンの声に答えるように、彼の槍が光に包まれる。まるでそれは月の光のように青白く――。


「元魔王七本槍の留堂! 助太刀いたす! 巨槍術奥義、七星空穿(セブン・スイング)!」


槍を空中に向かって連続で突く。

その斬撃がきれいな螺旋を描いて、残留物キメラを襲う!


〈ドドドドドドドッ!〉


槍の光る斬撃を食らった残留物キメラは、ダメージはうけていたものの、まだ空を飛んでいた。

反撃するように、魔力をため、闇のつぶてを周囲に発生させる。


「甘いって、言ったでしょ」

まるで、月から発せられたような声が、静かに響く。


残留物キメラの上空に、ルルドナが浮いていた。

――そうか、重力魔法で。


ルルドナは斜めに回転し、全体重を乗せるように、残留物キメラの頭に蹴りを入れた。


〈ズゥゥン!〉


地響きのような音が発せられる。


(キィィィーーン)


不気味な甲高い音を立てる。一瞬だけ闇が凝縮し、

――霧散した。

怪物は倒せたのでしょうか。


感想・コメントお待ちしております!


2025.8.15 主人公の一人称を俺にして、それに合わせて各所書き直しました!

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