宴をしていたら魔女たちがやってきた
僕らが火を眺めていると、空から、三人の魔女が降り立ってきた。
「ヒルデ~、ひさしぶり~」と赤毛の魔女。
「今回は面白いメンバー揃えているな」と青毛の魔女。
「あ、常滑さんのコーヒーがあるのね」と緑髪の魔女。
師匠が白ってことにすればあと一人でワルプルギスヒーロー戦隊かよ。
彼女たちを見て僕はほくそ笑む。
――ようやく、チャンスが回ってきた……!
そう、僕は魔女たちが来ることを聞いて、彼女たちに大量のハニワや道具を売りつけようと考えていたのだ。
魔女たち近づいて、僕は恭しく挨拶をする。
「ようこそ、皆さん! ここの屋敷の現主、クタニです! 魔女ヒルデの一番弟子です!」
魔女ヒルデが首をかしげる。
「妙にやる気だね? どうしたんだい?」
「みなさんにはぜひこちらの商品を買ってもらおうと!」
僕は自慢のハニワたちを見せつける。(※ケイロンに屋敷は壊されたが、店の商品は無事だった。)
「おお!」
「怪しくていい感じだね」
「なんて不気味な……!」
……初めて感動してもらえた!
「特殊な効果がたくさんありまして! この前なんてタナトスの魔力を封じ込めたんですよ」
「ほう! あの死神を!」
「こっちのガラスは?」
「それはちょっと手に入れたやつで。日の光に当てたらそういう色に……。貴重品ですが5万でお売りしますよ」
「おいおい、魔女に遠慮なんかしちゃいかんよ」
「遠慮なんて……」
「もっと吹っ掛けなさい、少年!」
「いや少年って年じゃないんですけど……」
「私たちは全員余裕で百歳超えているんだ。君なんてひよっこだよ。このレベルの創作物なら何千万も出すよ」
その後、僕らがひとしきり商談をした後、ヒルデが手をたたく。
「さあ、お金の話はもう終わりだ。それにせっかくの宴で商談をするな」
**
それぞれ、出来上がったパンを食べる。
あまりに大量のパンが出来上がったため、皆で酒とパンを
具材を詰めてほとんどバーガーみたいになってしまったけど。
お酒のお供としてはどうなんだろう……。
「あ、これアタシがこねったっす」スコリィが嬉しそうにパンを持ち上げる。四角いパン。
「私のはこれね」とルルドナが持ち上げたのは三日月形のパン。
「わたしは、兄にはまだかなわないですね」とライムチャートちゃんがねじりまくったパン。
……結構、個性が出るんだな。
まあ、こういうのも悪くないか。
こうして、僕たちの宴の夜は更けていった。