表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇塚井真帆は魔法使い  作者: ゑゐる
5/50

#05 魔法

 ここは天界、女神邸のテラス。


 ウチは、これからスマホを充電するために雷魔法を覚えるけど、大丈夫かな?

 スマホが壊れないか心配だよ。


 ステラさんは立ち上がり、ウチに向かって手を伸ばす。すると・・・

 ウチの体に雷魔法の魔力が入ってきた。そしてその感覚を覚える。


 「雷魔法の見本を見せるわ」


 ステラさんは、金属のインゴットをテーブルに置いた。そして指を近づける。


 「火花(スパーク)


 チチチチチチ・・・・・・


 指先から青白い火花が見える。静電気みたいな感じかな?


 「こんな感じよ、やってみて」

 「はい」


 ウチは、金属に指を近づけた。


 「火花(スパーク)


 チチチチチチ・・・・・・


 「うまいわ。そのまま出力を下げて」

 「はい」

 「もっと下げて」


 火花の音が段々小さくなる。


 「もう少し・・・それくらいね」


 火花は見えず。音も聞こえない。


 「その加減が充電に適した出力よ。覚えて」

 「はい」


 ウチはスパークを()めた。


 「次はスマホを鑑定して」

 「はい」


 ウチはスマホに意識を集中する。


 「鑑定(アプレイソル)


 うわー、めちゃめちゃ複雑・・・


 「充電に必要な箇所だけを見て」

 「はい」


 充電端子の先にあるのが電池だよね。


 「それでは充電してみて」

 「はい」


 充電するのにスパークは変だから・・・


 「充電(チャージ)


 うまくいってる気がする。充電していると思う。


 「いいわよ、続けて」

 「はい」


 *


 3分後。


 「あああ・・・」


 無理。


 「繊細な魔力操作を続けるのは難しいでしょう?」

 「はい、集中力が欠けると出力が安定しません」

 「魔法による手動の充電は厳しいわね」

 「えー」


 「大丈夫よ・・・魔道具を作りましょう」

 「魔道具・・・いいですね」


 「魔道具を作る前に、二つの魔法を教えるわ」

 「はい」

 「練金魔法と創造魔法よ」


 すごい魔法かもしれない。

 ステラさんがウチに手をかざした。すると・・・

 ウチの中に魔力が入ってきた。


 「説明をするわ。練金は、無機化合物を錬成する魔法なの。砂鉄から鉄を作ったり、砂からガラスを製作出来るわ」


 便利な魔法。


 「創造は、有機化合物を変形させて、物作りをする魔法よ。布や木の加工が出来るわ」


 その魔法も便利そう。


 「この銀で練金の見本を見せるわ」


 ステラさんは銀のインゴットに手をかざす。


 「練金(アルケミー)


 銀の一部が液体のように変化してスプーンの形になった。


 「すごい」

 「やってみて」

 「はい」


 ウチは銀のインゴットに手をかざす。3Dプリンターの要領で・・・


 「練金(アルケミー)


 少し時間はかかったけど、イメージ通りに出来た。ウチが作ったのはフォーク。


 「うまく出来たけど、それは何かしら?」

 「フォークです。食事の道具です」

 「料理を刺して食べるのね」

 「はい、熱いものでも平気です。それに手が汚れません」

 「便利そうね」


 ウチはフォークをもう1本作ってステラさんに渡した。

 ステラさんはフォークを受け取り、今度は木片を出した。


 「今度はこの木で何か作ってみて」

 「はい」


 ウチは木に意識を集中する。


 「創造(クリエーション)


 ん? 難しい。変形させるより、削った方が早いかな。

 ウチは一組の(はし)を作った。断面は五角形。

 五角形箸は日本で買うとめちゃめちゃ値段が高いんだよね。


 箸は出来たけど、テーブルの上が大鋸屑(おがくず)だらけになったので、ストレージに入れてきれいにした。


 「それは何かしら?」

 「箸です。これも食事の道具です」

 「使いにくそうね」

 「慣れたら便利ですよ」

 「そうなの?」


 高級な箸を自分で作った。なんかうれしい。


 「練金と創造を覚えたので、今度は魔道具を作りましょう」

 「はい」


 魔道具を作るのは楽しそう。


 「魔道具はゼロから作るよりも、似たような物を改良した方が早いわ。まずはアーカイブで魔道具を検索してみて。雷魔法は数が少ないはずよ」

 「はい・・・アーカイブ、検索」


 雷魔法の魔道具・・・・・・あった。

 電撃を放つ魔道具、スタンガンみたいなものかな。出力を下げれば使えるかも。


 「魔道具を作る前に、これを渡しておくわね」


 ステラさんが色々と出した。


 「これはミスリルで出来た金属板、魔導回路よ」


 ミスリルって、ラノベに出てくる異世界金属だよね。


 「魔導回路が足りないときは、自作してね。アーカイブの情報と創造魔法で作れるわ」

 「はい」


 「この袋に入っているのが魔石よ」

 「これが魔石・・・きれいですね」


 透き通ったルビーのような色。赤いビー玉みたい。たくさんある。


 「まずこの魔導回路に魔法陣を転写する。そしてこの台座に魔石をはめ込む。あとは必要に応じて付属品を取り付ける。それで完成よ。出来れば箱に入れた方が見栄えがいいわね」

 「わかりました」


 ウチは魔導回路を一つ受け取った。

 魔導回路は、青みがかった金属板で、大きさは5cmの正方形。


 「私が魔道具作りの見本を見せるから同じようにやってみて」

 「はい」


 「最初にアーカイブから使いたい魔法陣を光魔法で回路に転写するの」

 「はい」


 「アーカイブ・・・・・・転写(コピー)


 魔導回路に光る魔法陣が転写された。


 「光転写は光魔法の応用だから、出来ると思うわ。やってみて」

 「はい・・・アーカイブ・・・・・・転写(コビー)


 出来た。魔法陣が光ってる。かっこいい。


 「あとは魔法陣を鑑定すれば、改良する箇所がわかるはずよ」

 「はい・・・鑑定(アプレイソル)


 ウチにも理解できる。すごい。


 ここはラインを2本追加して・・・ここはラインを削除・・・ここを(つな)いで・・・

 これで出来たはず。


 「魔法陣が出来たみたいね。この魔石の台座にはめて作動確認してみて」

 「はい」


 ウチは魔石をはめ込んだ。すると・・・

 魔法陣が明滅して、魔石がぼんやりと虹色に光った。




 きれい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ