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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第12章【飛べ宇宙へ! コロニー爆破5秒前!!】

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第98話 プラネットブレイカーズリーダー、魔少年ディスト!!

 コロニー内部へと侵入した私はウイングモードを解除し鳥の姿へと戻ったルビィと共に中央制御装室を目指し突き進む。


 いま私たちがいる場所は居住エリアだ、建物自体はすでに完成しており、後は入植を待つばかりといった状態だがそれが逆に奇妙な違和感のような物を感じさせる。


 重力制御装置や酸素供給システムなどはすでに稼働を始めているようで、ほとんど地球の街を走っているのと変わりはない。


「それにしても、ちょっとだけ失敗したかも……」


「失敗って?」


 ふと、私が漏らした呟きにすぐ横を飛びながらルビィがそう尋ねてきた。


「コロニー外の戦闘でちょっとエネルギーを使い過ぎたかもってことよ。改めてわかったけど、やっぱりエクシードモードは強力な分消耗も激しいのよ」


 仕方なかったとはいえもう少しエネルギーを抑えて戦っておくべきだったと反省する私である。


 まあ、今すぐエネルギー切れになるほど消耗したわけでもないけど、もし中央制御室で強敵でも現れようものならちょっと不利になるかもしれない。


「大丈夫だよ。もう敵は全部倒したでしょ? 後は爆弾を解除してそれで終わりさ。その証拠にコロニー内部に潜入してから敵なんて全然見なかったじゃない」


「それはそうだけど……」


 確かに敵ロボットは全部倒した。一応不意打ちを警戒して慎重に進んでるのだけど、コロニー侵入以降敵の姿は全く見ていない。


 でも私には気になることがあったのだ、それはここに至るまでプラネットブレイカーズのリーダーが一度も姿を――声すらも表さなかったことだ。


 もしかしたら、もしかしたらだけど、そのリーダーは中央制御室で私たちを待ち構えているかもしれない……。


 楽観的なルビィの言葉にそんな不安を抱く私だったけど、彼はさらにこう続けた。


「大体、もうすぐ爆弾が爆発してしまうんだよ? 敵だって爆発には巻き込まれたくないはずでしょ、とっくに避難してどこか遠くからコロニーが爆発する様子を高みの見物をしてるに決まってるさ」


 確かにね、敵――しかもリーダーが爆発直前の爆弾のすぐそばで呑気に私たちを待ち構えてるなんてそうそう考えられない。


 だけど……。どうにも嫌な予感がするのよね。特に今回の敵はまともな奴らじゃなさそうだし……。


「どっちにしろ、行くしかないんだよね……よしっ、気合い入れていこう! ところで、爆弾はルビィが解体できるんだよね?」


「うん、まあね。だけど、最悪の事態がないとは限らないから、中央制御室に着いたらシャイニーフェニックスはすぐに拘束されてる人たちを助け出して、脱出艇で遠くまで逃げて。爆弾はボクが解体するから」


「え? それって、もし失敗したらルビィも爆弾もろとも……」


「その恐れはあるけど、バリアを最大出力で展開すれば、最悪コロニーが吹っ飛んでも、ボクだけは助かるはずだからね。大丈夫」


 ルビィはそう言うと、私の不安を吹き飛ばすようにニッコリと微笑む。


「そ、そう……」


 そんな事態になられたら困るけど、とりあえずまあ常に最悪を想定して動くのは大事だと自分を納得させながら目的地へ向けて足を速める。


 居住エリアの中心――それは同時にコロニーの中心でもある――にそびえる制御タワー、中央制御室はその名の通りそこの中央にある。


 見えてきたタワーに飛び込み階段――エレベーターは閉じ込められる可能性がゼロじゃない――で一気に駆け上がり、私たちはようやく中央制御室の扉の前にたどり着いた。


 コロニー侵入からここに来るまでに約3分、爆発まではまだ27分ある。これだけあれば爆弾の分析、時限装置の解除ぐらいなら十分に間に合うだろう。


 扉は厳重にロックされており専用のカードキーをスリットに読み込ませたうえでコードを入力しないと開かないという仕組みになっている。


 もちろん私はどっちも持ってはいないのだけど幸い頼りになるサポートアニマルくんがいる。


「ルビィ、あなたなら開けられるよね? おね――」


“お願いね”そう言葉を続けようとした私だったけど、その言葉は途中で止まってしまう。


 何故なら、何もせずとも扉が勝手に開き始めたからだ。


「これは……!」


 すぐに分かった、何者かが内部からロックを解除したのだと。


 捕らわれた職員さんが自力で拘束を解き扉を開けてくれた――そんなことを期待するほど私は能天気じゃない。


 つまり、これは――。


「どうしたんだい? 入ってきなよ。安心しなよ、罠なんかじゃないからさ」


 身構える私の耳に聞こえてきたのは、そんなどこか甘い響きを感じさせる声だった。


「シャイニーフェニックス……」


「罠があろうとなかろうと、私たちは行くしかないのよ!」


 不安げな声を上げるルビィに小声でそう返すと、私は勢いよく扉を開けて中へと飛び込んだ!


「ようこそ、シャイニーフェニックス。恐怖と絶望渦巻くこの空間へ。僕の予想より遥かに早かったね」


 様々な機械やモニターの並ぶ制御室、その中央で腕を広げながらそう言って微笑むそいつを見た瞬間私はハッと息を飲んだ。


 年のころはおそらく私より少し上――14、5歳程度、ライトの光に照らされキラキラと輝く銀色の髪、紫色の瞳は蠱惑的な輝きを放ち、顔の造形は恐ろしいほどに整っている。


 その全身を包むのは白と青を基調にしたまるで中世の貴族のように華美な衣装。まるで物語の中の王子様、そんな表現がピッタリくるような美少年だった。


 もちろんただの少年のわけはない、その証拠にその肌の色は真っ青で、異星の者であることを雄弁に語っていた。


 私が息を飲んだ理由も決してその少年の容姿に見惚れたからじゃない! ……ほんのちょっとだけ見惚れたけど。あくまでほんのちょっとね。


 言葉すら発せず驚きの表情を浮かべる私とルビィに少年はクスッと笑う。


「さて、とりあえずは自己紹介をさせてもらおうかな? 僕の名は<ディスト>。プラネットブレイカーズのリーダーだよ、よろしくね」


「リ、リーダー!? あなたが……!」


 優雅に一例をする少年の言葉に再び衝撃が私を襲った。彼が敵の一員であることはわかりきっていたけれど、こんな子供――私も人のこと言えないけど――がリーダーだなんて思ってもみなかったからだ。


 そんな私の驚きを他所にディストと名乗るその少年は続ける。


「ふふ、意外かい? そうだろうね。まあそんなことはどうでもいいんだ。シャイニーフェニックス、僕は君を待ってたんだよ」


「待ってた……。私を?」


 思わず聞き返す私にディストは浮かべた笑みをさらに深くする。


「地球を守護する宇宙戦士の存在を知りそれが女の子だと分かった時から僕は会いたいと思ってたのさ。可愛い子だったら僕のハーレムに加えてあげようと思ってね」


「ハ、ハーレム!? 何を言ってるの、あなたは!」


「こうして大々的にコロニーを襲ったのは君をここへと導くためでもあったんだ。そして、君はここまで来てくれた……。ふふ、期待以上だよ、容姿、コワースたちを倒した強さ、どれをとってもまさに僕の理想だ」


 言いながら静かにこちらに歩み寄ってくるディスト。


 私は距離を詰められることを警戒し身構えるも、彼は間合いのギリギリ外で歩みを止める。


「あなたみたいな人にそんなことを言われてもちっとも嬉しくない! そんなことより、職員さんたちと爆弾はどこ!? さっさと彼らを解放、爆弾を停止してここから出て行きなさい! 拒否するつもりなら――」


「おー怖い怖い、そんなに怒ると可愛い顔が台無しだよ? 爆発まではまだ時間があるんだ僕ともうちょっとお話しようじゃないか、ねぇ、シャイニーフェニックス……」


 いきり立つ私の怒りをいなすようにそんなことを言ってくるディスト。私はさらに怒りを募らせキッと彼を睨みつけさらに言葉を叩きつけようと口を開く、が――


「う……何、この感覚……?」


 彼の瞳が私を射貫いた瞬間、私の脳裏に無数の言葉が濁流のように押し寄せてきた。


「ふふふ、見たね? 僕のイーヴィルアイ」


「イーヴィルアイだって!?」


 ディストの言葉に反応しルビィが声を上げる。


「そう、相手の精神を意のままに操れる瞳だよ。僕は宇宙でも珍しいこの瞳を持つんだ。この瞳に見つめられたが最後、僕の意のままに――何っ!?」


 得意げに説明していたディストだけど、その言葉は驚愕の声で中断される。


 理由は簡単、私が彼の瞳を睨み返したからだ。


「まさか、精神支配されていないのか!?」


「お生憎様、確かにちょっとクラクラっと来ちゃったけど、意識を集中させればなんてことないわ。前に似たような攻撃受けた経験もあるしね」


 ギーガーク帝国のブーミが発動させたシックザールクリスタルの力に操られそうになった時のことを思い出しながら私はディストにそう返す。


「ははっ! そうか! そうだよね、君はシックザールクリスタルの力すら跳ねのけられたんだもんね。イーヴィルアイ程度で操られるわけないよね! どーだ、ディスト、シャイニーフェニックスは強いだろ、分かったらさっさと降参したらどうだ!」


 翼を突きつけながらディストを威圧するルビィだけど、彼はそんな私たちを見てクスクスと笑い出した。


「やるねぇ、驚いたよ。だけどそうでなくちゃ面白くない。ふふ、君の顔が絶望に染まるのが楽しみだ」


 そんなふざけきっとことを言いながら、彼はパチンと指を鳴らす。すると部屋の奥の扉が静かに開いた。


「職員たちと爆弾はあの中だよ。爆発まで後25分ほど、さあそれまでにどうにかできるかな?」


 それを聞いた瞬間私は扉に向かって走り出した。ディストは横をすり抜けていく私には構うことなくニヤニヤといやらしい笑みを浮かべるだけだ。


 一体どういうつもりだろう? いや、今はそんなことを考えてる場合じゃない! 早く爆弾を止めないと!!


「皆さん、無事ですか!?」


 叫びながら部屋へと駆け込んだ私の目に入って来たのは中央にデンと置かれた黒い球体、そしてまとめて縛り付けられているコロニー職員の人たちの姿だった。


「き、君は一体?」


 おそらく私のことは知らないんだろう、突如現れた(彼らから見れば)おかしな格好をした女の子に職員さんの一人が戸惑いの声を上げる。


 あっ、この人はニュースで見た……優姫さんの恋人である有田一彦さんだ!


 彼も無事だったんだ、よかった……だけど今はそれよりも!


「私はシャイニーフェニックス、あなたたちを助けに来た正義の味方です! ルビィ、爆弾をお願い!」


 そう返しつつルビィに爆弾の解体を頼み私は職員さんたちの方に駆け寄り彼らを縛るロープのようなものに手をかける。


「ぐ、ぐぐ……。は、外れない……どうなってんの、これ……!?」


「む、無理だ。さっきから私たちも外そうともがいているのだがビクともしないんだ」


 私が懸命にロープを外そうとするも、職員さんたちはそんな私にそう返す。


 彼らの言葉通り不思議な材質で出来ているらしく引き千切ろうとしてもより強く食い込むばかりでちっとも緩む気配はない。


「無理だよ、そのロープは力で外すことは出来ないんだ。強力なエネルギーをぶつければ焼き切ることはできるだろうけど、間違いなく職員たちを巻き込んでしまうことになるだろうねぇ」


 ハッと顔を上げ振り返ると、ディストがニヤニヤ笑いながらこちらを見つめている。


「くっ……。まあいいわ、ロープのことは後でも。爆弾さえ止めてしまえば考える時間はいくらでも――」


「だ、ダメだ……」


 ディストを睨みつけながら言った私の耳に爆弾に取りつき解体作業をしていたルビィの声が届く。


「え!?」


 思わず声を上げそちらに視線を向けた私の目に飛び込んできたのは一目でそうとわかるほど顔を青ざめさせたルビィの姿だった。


「どうしたの、ルビィ!?」


 慌てて駆け寄りそう尋ねる私に彼は震える声でこう返した。


「こ、この爆弾は解体できない……。正確には爆発の時間までに解体することが出来ないんだ」


「な、何ですって!?」


「け、計算外だ……まさかここまで複雑な爆弾を用意してるなんて……」


 呻くように言うルビィ私は一瞬目の前が真っ暗になった。だけど――


「違う! 絶望するのはまだ早いわ! 解体することが不可能ならこの爆弾を被害の及ばない場所まで運んでしまえばいいの!」


「それは無理だねぇ。その爆弾にはショックセンサーも仕掛けてあるんだ、下手に動かそうとすればタイムリミットを待たずしてドカン! さ」


「そ、そんな……」


 ディストの言葉に私は思わずへたり込みそうになる。ルビィも、そして職員さんたちも一様に顔を青ざめさせる。


「ははは、そうだよそれそれ。僕はそんな顔が見たかったんだ」


 両手を広げ高笑いをするディストだったけど、私はまだ完全には絶望してはいない。


「くっ……こうなった以上コロニーの爆破は避けられないのかもしれない……。でもっ! 人さえ無事ならまたやり直せる!」


 私は叫び職員さんの元へと駆け寄るべく一歩踏み出した。


「おっと何をするつもりだい?」


 しかし、ディストが素早く私の前に回り込みそれを阻む。


「どいてっ! みんなを避難させるの!」


 爆弾を動かすことはできないけど人なら抱えて運び出すことができる!


 みんなを抱えて宇宙港まで飛び脱出、爆弾の効果範囲の外まで行くことが出来れば……。


「それは困るねぇ、コロニーだけ爆破しても意味ないんだよ。僕は爆破に巻き込まれ散って行く命の輝きを見たいんだから」


 しかし、ディストはそう言うと両手をこちらに突き出してくる。


「はっ!」


 ぶわっと彼の手から衝撃波が放たれる!


「きゃあ!」


 至近距離でそれを喰らった私は壁まで吹き飛ばされる。そして……。


 ドオオン! 轟音と共に壁を突き破り私は外へと放り出されてしまう。


「彼らを助けたいなら僕を倒してからにすることだね」


「くっ、このぉ……!」


 追って飛び出してきたディストの言葉に私は空中で静止しつつ彼をきつく睨みつける。


 しかし、彼は相変わらずニタニタといやらしい笑みを浮かべたままだ。


「いいわよ、やってやるわ! ルビィ、あなたは爆弾を解除する方法、ロープを切る方法、とにかくみんなを助けられる方法が他に何かないか考えておいて! その間は私が時間を稼ぐから!」


「わ、わかった。気を付けて、そいつヘラヘラしてるけど相当にヤバい奴だよ」


 私の指示に心配そうな口調で答えるルビィの声を聞きながら私はディストへと向き直るのだった――。

お読みいただきありがとうございました。

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