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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第12章【飛べ宇宙へ! コロニー爆破5秒前!!】

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第95話 シャイニーフェニックス、宇宙へ!!

 何の前触れもなく流れ出したコロニー襲撃の緊急ニュース、それはその場の全ての人々を驚愕させ、沈黙させるには十分な内容だった。


「一彦さん!?」


 真っ先に硬直から受けだしたのは優姫さんだった、ばっと廉也の腕の中から抜け出し、巨大ディスプレイに映し出される映像に目を向ける。


 私も、そして智子も文乃ちゃんも、優姫さんと同じように映像に目を向けた。


 そこには宇宙空間に浮かぶコロニーとコロニー護衛用の無人機、そしてそれらと戦う謎の戦闘機の集団が映し出されていた。


『これは約1時間前の映像であります、この後謎の集団はコロニー内に侵入、内部を占拠したとのことです! コロニーを占拠した集団の正体、目的、すべて不明、しかし、ご覧の様に強大な武力を持つ恐るべき集団であることは間違いないと言えます! 専門家の話では異星人ではないかとの意見もあり、近頃活動を活発化させているギーガーク帝国なる自称異星人テロ集団との関連性も取りざたされていますが、その真偽は定かではありません』


「ギーガーク帝国!?」


 私は思わず声を上げる。


(あいつら、ヤーバンが倒されてから大人しくしてると思ってたけど、まさかこんな大胆な行動に出るなんて……)


 驚きと同時に怒りに身を震わす私だったけど、ふと違和感を覚える。


 あいつらって、確か大規模な破壊活動とかは控えてるんじゃなかったっけ……?

 確か、あまり派手なことして地球から幸せの感情が失われてしまうとシックザールクリスタルの成長が阻害されてしまうとか……。


 それなのに、このコロニー襲撃は一体……。


 いや、そんなこと考えてる場合じゃないか、おそらく政府もこの事態に対してなんらかの対応に出るだろうけど、コロニーの人々の安否がわからない以上うかつに動くことはできないだろう。


 それに相手が本当にギーガーク帝国だとするなら、地球の軍隊が出て行ったところで、返り討ちにあうのは目に見えている。


「一彦さん! 一彦さんは無事なの……!? ああ、神様、お願い、一彦さんを助けて……!!」


 半狂乱になりながら両手を組み合わせ祈りのポーズを取る優姫さんとこんな時だというのに彼女の肩に手を伸ばしている廉也を牽制するような動きを見せる翔くん、文乃ちゃん、智子。


 そんな光景を横目で見ながら私は呆然とした様子でディスプレイを見つめている陽くんことルビィへと近づき小声で呼びかける。


「ルビィ、ぼーっとしてる場合じゃないよ! 敵が何者であれ、こういう時こそヒーローの出番、宇宙戦士の出番、シャイニーフェニックスの出番! 今なら誰にも気づかれずここから抜け出せる、行こうルビィ!」


 そう言って私はルビィの手を取ると、そのままみんなとは反対の方へと駆け出す。


「うわっ、ちょっとみうちゃん……!」


 いきなり手を引っ張られて驚きとも抗議ともつかない声を上げるルビィだったけど、すぐに私の意図を察してそのまま一緒に駆け出した――。




「よし、ここまでくれば大丈夫かな……」


 私はそう言いながら頭を左右に動かし周囲に誰もいないことをしっかりと確認する。


 私とルビィがやってきたのはお祭り会場から離れた場所にある何か施設の建設予定地のような場所だった。


 ルビィから手を離し彼が数歩後ろに下がったのを確認すると、私はいつものようにポーズを決めて叫ぶ。


「Start Up! シャイニーフェニックス!!」


 光に包まれる……変身が始まる……。


 傍から見れば0.001秒のまさに一瞬、しかし引き延ばされた意識の中で私は自分がただの女子中学生香取みうからスーパーヒーロー宇宙戦士シャイニーフェニックスへと変わって行くのを実感する。


 そして光が弾け変身が完了したのはいいのだけど……。


「ねぇルビィ。これで本当に宇宙に出られるのかなぁ?」


 私は自分の姿を見下ろしながら思わずルビィ――私が変身したのと同時に鳥の姿へと戻っていた――にそう問いかけていた。


 SPスーツを纏った宇宙戦士はその名のごとく宇宙空間でも自由に活動できる――SPチェンジャーから流れ込んで来る知識でそれは理解しているのだけれど、改めてシャイニーフェニックスとしての自分の姿を眺めれてみれば、変身ヒロインアニメ(プチピュア)を参考にしたヒラヒラのミニスカドレス、可愛らしいデザインのブーツにグローブ。


 顔も思いっきり丸出しでとてもじゃないけど、宇宙空間での活動に耐えうる気密性があるとは思えない。


「大丈夫だよ! 君もわかってるだろうけど、SPスーツの本体は君の体を覆っているその光の膜なんだ、君のそのヒラヒラコスチュームも、シュナイダー様のプロテクターも、あくまでその光の膜が形を成したものに過ぎないんだよ。だから安心して、宇宙空間に出ても君の体に影響はないさ!」


 ルビィはそう自信満々に言うけれど……。


「不安だなぁ……まあ、やるしかないんだけどさ。優姫さんと恋人の一彦さんのためにも、コロニーで助けを待つみんなのためにも!」


 先ほどの優姫さんの姿を思い起こし、私はそう決意を新たにする。


「ただ、もちろん地上と同じというわけにはいかないから、十分に気を付けてね。よほどのダメージ受けない限りは光の膜が破れたりすることはないけど、逆に言えばよほどのダメージ受ければ膜が破れて君は生身で宇宙空間に放り出されちゃうことになるからね」


「もうっ、私を怖気づかせたいわけ!?」


「ご、ごめん」


 まったくこのサポートアニマルくんってば……。


 まあ、心配してくれてるのはわかるから強くは言えないんだけど。


 ともかく私はふう……と息を吐くとトントンとその場で軽く二、三度飛び跳ねる。


 そして、グググと足を折り曲げ力を溜める。別に必要ないけど気分の問題だ、何しろ今から宇宙空間まで一気に駆け上るんだから。


「せーの! いっけえええええ!!!」


 私はそう叫ぶと一気に跳躍する。そしてそのまま一気に空へと舞い上がった。


 まさにロケットのような勢いで私は雲を突き抜け夜空に向かって駆けあがる!! ルビィも同じく空を飛びながら私の後を追ってくる。


 そのまま視線を少しだけ下に動かすと、街の明かりがどんどん小さくなっていくのが見えた。


(優姫さん待ってて……神様じゃないけど、私は私に出来ることを精一杯やるから……!)


 私はそう心に誓いながらさらに加速するのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あれ? みう、陽くんもどこに行ったのかしら……」


 コロニーの様子を映し出すディスプレイに目を向けていた森野智子は、ふと親友の少女とその親戚の子だという少年の姿が消えていることに気づきキョロキョロと視線を巡らせる。


 その時だ、偶然目を向けた視界の端に夜空に向けてすさまじい勢いで飛んでいく一条の赤い光が見えた。


「あれって、もしかして……!?」


 一瞬で見えなくなってしまったその光の正体に思い至ったその瞬間、彼女はくるっと身体を反転させディスプレイを見つめながら恋人の無事を願い祈りを捧げる優姫に向けて力強く叫ぶ。


「優姫さん、大丈夫、一彦さんも、他の皆さんもきっとすぐに助け出されます!」


「え?」


「どういうことだよ、森野?」


 翔平がそう問いかけると、智子は興奮した様子で言葉を続ける。


「見たのよ、今、宇宙に向けて飛んでいく光を! あれはきっとあたしたちのヒーロー、そうシャイニーフェニックスがみんなを救い出すために出撃したのよ!」


「シャイニーフェニックス……?」「シャイニーフェニックスだって!?」「おい、本当かよ、眼鏡の嬢ちゃん!?」


「もちろん、眼鏡はかけててもあたしに見間違いはないわ」


 口々に疑問の声を上げる群衆に、智子はそう力強く断言する。


 その瞬間、わっと群衆が沸き立つ。


「おお、そうか……!」「シャイニーフェニックスならきっとやってくれるぞ!」「ああ、そうだな! あのヒーローならどんな敵だってやっつけてくれるぜ!」


 そんな声があちこちから響く中、智子は再びシャイニーフェニックスと思しき光が昇って行った方向に目を向ける。


(頼むわよ……!)


 心の中で彼女にエールを送ってからふともう一度群衆に目を向ける。


「それにしても……みうと陽くんどこ行ったのかしら……? せっかくシャイニーフェニックスの活躍が見れるっていうのに……」


 他ならぬみうこそがそのシャイニーフェニックスだとは夢にも思わない智子は、そう残念そうに呟くのだった――。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「んんんんんんんんーーー!! んんんんんーー!! ぷはーっ、だ、ダメだ~!」


 大気圏を突き抜け一気に宇宙空間まで飛び出した私はそこまでずっと息を止めていたのだけれど、とうとう耐え切れずに思いっきり息を吐き出してしまった。


 いや、分かってたんだけどね、大丈夫だって。ただ、なんとなく、ね。


 ルビィが説明してくれた通り、そしてSPチェンジャーから得た知識の通り、このヒラヒラドレス状のSPスーツはしっかりと宇宙空間でも活動できるよう、私の体を守るようにコーティングしてくれていた。


 空気もちゃんと生成されており、窒息どころか少しの息苦しさも感じさせない。


「シャイニーフェニックス、君って面白いことするね。大丈夫だって言ってるのにわざわざ自分から息止めて苦しい思いするなんてさ」


「うるさいなぁ、初めての宇宙なんだもん、仕方ないでしょ」


 横からルビィが茶化してくるので、私はムッとしながらそう返す。


 ちなみに音が伝わらないはずの宇宙空間でなんで普通に会話ができているのかと言えば、サイキック・コミュニケーション機能の応用である。


 特定のチャンネルに向けてではなく、周囲全てに向けて発信することでまるで実際の声のように言葉を伝えることが出来るのだ。


 さらに、必要ないのに普段の癖で口も動かしてるものだから、本当に『音声』で会話してるような錯覚さえ覚えてしまう。


 う~ん、しかし、宇宙に出たはずなのにあまりに自然過ぎて、これじゃただ大気圏内で浮かんでるのと何も変わらないなぁ……。


 これはこれで宇宙感がなくてちょっとだけ残念かも。


 強いて宇宙っぽい点を上げるとするなら、耳が痛くなるほどの無音なことぐらいで……。


 そんなことを考えながら、私はふと後ろを振り返った。


 ――前言撤回、その瞬間、私の体の奥底から今自分は宇宙にいるのだという実感が沸きあがってくる。その理由とは――


「綺麗……これが、これが、私たちの住む地球……!!」


 写真や映像で何度も見たことがある、そのはずなのに、私は思わずそう感嘆の声を上げる。


 どこまでも広がる青い海、白い雲に覆われた空、一面に広がる緑の大地に、所々に見える茶色い山。


 その全てが私の目の前に広がっている。


 それはまるで宝石箱のようにキラキラ輝いていた。


「そう、これが地球。君が、ボクが守るべき星」


 ルビィも私と同じ方角を見つめながらそう呟く。


 私は、その地球という宝石箱を眺めながら、ふと思った。


 確かに綺麗だけど、暗い宇宙の海の中に浮かぶその星はどこか寂しそうにも見えた。


 だから、私は思ったんだ。


 この星を、この宝石箱を守りたいって。


 大切な人や大好きな人たちの住むこの世界を守りたいって……。


「私は、守る! この星を、ここに生きる全ての人々――ううん、命を! そして、いつかは地球だけじゃない、この宇宙全てを守れるぐらいに強くなる!」


 ――それが、私の夢、私の願い、私の決意……。


「そのためにもまずは、コロニーを救出しないとね。行くよ、ルビィ!」


「うん!」


 そして私たちは滑り出すように宇宙空間へとその身を躍らせる。


「行ってきます」


 背後で輝く星に向けてそう呟くと、私たちは一路コロニーへと向けて飛翔するのだった。

お読みいただきありがとうございました。

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