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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第12章【飛べ宇宙へ! コロニー爆破5秒前!!】

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第91話 宇宙と屋台に思いを馳せて……ん?

『皆様、ご覧ください、これが完成間近となった世界初の居住型宇宙コロニーです!』


 とある日の夜、夕食を終え自分の部屋でなんとなくテレビをつけながらぼーっとしていた私――香取みうは流れてきたその言葉に意識をテレビへと向けた。


 そこに映し出されていたのは、まさに今建設中のコロニーの特集番組だった。


 遠景から映し出された宇宙空間に浮かぶ巨大なコロニーはモニター越しであってもその存在感を存分に発揮していた。


『このコロニー計画が順調に進めば、以前のように月や火星など居住に適した星をわざわざ開拓する必要もなく、土地の問題も気にすることなく、人類は宇宙で生活することが可能になるのです!』


 アナウンサーさんの熱のこもった言葉に、私は思わず「おおっ」と感嘆の声を上げる。


「凄いなぁ、カッコいいなぁ宇宙コロニー……私もいつかは宇宙に住んでみたいなぁ」


 そんなことを呟きながら、私はテレビの映像に見入っていた。


『ところで、このコロニーの建設には様々な技師が関わっておられるのですが、その中に我が国の技師が含まれているのはご存知でしたでしょうか? 今日はその方と通信が繋がっています! どうぞ!』


 アナウンサーさんの言葉と共にモニターの映像が切り替わり、一人の男性の姿が映し出される。


 若くて精悍、そして優し気と一言で言ってしまうとイケメンのお兄さんだ。


 テロップには有田(ありた) 一彦(かずひこ)(24)と表示されていた。


『どうも初めまして。さっそくですが、思ったよりお若くてびっくりしました。その歳でこのような大プロジェクトの技師として抜擢されるとは、さぞや優秀な方なのでしょうね』


 アナウンサーさんの言葉に有田さんは照れ臭そうに笑う。


『いえいえ、そんなことは……。運がよかっただけですよ。ただ僕は昔から宇宙に凄く興味があって、いつかあの宇宙で仕事ができたらなぁってずっと思ってたんです。だからこのお話をいただいた時は夢が叶った気分でしたよ』


『なるほど! ところで、有田さんはコロニー製造に携わってどれくらいになるのですか?』


『もうかれこれ5年になりますね、18で大学を卒業してすぐにこのコロニー建造計画のメンバーに加わって、それからずっと……』


 有田さんの言葉にアナウンサーさんが感嘆の声を上げる。


『なるほど、飛び級されたんですね。いや、流石ですね~。しかし5年ですか……その間ずっと宇宙に?』


『基本的にはそうですね』


『それでは寂しいこともあったりするのではないですか?』


『あはは、そうですね。でももう慣れましたよ。他の技師のみんなも同じですし、地球との連絡手段もないわけではないですからね』


『そうですか……。しかしそれでもお辛いこともあるのでしょう?』


『まあ、それはどんな仕事でも同じですよ。それに、この仕事にはそれ以上のやりがいと喜びがある。そう思っています』


 有田さんのその言葉に、アナウンサーさんは感極まった様子で言う。


『おおっ! なんという素晴らしい志なのでしょう! では次に……』


 そうして、技術的なことについての話を始めるアナウンサーさんとそれに答える有田さんという構図で番組は進行していく。


 ただでさえおバカな私にとっては、正直半分も理解できない内容ではあったけど、それでもこの有田さんという人が凄い人だってことは分かった。


 やがてインタビューも終わりCMへと入ったところで私はテレビのスイッチを切った。


「宇宙コロニーか、ようやく地球人もそのレベルに到達したんだね」


 そう言ってうんうんと首を上下に振るのは、見た目はただの小鳥その実態はS.P.Oの誇る最新型のバイオロイド、サポートアニマルのルビィだ。


「なんか淡白な反応だね、やっぱりルビィにとってはちっとも凄くないことって感じなの?」


「まあ……S.P.Oの超科学に慣れ親しんだ身としては、ね。だけど、これで地球が宇宙連合に参加するのも、そこまで未来の話じゃなくなったかもよ」


「宇宙連合か……。ある程度のその星がある程度の技術レベルに達するまで、一切干渉をせずに見守る。それが宇宙連合の方針だったって言ってたよね」


「うん、そうだよ」


 そして、技術レベルが一定に達したところで、彼らから連合への加盟申請がされる。


 つまり地球は宇宙からしてみればまだまだ未成熟な発展途上惑星、ということだ。


「とはいえ、宇宙連合が地球人類を同胞として迎え入れてもいいと判断するには少なくとも後数十年は掛かるはずだから、それまでみうちゃん――シャイニーフェニックスには謎のヒーローとして頑張ってもらわなきゃね」


「うん、わかってるよ。大丈夫、私頑張るから!」


 私が気合を入れると、ルビィは満足そうに「その意気だよ」と笑った。


「ところでみうちゃん、宇宙の話で思い出したんだけど……七夕って、何?」


「え?」


 可愛らしく小首を傾げ尋ねてくるルビィに、私は思わずと聞き返してしまった。


 そして、そこでハタと気づいた。


 色々と忙しかったせいで日付を気にする余裕がなかったけれど、あと一週間もしないうちに7月7日がやって来る。


「昼間、ママさんがチラシを持って帰ってきて、それを見たらこう書いてあったんだ『7月7日七夕祭り商店街にて開催!』って」


 そっか、今年もやるんだね、七夕祭り……。


 それにしても、ルビィは七夕を知らないのか。まあでも当たり前かな? 七夕ってあくまでも地球の一部地域でのイベントだもんね、宇宙出身のルビィが知らないのも無理ないよね。


「えーと、七夕って言うのは……」


 私は七夕についての説明をルビィにしてあげた。といっても実のところ私自身七夕について知ってることはあまりなく、いろいろあって引き裂かれてしまった彦星と織姫という二人が一年に一度だけ会うことを許されたという伝説が伝わる日だとか、そんな感じの表面をなぞるような説明しかできなかったんだけど……。


「なるほど……地球人って面白いこと考えるんだね。星を人に見立てて、その二人が年に一度だけ会うのを祝福するなんて」


 ルビィは感心したように頷いた。


「そうだね、特に昔の人はロマンチストだったのかもね」


 私はそう言って笑う。


「まあ、それはともかくとして、だ」


 そんな私に対してルビィは僅かに真剣な顔でそう切り出した。


「な、何……?」


 思わず気圧されるように上体を逸らす私に、ルビィはぐぐいっと顔を近づけてくると急ににへらぁと表情を崩す。


「お祭りってことはさぁ、当然屋台なんかも出るんだよね?」


「え? う、うん、そうだね。結構たくさん出るよ」


 私の答えにルビィは目を輝かせて叫ぶ。


「行きたい! ねぇみうちゃん、ボクをそのお祭りに連れてってよ!」


「え、えぇ……?」


 困惑気味にそう返す私だったけど、そうだ、ルビィはこういう子だったと思い出す。


 いやまあ、私の人のことは言えないんだけど……。


「連れて行ってあげたいところだけど、それはいろいろ問題が……」


 今のところその予定はないけど、たぶん私は七夕祭りに行くことになる。私自身行きたいし。


 だけど、おそらくその時は一人じゃなくて翔くんや智子と一緒に行くことになるはずだ。これが問題なのである。


 彼らの前ではルビィには当然ただのペットの鳥の振りをしてもらわなければならないわけで、ルビィが望むような屋台での食べ歩きなんかも当然できない。


 私はそうルビィに言って聞かせるが、ルビィはふふんと鼻を鳴らす。


「それなら問題ないよ。忘れたの? ボクの能力」


 得意げに言ってルビィは飛び上がると空中でくるんと一回転をした。すると……。


「ほら、これなら問題ないでしょ?」


 私の目の前には、艶やかな黒髪をした、女の子と間違えそうなほどに可愛らしい男の子が立っていた。


 変身能力使い姿を変えたルビィの人間形態だ、私は一度この姿を見ているけれど相変わらずものすごく可愛い。


「う、う~ん。確かにその姿なら大丈夫かもしれないけど……」


「ボクの事はさ、遠い親戚の子とでも説明すればいいよ、この姿用の名前も後で考えとくから」


「まあ、それなら、いいかな……」


 やっぱりルビィをお留守番させたり、お祭りに連れて行っても堂々と食べ歩きをさせてあげられないのは可哀想な気がするし……。


「ありがとう! えへへ~、楽しみだなぁお祭り……」


 私の答えにルビィは弾けるような笑顔で笑うと、お祭りへと思いを馳せ口元に涎を浮かべていた。


「もう……ルビィったら、せっかくの美少年が台無しだよ?」


 私は呆れた声音を出しつつも、口元が綻ぶのを堪え切れなかった。

お読みいただきありがとうございました。

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