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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第11章【ライバル!? 超天才王尾蘭の挑戦状!!】

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第89話 さよなら蘭ちゃん、また“遊ぼう”ね!

「ふぅん、なるほどねぇ……。実に興味深い話だわ、運命というものの不思議さがよく分かるわね」


 私の話をひととおり聞き終えた蘭ちゃんは、そう呟くと腕組みして「ふむ……」と唸る。


「とはいえ、アンタがシャイニーフェニックスになったのはある意味必然ともいえるのかしらね」


「え? どういうこと?」


 私がシャイニーフェニックスになれたのはいつくもの偶然が重なった結果だと思うんだけど……。


 私が問うと、蘭ちゃんは顎に手をやりながら言う。


「偶然見かけたUFOを追いかけた先でギーガーク帝国の調査員に遭遇、襲われたところをシュナイダーに救われたって話だけど、それってどうかしらね?」


「ど、どうって……?」


 蘭ちゃんの言葉に私は首を傾げる。すると彼女は言った。


「アタシはこう思うわけよ、ギーガーク帝国の連中がUFOを何度も飛ばしてたならアンタはいつかそれを目撃する、アンタの性格なら間違いなくそれを追いかけて奴らに襲われる、そして、地球を守る戦士を探して地球にやって来てたシュナイダーに救われることになる、ってね」


「それは……そうなのかな?」


「アタシは奇跡とか偶然とかよりも自分でその運命を手繰り寄せたって考えのが好きだから、そう考えたいわ、アンタのヒーローに対する情熱がアンタをその運命の輪の中へ引き込んだ、ってね」


 蘭ちゃんの言葉に私は「そうだね……私も、そっちの考え方の方が好きかな?」と頷く。


「それにしてもギーガーク帝国……10年たらずで宇宙の8割以上を征服してしまうほどの大帝国とはね……想像以上だわ……」


 蘭ちゃんは腕組みして唸る。


「そんな奴らがシックザールクリスタルとやらを手に入れたらとんでもないことになるわね……アタシも対策を……」


「あ、あの、蘭ちゃん……お願いがあるんだけど……」


 なおもぶつぶつと独り言を呟く彼女に私はおずおずと声をかける。


 すると蘭ちゃんは「ん?」と振り向いた。


「あ、あのね……今話したこと、みんなには内緒にしておいて欲しいの……」


 私が言うと彼女は「わかってるわよ」と頷く。


「シャイニーフェニックスの正体含め、今聞いた話は全てアタシの心の中にしまっておくわ」


「ほ、ほんと?」


 私が問うと蘭ちゃんは「もちろんよ」と言って頷く。


「さてと、それじゃそろそろアタシは帰らせてもらおうかしらね」


「帰るって、火星に……?」


 私は恐る恐る訊ねる。だって、また蘭ちゃんと離れ離れになんてなりたくなかったから……。


「あ? ああ、言ってなかったわね。アタシ――正確に言えばアタシの一家だけど、再び地球に引っ越してきたのよ。これからはずっと地球で暮らすことになると思うわ。ちなみにアタシが今住んでんのは隣の社堂(しゃどう)町よ」


「そ、そうなの?」


 私はホッと胸を撫で下ろす。よかった、それならまたいつでも蘭ちゃんと会える。


「アンタ、何を喜んでんの?」


 しかし、そんな私を半眼で見ながら蘭ちゃんは言う。


「アタシが地球にいて、いつでも会えるということがどういうことか理解してる?」


「え……?」


 私は蘭ちゃんの言葉の意味が分からず首を傾げる。そんな私に彼女は言う。


「つまりアタシはこれからも定期的にアンタに挑戦状を叩きつけに行くってことよ!」


「え、ええ!? な、なんでそうなるの!?」


 私は慌てて蘭ちゃんに詰め寄る。しかし彼女は意に介した様子もなく続ける。


「アタシとアンタの運命の戦い(デスティニーバトル)は永遠に続くのよ! 今回は負けたけど次はこうはいかないわ! 覚悟してなさい!」


「い、いや、ちょっと待ってよ……」


「さっきの話聞いてたでしょ!? シャイニーフェニックスにはギーガーク帝国との戦いがあるんだよ! 君と遊んでる……」


「シャーラップ!! 黙りなさいバイオロイド!」


 慌てた口調で言う私とそれを補足するように続けるルビィに蘭ちゃんが怒鳴る。


「それとこれとは話が別! アタシと香取みうとの戦いはたとえ神でも止めることは許されないわ!」


「そんな無茶苦茶な……」


 呆れ果てた口調でうめくルビィだったけど、構わず蘭ちゃんは続ける。


「とはいえ、しばらくはアタシは身を潜めさせてもらうわ、今日の反省点を元にキシンガーの改良型の開発に勤しむつもりよ。そして、いつかアンタに再戦を挑むわ!」


 蘭ちゃんはビシッと私に向かって指を突き付ける。


「それまでせいぜい腕を磨いておくことね、だから負けちゃだめよ、ギーガーク帝国にも、他の誰にも! 応援するつもりはないけど、アタシのライバルである以上は負けることは許さないわ!」


「……! 蘭ちゃん……」


 瞬間、私の心に温かいものが広がる。彼女の言葉の裏に隠れた真意に気づいたからだ。


「また会いましょう! オーッホッホッホ!」


 そう言って踵を返し走り去ろうとする蘭ちゃん、しかし……。


「ま、待って!」


 私が呼び止めると、どべっと前のめりにコケる。


「コラッ! せっかくいい感じで去ろうとしてたのに何すんのよ!」


 蘭ちゃんは立ち上がると両手を腰に当ててプンスカ怒る。


「一つだけ……一つだけ聞かせて欲しかったことがあるの、火星に引っ越したあの日、どうしてお別れも言わずに私の前からいなくなっちゃったの? もちろん急な引っ越しだったのは分かってる、それでもお別れは言えたはずでしょ? それに、どうしてあれからずっと連絡もくれなかったの? 私、もしかしたら蘭ちゃんに嫌われたんじゃないかって、ずっと不安だったんだよ?」


 私は蘭ちゃんの目を真っ直ぐ見ながら訊ねる。すると彼女はバツの悪そうな表情で頭をポリポリと掻く。


「あー……その……悪かったわよ……だけど、アタシにはどうしてもアンタと会いたくない、連絡したくない理由があったのよ」


「理由?」


「うるさいわね、どうでもいいでしょそんなことは……もう昔の話なんだから……」


「どうでもよくないよ! 教えて、お願いだから!」


 縋りつく私だったけど蘭ちゃんは鬱陶しそうに振り払うと、駆けだした。


「ら、蘭ちゃん!」


 だけど、私が必死に呼びかけると一度だけ足を止めボソッと呟く。


「見たくなかったし見られたくなかったのよ……」


「え……?」


 そして、くるっと振り返ると彼女は真っ赤な顔で言った。


「泣き顔! 汚い顔なんて見せ合いたく無いでしょ! だから、アタシは何も言わずアンタの前から去ったのよ!!」


 ハッとする私。


 そうか、そういうことだったのか……。


 そして、今度こそ蘭ちゃんは疾風のように去って行った。


「素直じゃないね、あの子……。きっと連絡をよこさなかったのも、連絡すれば会いたくなっちゃうと思ったからだよ」


 呆然とする私に、鳥の姿に戻ったルビィが囁く。


「ホント……そうだね……」


 私は肩に止まり頬をすり寄せてくるルビィの頭を撫でながら、蘭ちゃんが去っていった方向をいつまでも見つめていた。


 なーんていい感じで終わりを迎えた今回の騒動だったんだけど、蘭ちゃんには騒動の後始末という大事な仕事が残っているのでした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ううう、なんでアタシがこんなことしなきゃなんないのよ……」


 ここは都内某所、広大な敷地を持つ大邸宅の庭の片隅で王尾蘭が母親の監視の下草むしりに勤しんでいた。


 蘭は文句を言いつつ、雑草をブチブチとむしっていく。


 シャイニーフェニックスとの対決によって秋桜(コスモス)学園に与えた損害を金持ちの伯父さん(キシンガーZ開発の資金も彼からの提供である)に弁償してもらったものの、さすがにおイタが過ぎたとのことで、こうして罰を受けているのである。


 この程度で済んでいるのは、例の対決の動画配信の収益が莫大だったためである。そうでなければ如何な金持ちの伯父と言えど、彼女の弁償金を肩代わりすることはできなかっただろう。


「草むしりが終わったら次は敷地内の石膏像の手入れよ! しっかりやるのよ!」


「うげぇ……なんでアタシがそんなことまでしなきゃいけないのよ……」


 母親の無慈悲な言葉に蘭はうんざりしたようにため息を吐いた。


「ママぁ、お願いだから手伝ってよぉ!!」


「私が手伝ったら罰にならないでしょ? ほらほら早くしないと日が暮れちゃうわよ」


「うぅ~……」


 蘭は恨めしそうな視線を母親に送りつつも、再び草むしりに精を出す。


「ああっもうっ! これも全部香取みうのせいよ! 覚えときなさいよ、必ず復讐してやるんだから~!!」


 空に向けて叫ぶ蘭だったが、その頭部にゴンと母親の鉄拳が振り下ろされる。


「みうちゃんに責任押し付けないの! ほら、さっさと終わらせる!」


「うう……痛い……」


 涙目になりながら草をむしり続ける蘭。しかしその顔にはなぜか笑みが浮かんでいた。


(これよこれ、幼稚園時代のお約束。アタシがみうへの対抗心で大暴れしてママに怒られる、お約束展開)


 懐かしさに心を震わせながら草をむしり続ける蘭。


(火星にはアタシのライバルたり得る存在はいなかった……。でも、この地球にはいる! アタシのライバルが……)


「ふふん、みうめ、首を洗って待ってなさいよ!」


「蘭は本当にみうちゃんが大好きなのねぇ」


「違うっ! アタシはあいつのことなんて大嫌いっなのよ!」


「はいはい」


 からかうような言葉に顔を真っ赤にして叫ぶ蘭だったが、母親は全てを分かってると言わんばかりの表情でニコニコと微笑むだけであった。



第11章【ライバル!? 超天才王尾蘭の挑戦状!!】



【次回予告】


みう「七夕祭りの日、私は恋人が技師として宇宙コロニーで働いているという織田(おだ)優姫(ゆき)ってお姉さんと出会ったんだけど、なんとその宇宙コロニーが悪い奴らに占拠されちゃった! しかも爆弾を仕掛けてコロニーを破壊するって言うの! そんなの、絶対許せない! 大勢の人の命のを守るためにも、優姫さんのためにも、絶対阻止しなくっちゃ!! だけど、どうもおかしいな? ギーガーク帝国って目的のために大規模な破壊工作とかは避けてるんじゃなかったけ……? 次回、シャイニーフェニックス『飛べ宇宙へ! コロニー爆破5秒前!!』よろしくお願いします!」

お読みいただきありがとうございました。

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