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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第11章【ライバル!? 超天才王尾蘭の挑戦状!!】

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第88話 衝撃の事実! 蘭ちゃんは全てをわかってた!?

「あー、疲れた……全く、蘭ちゃんってばやるだけやって後は知らんぷりなんだもんね、昔からなーんにも変わってない」


 なんとか巨大ロボットを邪魔にならないところまで運び、戦いで壊れてしまった校舎やなんかの修復作業を終えた私はぶちぶちと文句を言いながら校舎裏へとやってきた。


「それにしてもよかった、SPスーツに建造物修復機能があって……戦い夢中で気づかなったけど、壊れたのよりによって1年B組の教室だったんだもんね、危うく明日からプレハブ教室で授業受けなきゃいけなくなるところだったよ」


 私がホッと胸を撫で下ろしながらそんなことを独り言ちていると、「シャイニーフェニックスーー」という声が聞こえてきた。


 そちらに視線をやると、香取みう(わたし)の姿をしたルビィが軽く手を振りながらこちらに駆け寄ってくるところだった。


「お疲れ様、なんていうか……今日は色々と大変だったね」


「まあね……ホント、どっと疲れたわ……」


 労いの言葉をかけてくれる彼に私は苦笑交じりに答える。


「でも、凄い戦いだったね。もしかしたら負けちゃうんじゃないかと、ボクドキドキだったよ」


「あはは、心配かけてごめんね……。私も蘭ちゃんがあそまで強力なロボットを繰り出してくるとは思わなかったよ、でも、なんとか上手く無力化出来てよかった」


「そうだね、君の言った通り、彼女は本当に類まれなる頭脳を持った超天才だったよ」


 ルビィは腕を組みつつしみじみとそう言った。


「まあ、でもそれに勝ったんだから、君も相当に頭が回るってことだよね」


「ううん、そんなこともないよ、むしろ気づくのが遅すぎたぐらい」


 少し考えればあのロボットがエネルギー消費という欠点を抱えていることぐらいわかったはずなのに、と私は自嘲気味に笑う。


 ただ、それは蘭ちゃんの上手さでもあったんだと思う。


 おそらくだけど、蘭ちゃんはあのロボットの欠点に気が付いていた。その根拠としてあのロボットは最初歩いて会場に現れた。飛べるのにも関わらず、だ。


 それは飛行による無駄なエネルギー消費を避けて、あえて地上を歩くという選択肢を取ったということ。


 しかし、蘭ちゃんはそれを悟られないよう余裕たっぷりの態度で戦いに挑んだ。


 私は当初それにまんまと騙されて、あのロボットには何一つ欠点なんてないと思い込まされてしまったのだ。


 私がその旨をルビィに話すと彼は「なるほど……」と唸る。


「確かにそうだ、超天才の彼女ならエネルギー問題なんて解決してる、ボクもそう思い込まされちゃったよ」


 だけど、私は戦闘中のふとした気づきからあのロボットのエネルギーに着目しフェニックスサーチャーを使うことでその弱点を暴くことが出来た。


「いや、でもやっぱり君は凄いよ。冷静に弱点を見極めたこともさることながら彼女の性格を上手く利用して逆上させることで一時的にエネルギーのことをその頭から消し去ることに成功したんだからね」


 ルビィが感心したように言う。そして親指をぐっと立てて続ける。


「さすが幼馴染だね、彼女のことをよくわかってる」


「確かに、改めて認めざるを得ないわね、アンタのことを。だけど、それでこそアタシのライバルだと言えるわ」


 突然割り込んできた声に、私は思わず「えっ!?」と声を上げる。


 そこにはいつの間に現れたのか蘭ちゃん(レディーRの衣装から普段着に戻っている)が不敵な笑みを浮かべながら立っていた。


「ら、蘭ちゃん!? なんで……」


「ここにいるのかって? ふふ、アタシを甘く見ないで、この超天才的な頭脳でアンタが変身を解除しにここに来ることを予測し、待ち構えてたのよ」


「それじゃ、さっきからいたってこと……? でも、姿も気配も……」


「ふっ、最新型のステルスシステムよ、やはり抜けてるところは昔と何も変わってないわね、香取みう!」


 蘭ちゃんは自信満々にそう言うと、ビシッと()を指差した。


 ま、まずい! 今の会話で蘭ちゃんに私の正体を悟られた! いやでも、幸いなことにルビィと私は一度もお互いの名前は呼ばなかったはず、まだなんとか誤魔化せるかも……。


「な、なんで私を指差しながらみうちゃんの名前を呼ぶのよ、みうちゃんはそっちでしょ?」


 焦った口調で私が言うも、蘭ちゃんはチラッと香取みうの姿のルビィに視線をやってから「ふんっ」と鼻を鳴らす。


 そして、視線を私に戻すと続ける。


「今更誤魔化しても無意味よ、何故ならアタシは最初から気づいてたんだからね、アンタの正体が香取みうであることに」


 どどーんと効果音でも聞こえてきそうな勢いで蘭ちゃんが言い放つ。


 私は「う、嘘でしょ……?」と呟きながら後ずさる。


 み、見破られてた……!? しかも最初から!?


 でも思い返してみれば思い当たる節が……。


 何故蘭ちゃんは『シャイニーフェニックス』への挑戦状を『香取みう』に叩きつけてきたのか。


 ほぼ初対面の他人であるはずの『シャイニーフェニックス』に対して“相変わらずね、アンタは”という言葉を投げかけたのは何故なのか。


 蘭ちゃんが最初からシャイニーフェニックス=香取みうだと気づいていたのなら、全て辻褄が合う!


 隠されていた秘密の露見という相が出ている……ゆうなちゃんの予言が的中してしまった。


 だけど、なんで? どうして!? バレるはずなんてないのに……。


「アンタがアタシの性格を熟知しているようにアタシもまたアンタのことを熟知しているということよ」


 大パニックに陥る私の心を読んだかのように蘭ちゃんが得意げな表情で説明を始める。


「シャイニーフェニックスのことを知ったその日から、アタシはアンタこそがその正体であると疑い映像を入手して徹底的に分析したわ、顔、仕草、喋り方、その思考回路に至るまでね。その結果、アンタが香取みうであると確信したのよ」


 蘭ちゃんは鼻先にくっつきそうなほど人差し指を私の顔に突きつけながら自信満々で言う。


「最もここまではアンタの事を良く知ってれば超天才じゃなくてもたどり着ける答えよ、事実アンタは一度正体を暴かれそうになったらしいけど、最初に指摘したのは翔平だったんじゃないかしら?」


 うっ、見事に言い当てられてる……。


「そ、その騒動の事も知ってるなら、わかるでしょ。私とみうちゃんは別人……わ、私がみうちゃんならそこのみうちゃんは一体誰なのよ……」


「そ、そーそー、香取みうはボ……私だよ~。蘭ちゃんったら、変なこと言わないでよ~」


 指差す私に呆然と立ちすくんでいたみうの姿のルビィが慌てて言う。


 しかし、蘭ちゃんはそんなルビィをギロッと睨みつける。


「アタシの推測通りなら、アンタはシャイニーフェニックスが連れてるルビィとかいう鳥でしょ? 当然ただの鳥じゃないわね、超科学によって造られたシャイニーフェニックスのサポートをする鳥型のバイオロイド、違うかしら?」


 蘭ちゃんが自信ありげに言うとルビィは目をぱちくりとさせた。


「なななな、なんでそこまでわかる……ハッ!?」


 そこまで言ったところでルビィはハッとした表情になると、慌てて口を両手で塞ぐ。


 失言してしまったルビィだけど、私はそれを責めることも忘れただ蘭ちゃんの推理に呆然としていた。


「99.9999……%が今完全に100になったわ。それはともかくなぜわかるかって? それはアタシが超天才だからよ」


 口元を歪めながらそういう蘭ちゃんの言葉はぜんぜん答えにはなってないけど、これ以上ないくらいに説得力のある言葉だ。


 超天才に常識なんて通じないのだ、彼女がそうと言えばそうなってしまう。


「ま、もうちょっとだけ説明するなら、消去法で考えた結果そういう結論に至ったってところかしらね」


「消去法……?」


「そ、シャイニーフェニックスが香取みうであると結論付けたアタシは考えたわ。どうして香取みうとシャイニーフェニックスが別々に現れられるのかとね」


 言いながら彼女はルビィに歩み寄るとポンとその肩に手を置く。


「そこで着目したのがシャイニーフェニックスが連れてた鳥、シャイニーフェニックスと香取みうが同時に現れるとき、あの鳥は一切その姿を現さない。つまり、あの鳥が影武者としてどちらかに変身しているのではないかと仮定したわけ」


 ルビィがビクリと震える。


「そんな能力を持った鳥は当然ただの鳥じゃないわよね? そして超天才であるアタシは世間一般の凡人どもと違ってシャイニーフェニックスが『魔法少女』なんかじゃないと最初から見抜いていたのよ、彼女の能力は魔法と見分けがつかないほどに発達した超科学の産物に違いないと!」


「それで、ボクがバイオロイドだと? そこまで見抜いてたの? しかも、変身能力のことまで……」


 ルビィが半ば呆然とした様子で言う。


「ふっ、当然よ」


 ふんぞり返る蘭ちゃんに私も完全に脱帽するしか無い。


「そんなわけでもう誤魔化しは効かないわよ? さあキリキリ話しなさい、アンタがその力を得た経緯から今に至るまでの全てを」


 再び私に視線を戻しそう詰め寄る蘭ちゃんに私は「うぅ……」と呻き声を漏らしつつ後ずさる。


 しかし、すぐに観念して大きくため息を吐くと、「わかった……」と答えたのだった。

お読みいただきありがとうございました。

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