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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第11章【ライバル!? 超天才王尾蘭の挑戦状!!】

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第83話 高まるテンション! いよいよ対決の時が来た!

「さあ、皆さん長らくお待たせいたしました、本日のメインイベント、謎の組織超頭脳帝国スーパージーニアスと正義のスーパーヒロインシャイニーフェニックスのスペシャルマッチのお時間がやってまいりました!」


 特設リングの上では司会進行役の少年がテンション高く声を上げる。


 その声に呼応するかのように観客席から歓声が上がる。


 その中には智子や文乃も混じっているのだが、彼女たちの隣の席で香取みうの姿を取っているルビィは呆れた様子で周囲を見回していた。


(なんだよこれは、まるでプロレスかなにかのショーじゃないか)


 内心そう毒づくルビィであったが、ここに集まる者たちにとってはこれは文字通りのショーなのだ。


 スーパージーニアスのボスである天才科学者レディーRが香取みうの幼馴染の王尾蘭であるという事実を知っているものは少ないがそれでも彼女たちに対して本気で恐怖し、恐れているものなど一人もいないのだ。


(まあ、それはボクも同じだけど……)


 シャイニーフェニックスが負けることはないと思っているし、仮に負けたところで大したことにはならないだろうと思っている点についてはルビィも他の者たちと変わらない。


 それでも彼が呆れて見せるのは、あまりにもエンターテイメントに偏ったこのイベントの雰囲気であった。


 最もそれは仕方のないことである、何しろこのイベントのセッティングを担当しているのはプロレス研究会の部員たちなのである、当然雰囲気もそれっぽくなるというものだ。


「しかーし! ここに来て一つ問題が発生しております! それは、試合を行うはずの両者が一向に姿を見せないのです!」


 司会の少年が高らかにそう宣言する、それと同時に観客たちがざわつく。


「えっ!? どういうこと!?」


「まさか怖くなって逃げたんじゃ……?」


 そんな言葉を聞きながらルビィは腕を組みつつ考える。


(シャイニーフェニックス――みうちゃんが出てこないのは出来れば戦いたくないと思ってるからだろうけど……)


 おそらくどこかで会場の様子をうかがっているシャイニーフェニックスとしてはレディーRが出て来ず戦いはお流れという展開を望んでいるはずだ。


 それにみうはヒーローは遅れてやってくるものという信条があるらしく、相手側が出てこないなら自分からは行かないというポリシーを持っている。


 つまり、レディーRたちスーパージーニアスの面々が来ない限りはシャイニーフェニックスが会場に姿を現すことはないということである。


「さあ、いったいどうしたのでしょうか、このままではわたくし大ピンチであります、これだけの観客をトークで引き止めておくのは難しいですぞー!」


 焦ったような、しかしどこか呑気な司会の少年の声が響く。


 そんな彼の言葉に観客席からは容赦のないヤジが飛ぶ。


「早くしろー!」


「出てこい! レディーRにスーパージーニアス!!」


「なんだよ、ただのフカシかぁ!?」


「ただの腰抜け集団なのか!?」


 観客のボルテージはどんどん上がって行く、このままでは暴動にもなりかねない勢いだ。


 そんな時である、突如会場に鳴り響く音楽、そして照明が一斉に空中に向けられる。


 そこにはいつの間にか一機のヘリコプターが浮かんでおり、そこから垂れ下がる梯子状のロープに一人の少女が片手で掴まっている姿が確認できた。


 黒いビキニスタイルにマント一枚という非常に露出度の高い恰好をしているのだが、残念なことに背が低く小柄、かつみうに匹敵するほどの幼児体型なので色気は皆無だ。


 しかし、その少女はそんなことなど気にする様子もなく、むしろ見せつけるかのようにポーズを決めている。


 顔には仮面舞踏会で使われるようなバタフライマスクが装着されており、一応正体を隠しているつもりなのだろうが、知っているものならば一目瞭然王尾蘭その人であることは疑いようがなかった。


「ほーっほっほっほっ! 誰が腰抜けですって、少し準備に手間取っただけよ!」


 蘭は高笑いをしながらそう言うと、梯子から手を離す。


「あ……っ!?」


 思わず声を上げるルビィ含む観客たちの目の前で少女は空中でクルクルと回転しながら降りてくる。


「スーパージーニアスが首領! レディーR参上!!」


 そして、蘭――もといレディーRは華麗にリングの中央に着地……することなく頭からリングの床に落下した。


 ドゴオッ! と信じられないほどの音を立てて床に激突するレディーR。


「あ、え、えーと……」


 司会の少年が恐る恐るといった様子でピクリとも動かないレディーRを覗き込む。


 その瞬間、まるでばね仕掛けの人形のようにレディーRが跳ね起きる。


「い、い、い、い、痛ぁぁぁぁい!! 全身の骨が折れたぁぁぁぁぁぁぁ!! たーすーけーて~!!」


 レディーRは悲鳴を上げながらリングをゴロゴロとのた打ち回る。


 そんな彼女の様子に会場のあちこちから失笑が漏れる。


 しかし、その笑いが耳に届いたのかレディーRはピタリと動きを止めると、何事もなかったかのように立ち上がり胸を張り堂々と宣言する。


「ふんっ! こんな攻撃でこのレディーRが倒せると思ったら大間違いよ!」


 勝手に自爆しただけだろ! と会場の全員が心の中でツッコミを入れたことだろう。


 だが、そんなことを気にする様子もなくレディーRは偉そうにふんぞり返るだけである、とはいえあれだけの高さから落下したにもかかわらずピンピンしているあたり、並の人間ではなさそうである。


(あのコスチュームのおかげ、だね……信じられない話だけど、ギーガーク帝国の連中が使ってるバトルスーツ並みの機能を持ってるみたいだ……)


 レディーRのコスチュームを観察したルビィは驚愕に目を見開いた、地球の一中学生にしか過ぎないはずの蘭がそんなとんでもない装備を着ていることにだ。


(あれを独力で作り上げたって? みうちゃん、君の言ってたことは嘘じゃなかったね、あの子正真正銘の超天才だよ……!)


 レディーR――王尾蘭、自称超天才の悪役マニア、彼女は単なる痛い子ではなかったのだ、その頭脳は本物だ。


(これは……案外侮れない相手かもね……)


 冷や汗を流すルビィだったが、そんな彼の内心など知る由もなく、ようやく我に返ったらしい司会の少年がマイクに向けて興奮気味で喋り出す。


「さあ、ようやくレディーRがリングに上がって参りました! しかしながら何というド派手な登場でありましょうか! これから繰り広げられるであろうシャイニーフェニックスとの激闘に向けての期待感は高まるばかりであります!」


 わっと歓声が上がる会場、レディーRは満足げな様子で観客席を見回している。


「しかしながら、シャイニーフェニックスはまだ現れません! どうやら到着が遅れているようです! そこで、この時間を利用しレディーRさんにインタビューを行いたいと思います! レディーRさん、よろしくお願いします!」


 司会の少年がそう言って頭を下げると、レディーRはふんぞり返ってニヤリと笑みを浮かべる。


「ええ、いいわよ」


 そんなレディーRの様子に苦笑しながらも少年はインタビューを開始する。


「それでは、ズバリお聞きしましょう! あなたは何者なのでしょうか? 我が秋桜(コスモス)学園が誇る10大変人の一人で『超ヒーローオタク』の異名を誇る香取みうさんの幼馴染で火星在住の王尾蘭という天才少女だとの噂がありますが……」


 司会の少年の言葉にレディーRはぶんぶんと両手を振りながら焦った表情を見せた。


「な、なにを言っているの!? アタシはレディーR、謎の女よ、王尾蘭みたいな超絶天才美少女のわけがないじゃない!」


 そんなレディーRにプロレスの事を良く分かっているらしい司会の少年は、あっさりとその言葉を受け入れ、彼女は王尾蘭ではないという方向で話を進める。


 たとえバレバレでもマスクマンは正体不明として扱う、それがプロレスのお約束なのだ。


「これは失礼しました、では改めてお聞きします、あなたは何者であなたが率いているという超頭脳帝国スーパージーニアスとは一体どのような組織で何を成そうとしているのでしょうか?」


「ふふふ、よくぞ聞いてくれたわね! アタシはこの宇宙が生み出した奇跡! 1無量大数年に一人の天才美少女レディーRよ! スーパージーニアスはアタシの頭脳によって生まれた組織、目的は世界――ゆくゆくは宇宙を支配することよ!」


 司会の少年の問いにレディーRはノリノリで答えた。


「は、はあ、そうなんですか……」


 若干、いやかなり引いている司会の少年。


 しかし、そんな様子はお構いなしにレディーRは続ける。


「今この星は滅亡の危機を迎えているわ……」


 憂いを秘めた表情で突如そんなことを言い始めるレディーR。


 誰もが何を言い出してるんだこいつは的な目で彼女を見るも彼女はそんな視線など一切気にした様子もなく、まるで舞台女優のように大げさな身振り手振りを交えつつ語り続ける。


「止まらない環境破壊、終わりなき紛争、資源を食いつぶすだけの存在となった人類……このままでは近い将来この星の人間は滅びてしまうわ」


 ここでカッと目を見開き彼女は天に向けて拳を突き出す。


「だから、この世は天才によって支配されなければならないのよ! そう、この星に必要なのは優れたる指導者! このアタシレディーRこそそれにふさわしいのよ! しかし、愚民どもはアタシの素晴らしさを理解できない! だから、アタシは考えたのよ……天才であるこのアタシが指導者としてこの世に君臨する為にはどうすればいいか? それは……」


 そこで彼女は一呼吸置くと、背後に邪悪なオーラを纏いつつニヤリと笑う。


「見せつけてやればいいのよ、このアタシの天才性を! そして、愚民どもに思い知らせるのよ……アタシこそが支配者であると!」


 そう言ってレディーRは両手を広げるとクルリとその場で一回転し、狂ったように高笑いをし始めた。


「オーッホッホッホ! アーッハッハッハ!」


 そんなレディーRの姿に会場はシンと静まり返り、誰もがポカンと口を開けたまま彼女を見つめることしかできない。


 しかし、ただ一人司会の少年だけがいち早く立ち直ると、マイクに向けて叫ぶ。


「さーあ、大変なことになってまいりました! やはりスーパージーニアス、そしてレディーRというのはとつてもなく危険な存在だったようです! このまま彼女たちを放置しておけば世界は支配されてしまうでしょう! 誰か、誰か止める者はいないのかーーー!?」


 レディーRがレディーRならこの少年も少年である、完全にヒーローショーのノリで司会の少年は会場を煽る。


「いるわ、ここに!!」


 その時、力強い言葉が響き渡る。


 慌ててスタッフがその声の出所にスポットライトを浴びせると、どこかからBGMが流れ出しゆっくりとした足取りでリングに向けて歩いてくる人物の姿が照らし出された。


 その人物は全身を虎を思わせる縞模様のマントで覆っているのだが、その下にどんな姿が隠されているのかはすでに会場の誰もが知っている。


 リングに近づくにつれ徐々に速度を上げると、マントをはためかせながら飛び上がり空中で一回転しコーナーポストの上に着地する。


 そして、マントを脱ぎ捨てると同時に決めポーズを取るのだった。


「転生の炎は悪を焼き尽くす正義の業火! シャイニーフェニックス! ルール無用の悪党には正義のパンチをぶちかましちゃうよ!」


 その言葉と同時に会場から割れんばかりの拍手喝采が巻き起こる。


「舞台がプロレスリングっぽいから今回はそれなわけ? ()()()()()()、あんたは! でも、今日の主役はアタシよ!」


 レディーRの言葉に会場のボルテージがどんどんと上がっていく。


 そんな彼女にシャイニーフェニックスはビシッと指を突きつけると叫ぶ。


「レディーR! あなたは間違ってるわ! 確かに今世界は危機に瀕しているのかもしれない、だけどだからこそみんなで力を合わせて立ち向かわなきゃならないのよ! あなたのようなやり方では何も解決しないわ!」


 すると、レディーRはフンと鼻を鳴らす。


「いつだって世界は一握りの天才に牛耳られてきたものよ、だったらアタシは天才としてこの世界を治めてみせる! それがアタシの正義なの!」


「正義……?」


「シャイニーフェニックス、アンタはアタシについて一つ誤解をしているようね、アタシは確かに悪役マニアだけど、世界を征服しようとしているのは悪役ごっこのためじゃないわ、アタシは自分の理想と目的を持って強く生きてるそれだけなのよ! だから、悪とか宇宙の敵とか言われると、身震いするほど腹が立ってくるの!」


 レディーRはそう言うと、バサッとマントを翻しながらクルリと回転しポーズを決める。


「明日の正義のためにあえて悪の汚名を被る、それがこのアタシ、レディーRなのよ!」


「そう……なら私はあなたを倒す! そして、あなたの間違いを正してみせるわ!」


 そんなレディーRの宣言に対しシャイニーフェニックスも力強く応えるのだった。


 そんな二人のやり取りを観客席から眺めながら、ルビィはやれやれと肩をすくめる。


(みうちゃん……なんだかんだ言ってノリノリじゃないか……)


 呆れ半分感心半分のルビィなのであった。

お読みいただきありがとうございました。

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