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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第11章【ライバル!? 超天才王尾蘭の挑戦状!!】

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第79話 親友? ライバル? 幼馴染との再会です!

 放課後、今日は珍しく翔くんも大人しく、何の問題もなく授業を終えた私は智子と一緒に校舎を後にした。


「……そしたらママってばなんて言ったと思う? 次のテストで75点以上取れたらね、だって! 取れないってわかっててわざと言ってるんだよ絶対!」


「あはは、でもそれなら頑張って75点以上取って見返せばいいじゃない。出来るでしょ、あんたなら、勉強苦手の割にはテストの点悪くないし」


「赤点回避能力は高くても、75点以上はねぇ……。ほんとママってば微妙なラインをついてくるから……」


 なんて大して意味のない会話をしながら、校舎から校門へと続く道を歩いていた時である、ふと智子が校門に目をやり「ん?」と声を上げた。


「どうかしたの?」


 私はそう尋ねながら智子が見ている方に顔を向ける、するとそこには一人の女の子の姿があった。


 年は私や智子と同じぐらいだろうか? 赤い短い髪に、切れ長の瞳のなかなかの美少女さんだ。


 その子は腕を組ながら、自分の前を通り過ぎて行く生徒たちに鋭い視線を向けている。


 どうやら誰かを探しているみたいだけど……。


「あの子、見たことない顔ね。見た感じうちの生徒じゃなさそうだけど、どうも誰か探してるみたい」


 智子が私の耳元でそう囁く。


「そうだね、だけどなんか怖い感じ……友達とかを待ってるって風じゃないね」


 同じく囁くように智子に返事をしつつ私はもう一度その子に目を向ける。


 ん……?


 その瞬間、私の頭の中に、一瞬だけ何かが浮かんで消える……。


(あの子……どこかで……どこかで見たような……。でも、どこで……?)


「みう? どうかしたの?」


 私が急に黙り込んだからだろうか? 智子が心配そうに私の顔を覗き込んでくる。


 私が慌ててなんでもないと首を振ると、智子は、「そう? まあいいか。それより早く帰りましょ」と校門に向かって歩き出した。


 あの子の事が気になるものの、やっぱり気のせいだったかもしれないし、智子の言う通り早く帰ろう。

 私はそう考え直し、智子の後を追った。


「待ちなさいよ」


 校門まで差し掛かったところで、横から鋭い声が飛んでくる。


 その声のした方を見ると、さきほどの子が腕を組みながらこちらを睨んでいた。


「あたしたちに何か用?」


 智子が警戒しながら尋ねるが、その子はそれを無視するように私に向けてビシッと指を突き付ける。


「アタシを無視しようとはいい度胸してるわね、香取みう!」


「え? 私?」


 私は思わず自分を指差した。


 するとその子は「そうよ!」と言って、さらにズカズカと私に近づいてくる。

 そして私の目の前に立つと再び口を開いた。


「あんたのその行動は意図的なもの? それともアタシのことを忘却の彼方へと追いやってるの? まあ、どっちにしろ許せないけど」


「は? ちょっとあなた何言って……」と言いかけた智子の言葉を遮り、その子はさらに私に向けてこう告げた。


「7年と9か月ぶりに()()()()が地球に帰ってきたというのに随分なご挨拶ね、香取みう!」


 ライバル? 7年と9か月ぶりに地球に来た? ライバルって……え……!?


 私はその子の言葉を頭の中で反芻し、そして一つの答えに行き着く。


「ま、まさか……」


 驚愕に見開かれていく私の瞳に、彼女のやっと気づいたわねと言いたげな笑みが映る。


 やっぱり、そうだ……! その笑みにも見覚えがある。この子は……この子は……!


 じわっと、私の瞳に熱いものがこみ上げてくる。


「ふっふっふっ、香取みう、このアタシが帰って来たからにはあんたの好きに……」


(らん)ちゃん!!」


 ニタッと口元を歪めながら彼女が何かを言おうとするが、それを遮るように叫びながら私は思いっきり蘭ちゃんに抱きついた。


「えっ、ちょっ!? な、何!?」


 困惑する蘭ちゃんの声を聞きながら私は彼女の胸に顔を埋めた。


「蘭ちゃん、会いたかった……会いたかったよぉ……! 急に引っ越しちゃって、お別れの挨拶も出来なかったことをずっと後悔してたの……。それに今まで連絡もしてくれなくて……もしかして私の事を嫌いになったんじゃ……って……」


「え? あ、いや、その……」


 戸惑ったような声を出す蘭ちゃんを他所に、私は顔を上げ彼女にグイッと顔を寄せて喋る、喋る! 喋りまくる!!


「蘭ちゃんが私の事を覚えててくれて嬉しい!! 今日はどうして来たの? もしかして私に会いに来たとか!? いやそれよりもいつ地球に帰って来たの? 確か火星に住んでたんだよね? 旅行で来たの? それとももう一度地球で暮らすの? もしそうだとしたら、どこで暮らすの!? どこの学校!? もしかして、秋桜(コスモス)学園!?」


「あ、あの……」


「ところで蘭ちゃんは今でも仮面ファイター見てる? 思い出すなぁ、昔一緒にヒーローごっこやった時のこと……ふふっ、懐かしいなぁ……それで……」


「だぁーーーー! いい加減にしろ―ーーー! この暴走機関車娘!」


 私のマシンガントークを遮り、蘭ちゃんが叫ぶ。その声で私はハッと我に返り、慌てて彼女から身体を離した。


「全く……相変わらずね……あんたは……」


 呆れたような口調でフンと鼻を鳴らしつつ、私を睨みつける蘭ちゃん。しかし、私は見逃さなかった、その口元が僅かに綻んでいるのを!


 蘭ちゃんも本当は私と会えて嬉しいと思ってるんだ! そうだよね、久しぶりの再会だもん!


「ねぇ、みう」


 感動している私と困惑する蘭ちゃんの傍らで完全に取り残された形になっている智子が、困惑した表情で声をかけてくる。


「この子はいったい誰? あんたの知り合い? さっきはライバルとか言ってたけど……」


 続けて尋ねてくる彼女に「ああ、そっか」と私はポンと手を打って答える。


「ごめんごめん、智子は知らなかったんだよね。この子は<王尾(おうび) (らん)>ちゃん。私の幼稚園時代の親友なの」


「へぇ……」


 私の紹介に興味深そうに蘭ちゃんへと視線を向ける智子、蘭ちゃんがどこか苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべる中、私はさらに言葉を続ける。


「小学校に上がる前にご両親の都合で火星に引っ越しちゃってそれっきりだったんだけど……地球に帰ってたなんて思いもよらなかったからびっくりしちゃった」


「かっ、火星……!?」


 私の言葉を聞いた智子が驚きの声を上げる。


「そう、蘭ちゃんたち一家は火星入植者募集の抽選に受かって、火星に移住したの。もしかしたらもう二度と会えないかもって覚悟してたんだけど……」


「なるほどぉ……。そうだったんだ、だからのさっきの反応だったわけね……」


 智子はうんうんと納得したように頷くと、蘭ちゃんに歩み寄り手を差し出しながら自己紹介を始めた。


「はじめまして、あたしは森野智子。みうのクラスメイトで親友やらせてもらってるわ」


 ピクンと蘭ちゃんの眉が動き「親友……?」と智子の言葉に反応を示す。


「ええ、そうよ。みうの昔の親友ならあたしにとっても友達よ、仲良く……」


「ふんっ、よくもまあ、こんなヒーロー馬鹿の親友なんかやってられるわね、まさかあんたもヒーローオタクなわけ?」


 智子の言葉を遮って蘭ちゃんがそう吐き捨てる。


 その言葉に智子は唖然とした表情を浮かべる。


「え……いや、そういうわけじゃないんだけど……。な、何……? なんか物凄く棘のある言い方だけど、あなたはみうの親友じゃ、ないの?」


 智子が困惑しながらそう尋ねると、蘭ちゃんはフンと鼻を鳴らす。


「ふんっ、親友? そんなわけないでしょ。みうは勘違いしているようだけどね、アタシとみうは親友なんかじゃないわ、むしろ逆よ」


「逆?」


「不倶戴天の仲、宿敵、永遠のライバル、決して相容れない存在……アタシとみうはそういう関係よ」


「え、ええ……?」


 智子は困惑したように私と蘭ちゃんの顔を交互に見る。


「あ、あの……みう……? この子が言ってることは本当なの?」


 尋ねてくる智子だけど、むしろ私が聞きたいよ! 蘭ちゃんが私とは親友じゃないって……。


 私は慌てて蘭ちゃんに詰め寄る。


「ら、蘭ちゃん!? な、なんでそんな事言うの? 私たちあんなに仲が良かったじゃない!」


「何を勝手に思い出を美化してるのよ、あんたとアタシは宿敵同士でしょうが!! 忘れたわけ? このアタシ、超天才王尾蘭の夢、目標、目指すべき未来を! それはあんたの進もうとしている道とはまさに正反対! だからこそアタシたちは太古の昔から終わりなき戦い(エターナルバトル)を続けてきたじゃない!」


「エ、エータナ……?」


 蘭ちゃんの口にした意味不明な言葉に戸惑いながらも私は記憶を探ってもうよーく思い出してみる。


 蘭ちゃんの夢、目指すべき未来、そして私の進もうとしている道って……?


「蘭ちゃんの言ってる夢って……もしかして……世界征服をしたいって奴……?」


 おずおずと尋ねる私に蘭ちゃんは「そうよ」と胸を張りながら答える。


「世界征服を目指すアタシとヒーローを目指すあんたは水と油、それゆえに何度となくぶつかり合ってきたじゃない!」


 ぽかーんと、私も智子も口をぽかんと開けて蘭ちゃんを見る。


「そ、それってヒーローごっこの話でしょ!?」


 私と蘭ちゃんにはヒーロー物が大好きだという共通点がある。だからこそ仲が良かったわけだけど、決定的な違いもあって、ヒーロー大好きな私と違い、蘭ちゃんは悪役に並々ならぬ思い入れを持っていた。


 それで正義のスーパーヒーローと悪の天才科学者に扮して、『光と闇の果てしないバトル』と称する対決ごっこを毎日のようにやっていたのだ。


 だけど、もちろんそれはごっこ遊びで、むしろ仲良しだからこそ出来る遊びだったわけなんだけど……。


「あれはごっこであってごっこではないわ、未来に起こるアンタとあたしの『聖戦(ラグナロク)』のためのシミュレーションだったのよ」


「ラ、ラグナロクって……?」


 蘭ちゃんの言葉に私は思わずたじろいでしまう。しかし黙って私たちのやり取りを見ていた智子が、やれやれと肩をすくめながら蘭ちゃんに向かって言った。


「でも、結局のところあなたとみうは一緒になって遊んでたんでしょ? やっぱり親友じゃない」


「ちっがーう!! アタシはコイツをライバルとして認めてただけよ! 断じて親友などではない!!」


 顔を真っ赤にして怒鳴る蘭ちゃんに智子は「何が違うんだか……」と呆れ顔だ。


 そんな智子を睨みつける蘭ちゃんだったけど、「ともかく!」ともう一度腕を組みなおすと、


「アタシとみうはそういう関係なの! だから……か、勘違いしないでよね!!」


 と、ぷいっとそっぽを向く。


「みう……あんたの親友ってあれね、ツンデレってやつ?」


「そ、そうなのかなぁ? 昔から素直じゃなかったのは確かだけど……」


「こらそこ! 何をコソコソ言ってる!?」


 小声で話す私たちを見咎め、蘭ちゃんが赤い顔を向けて怒鳴る。


 私は、「なんでもありませーん」と半笑いで誤魔化しつつ、蘭ちゃんに尋ねる。


「ところで蘭ちゃん、なんだかうやむやになっちゃってたけど、結局蘭ちゃんはどうしてここに来たの?」


 私の問いかけに蘭ちゃんはハッとしたような表情を浮かべる。


「そうよ、そう! くだらない話をしている場合ではなかったわ! アタシはある目的のために今日ここにやって来たのよ!」


「ある目的?」


 おうむ返しに呟きつつ、首をひねる私に蘭ちゃんが頷く。


「そうよ、今日アタシがここに来たのはあんたに会いに来たから。それは推測通りよ。だけど勘違いしないで、旧交を温めに来たわけではないの。アタシがここに来たのはね……」


 一旦言葉を切り、ニタッといやーな笑みを浮かべる蘭ちゃん。


 うっ……蘭ちゃんがこの顔をする時は、大抵ろくでもないことを考えてる……。


 案の定、蘭ちゃんはとんでもない事を言い出した。


「アタシは挑戦状を叩きつけに来たのよ! あんたに……いえ、シャイニーフェニックスにね!!」


「え、え、ええええええええええええええ!?」


 私の上げた絶叫が、あたりに響き渡っていた――。

お読みいただきありがとうございました。

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