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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第10章【超決戦! シャイニーフェニックスVSヤーバン・ジーン!!】

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第73話 新たな決意! 私はもっと強くなる!!

「シャイニーフェニックス……ヤーバンは奴自らの確固たる意志でこの結末を選んだんだ。奴も言っていただろう? 君が気に病む必要はない……」


 背後からシュナイダーさんの私を気遣う、優しい声が聞こえてくる。

 だけど、私はそれに耳を傾ける出来なかった。


 ヤーバンの亡骸を見つめがら私の中を去来するのは様々な想い……。


 本当にこれでよかったのだろうか? ヤーバンを死なせずに救う方法は無かったのだろうか……? 私は、私はどうすれば良かったのだろう……。


「でも……最期にあの人は私にっ……! だったら、もっと違う道が……」


 自然と口から言葉が漏れる。


 私の想いは通じていた……だから、もっと言葉を交わせていたら……


 私がもっと聡明で彼のしようとしたことを察せられていたら……


 私がもっと――彼の生き方そのものすらも変えてしまうほど強ければ……


 そんな考えばかりが頭の中を駆け巡り、瞳からはとめどなく涙が溢れてくる。


「シュナイダーさぁん……私……私は……」


 ああ、私はなんて弱いんだろう……振り返り彼の胸に顔を埋める。

 すると、彼は優しく私の頭を撫でてくれた。


 背後では、ヤーバンの亡骸が砂となって崩れ落ち、風に吹かれて散って行く……。


『泣くな……強くなれ……』


 風に紛れてそんな声が聞こえたような気がした。


 ハッとする私の頭の上から、シュナイダーさんの優しい声が降ってくる。


「君は……もう戦うべきじゃない」


 大きく目を見開き私はシュナイダーさんの顔を見上げる。


「え……?」


 呆然と呻くように声を漏らす私。


 シュナイダーさんはそんな私の頭を撫でながら、言葉を続ける。


「君は……あまりにも優しすぎる……。その優しさは君の力の根源の一つ、そして平和を守る宇宙戦士には必要なもの。だけど、同時に諸刃の剣となって戦うたびに君自身の心を傷つけることになる」


 私は自分がそんなに優しい人間だとは思わない。けど、シュナイダーさんの言っている意味は理解できていた。


 ヤーバンは敵だ、最後に想いが通じたとはいえ今まで散々悪事を働き人を苦しめてきた酷い男……。

 そんな相手に対して甘さを見せ、最期に涙すら流すなんて……。


 ヤーバンにも言われた……本当に、戦士、失格……だよね……。


 だけどっ!!


「だから、君は戦いから身を引くべきだ……今後は俺たちに任せ……」


「シュナイダーさん」


 なおも続く彼の言葉を遮るように私は静かに彼の名を呼んだ。


 言葉を止められ若干驚いた様子の彼から体を離すと、マスクの奥のその瞳を見据え言葉を続ける。


「ヤーバンとの戦いの前にも、似たようなやり取りしましたね……。あの時は戦いの恐怖に晒された私がシュナイダーさんに弱音を吐いて、それで戦わなくてもいいって、そう言ってくれましたよね?」


 あの時はシュナイダーさんの言葉に心が揺れた、戦いを辞めようと本気で考えた。


「でも結局私は戦いを辞めることは出来なかった……。苦しんでる誰かの叫びが聞こえると、どうしても体が勝手に動いちゃうんです……」


「だけど……」


「戦っても戦わなくても心が傷つく……。じゃあどうすればいいか、そんなの考えるまでもありません!」


 少しだけ顔を下げそこから一気に上げる。


「強くなればいいんです! 身も、心も! そうすればもう何も恐れることはありません!」


(それでいいんだよね、ヤーバン?)


 一気に言葉を吐き出すと、さっき聞こえた気がした言葉に返すように、私は心の中でそう付け加えた。


「シャイニーフェニックス……」


 私の力強い言葉を聞いたシュナイダーさんは一瞬驚いたような様子を見せた後、フ……と小さな笑いを漏らす。


「強くなる、か……君が今以上に強くなったら本当に完全無欠のヒーローになってしまうな」


 冗談めかして言う彼の言葉に私は二ッと笑う。


「なります! なって見せます! だから、見ていてください! シュナイダーさん!」


「わかった、君がそう望むなら……俺はもう何も言わないよ」


 シュナイダーさんはそう言って大きく頷いた。


「しかし、俺は一体何回君に感心させられればいいのか……多分それは今後も変わらないんだろうなぁ。全く、別の意味で心が休まらない日々が待ってそうだ……」


 そう言って苦笑するシュナイダーさん。私もそれに釣られて笑みをこぼした。


「あはっ、これからも不肖の弟子をよろしくお願いしますね。シュナイダーさん!」


「ああ、こちらこそ」


 そう言って笑い合う私たち。


 そして、私たちはどちらともなく歩き出した、向かう先にあるのはシュナイダーさんのマシン、ブラウヴォルフ。

 この空間を閉鎖していたヤーバンの命の火が消えたことで、この空間からの脱出を阻むものはない、あれに乗れば簡単に元の世界に戻れるはずだ。


 ……また二人乗りすると思うと、ちょっと恥ずかしいけど……。


 ヤーバンが怖かったのか私に気を遣ってか、この場を離れていたルビィがマシンの先端にちょこんと止まり、シートに跨ったシュナイダーさんが私を手招きする中、私は最後にもう一度だけ振り返り、ヤーバンの亡骸があった場所へと視線を向ける。


 ヤーバン・ジーン……本当に凄い敵だった……けど、きっと今後も彼と同じぐらい、いや、それ以上の敵が現れるんだろうな……。


『ギーガーク帝国は貴様の思っているより恐ろしい存在だぞ、特にノヴォス皇帝は、な……』


 ヤーバンが残した言葉を思い出し私は少しだけ身を震わせる、それは恐怖によるものか、それとも武者震いなのか、それは分からないけど……。


 だけど、それでも私は戦う! 正義の戦士シャイニーフェニックスとして! たとえそれでどんな恐ろしい目に遭うことになったとしても……!


「さようなら……」


 最後にそう呟き、私はシュナイダーさんの元へと駆け出すのだった……。

お読みいただきありがとうございました。

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