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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第10章【超決戦! シャイニーフェニックスVSヤーバン・ジーン!!】

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第71話 決着! 限界を超えて……

 ドオン! ドオン! と、上空から響く轟音とほとばしる閃光。

 見上げる空ではシャイニーフェニックスとヤーバン、光球と化した二人が激しくぶつかり合っていた。

「シュナイダー様、シャイニーフェニックスのあの変化は一体……? エクシードモードって呟いてましたけど、シュナイダー様には心当たりがあるんですか?」

 俺の肩へと止まりながら尋ねてくるルビィに、俺は上空から視線を外さずに答える。

「俺たち宇宙戦士の纏うSPスーツに搭載された機能の一つだ。装着者の精神が最高レベルにまで高まった時に発動し、限界を遥かに超えた力を発揮することが出来るんだ」

「えっ、そんな機能が!? でも、ボクはサポートアニマルとして今まで数多くの宇宙戦士のデータを見てきましたけど、そんなの見たことも聞いたことも……」

「それはそうだろうな。今まであれを発動出来た宇宙戦士は両手の指で数えられる程度しかいない、それに、発動出来たとしても使いこなすにまで至った者は皆無と言ってもいい。かくいう俺も過去一度だけ発動させたことがあるが、その後は何をしても発動させることが出来なかった」

 S.P.Oの長い歴史の中でも、あの力を完全に使いこなせたのは伝説的宇宙戦士シャイニーノヴァだけだという話だが、彼女に関してはデータがほとんど残っていない。

 ()わば幻の機能……それがエクシードモードなのだ。

「そんなものがあったなんて……。じゃあ、それを発動させたシャイニーフェニックスって……」

「ああ、とてつもない精神力の持ち主だ。彼女には驚かされてばかりだが、ここまで凄いとは正直思ってなかったよ……!」

 ドオオン! その時、空に一際大きな音が響き渡る。

 シャイニーフェニックスとヤーバン、両者の繰り出した拳が互いの顔を捉えたのだ……!

 吹き飛ぶ両者だったが先に体勢を立て直したのはシャイニーフェニックスの方だった、体を反転させるとヤーバンに向かって突撃する。

「はああああ!!」

 ガガガガッと連続で繰り出されるパンチの雨がヤーバンの身体を打つ!

 ヤーバンは体を縮こめてガードするのに精一杯だ!! このまま押し切れるか……!?

「し、しかし凄いですね、エクシードモードの力は……。あのヤーバンを完全に上回っている……」

「そうだな。そしてそれはシャイニーフェニックスの意志の力がそれだけ凄まじいという事でもある」

 呆けたようにシャイニーフェニックスの姿を見つめながら言うルビィにそう返す俺だったが、懸念があった。

 それは、シャイニーフェニックスがエクシードモードを御しきれるかという事だ。

 確かに物凄いパワーを発揮しているが、あくまでついさっき発動させたばかりの力だ、俺がかつてあれを発動させた時はすぐに限界が来てしまったのだ、同じように彼女がフルパワーで戦える時間もかなり限られているはずなのだ。

 それだけじゃない、エクシードモードを発動させても、さっきまでの戦いで受けたダメージや消耗したエネルギーが回復したわけでは断じてないのだから、楽観視できるような状況ではないのだ……!

「調子に乗るな!」

 吼えると、ヤーバンは全身から衝撃波を放つ!

 さほど威力のない物だったが、それはシャイニーフェニックスの体勢を崩すのには十分だった。

 小さく呻きよろめく彼女の頭を掴み、ヤーバンはその顔面に膝蹴りを叩き込んだ。

「あ、ああっ! あいつ、女の子の顔に……なんてことするんだ!!」

 憤慨するルビィだったが、俺は諭すように彼に向けて言った。

「もうこの戦いに男も女も子供も大人も関係ない。ヤーバンはシャイニーフェニックスを戦士だと認めた、だからこそのあの攻撃だ」

「で、でも……」

「心配ない、見てみろ」

 そう言って向けた俺の人差し指の先では、シャイニーフェニックスが顔を押さえながらも口元に笑みを浮かべていた。

「や、やってくれたわね……。だけど、まだまだこの程度じゃあ私はやられたりしないわよ!」

 バリアが効いているので、顔に傷が付いたり跡が残ることはないだろう。

 しかし、衝撃はかなりのものだったらしく、彼女が顔から手をどけると、つうっと鼻から一筋の血が流れ出ていた。

 それを指先で拭うと彼女は叫んだ。

「お返し!!」

 その姿が消えたと思った瞬間、ヤーバンの顔面に彼女の拳が突き刺さっていた……!

 速い! 俺ですら見えなかった!

 おそらく今のは瞬間的に超スピードを出せる能力であるライトニングダッシュ。今の彼女はただでさえ信じられないほどのスピードを誇るのに、さらに超加速能力を使ったのだ。その速度はもはや光速の域にまで達しているはずだ。

 さらにシャイニーフェニックスはヤーバンの頭上へと回ると、拳を握り合わせ振り下ろし奴の身体に叩き込む! ズドンッ!! 隕石でも落ちたかのような凄まじい衝撃音が轟き、ヤーバンは凄まじい速度で地面に叩きつけられた。

「ど、どう……!?」

 上空から見下ろしながら言うシャイニーフェニックスは僅かに息を切らしている。

 先ほどの攻撃は彼女自身にもかなりの負担を強いたようだ。あれだけの速度だ、当然か……。

 しかしそうしなければヤーバンは倒せない……。それは俺と彼女の共通の見解だろう。だからこそ彼女はあの一撃を放ったんだ……!

「甘い、甘いなぁ……。そんな攻撃では俺は倒せん!」

 しかし、ヤーバンはやはりまだ倒れてはいなかった。しっかりとした足取りで立ち上がり頭上のシャイニーフェニックスを見据えてそう叫ぶと両手を広げて続ける。

「自らのダメージを厭わない攻撃をしたところで、そんなものは意味がない! 貴様は命を懸けているわけではない、未だに勝利の事より我が身の事を考えている! だが俺は違う! 何故なら俺は勝利のために命すら捨てているのだ! 貴様と俺では覚悟が違うのだ!!」

 くっ、確かにヤーバンは自らの寿命を削ってあの姿へと変身した、そのリスクを負ってまでしてこの戦いに勝利しようとしているのだから生半可な気持ちではないのだろう。

 そんな奴の主張に、しかし、シャイニーフェニックスは怯むことなく指を突き付けて言い返す。

「違うよヤーバン。あなたの言う通り、私はこの戦いに命までは懸けてない。だけど、それは自分が可愛いからじゃない、私はこの戦いだけで死んだりするわけにはいかないの! 地球を守る宇宙戦士として、ヒーローとして、私は戦い続けなければならないのだから……!! 一つの戦いに命を懸けて勝利の事だけ考える? それはある意味カッコいいのかもしれないけど、別の考え方をすれば、その後の事を何にも考えてないってことだよね!? あなたは何のために戦って、勝利したいの!? 名声が欲しいの? それとも自己満足のため? 倒した敵を見下ろして優越感に浸りたい? でもそれも全ては生きてこそだよね!?」

「くっ……き、貴様……」

 ヤーバンはシャイニーフェニックスに反論する言葉を持っていなかったようだ。悔しそうに顔を歪めている。そんなヤーバンに対して、彼女はさらに続けた。

「私とあなたでは覚悟が違う! あなたの言葉、そっくりそのままお返しするわ! 私は戦って勝つ、そして生きるの! そして、みんなと一緒に幸せな未来を作って行く! 未来を捨てようとしている人には私は倒せない!!」

 言い放ち、シャイニーフェニックスはヤーバンから少し離れた地面へと降り立つ、そして構えを取ると静かな口調で言葉を続けた。

「ヤーバン、そろそろ終わりにしよう? これが私とあなたの本当の最後の勝負、全てを捨ててまで求めたあなたの勝利への執念が勝つか、私の未来への意思が勝つか!」

「……いいだろう。結局言葉など意味をなさない、俺が倒れれば貴様が正しいことになり、貴様が倒れれば、俺が正しいことになるのだ!!」

 応え、ヤーバンも構えると全身にエネルギーを集中していく。

「もはや技も不要! 全身全霊を込めたこの拳の一撃で貴様の何もかもを打ち砕いてくれるわ!!」

「なら私も、この拳で応じてあげるわ!!」

 ヤーバンの言葉にそう返すと、シャイニーフェニックスは右手を腰に当て左手をそれに添えるようにして軽く掴む。

 ゴゴゴゴゴゴゴ……と空気の振動する音が響いて来る。

 二人の凄まじいエネルギーが空間を震わせているのだ。周囲を見回せば、小石などが浮き上がり始めており、それが徐々に大きくなっているのが見て取れる……!

「二人の動きが、完全に止まった……」

 肩の上のルビィがゴクリと唾を飲み込みながらそう口にする。

「勝負は一瞬で決まる、どちらも仕掛けるタイミングをうかがっているんだ……」

 そして、永い永い時間が過ぎ去る。実時間としては10秒にも満たないだろう、しかし、俺にとって、そしておそらくぶつかり合おうとする二人にとっても永遠とも思えるほどの長い時間が経過した頃――遂にその時は訪れた!

 ガラッ ガシャアン! と戦いの余波でボロボロになったビルから大きめの瓦礫が崩れ落ち音を立てる。

 それを合図にしたように両者が動いた!!

 ただ突撃し、拳を繰り出すだけのシンプルな攻撃。両者の身体が交錯した瞬間、あたりに閃光が走った!

 一瞬目を閉じ、開けたときにはシャイニーフェニックスとヤーバンは少し離れた位置でお互い背中を向け、拳を振りぬいたままの姿勢で動きを止めていた。

「う……くぅ……」

 俺の祈りもむなしく、膝を突いたのはシャイニーフェニックスの方だった……。

 そんな……勝てなかったと言うのか……!

 ヤーバンはニヤッと笑うと、体を反転させ、ゆっくりとシャイニーフェニックスの方へと歩み寄る。

 背後に迫るヤーバンにハッとして彼女が振り返ると、すでにヤーバンは目の前へと来ていた。

「シャ……」

 飛び出そうとするルビィの口を塞ぎ、俺はその動きを制する。

「シュナイダー様、何をするんですか!? このままではシャイニーフェニックスはとどめを刺されてしまいますよ!!」

「待て、様子を見るんだ、もしかしたら……」

 ()()()に気が付いた俺は、ルビィにそう返すとシャイニーフェニックスたちの方へと視線を戻す。

「見事だったぞシャイニーフェニックス、貴様の力、想い、覚悟、どれを取っても最高の戦士のそれだった」

「褒めてくれてありがとう、とでも言えばいいのかな……?」

 シャイニーフェニックスは膝を突きつつも、未だ消えない闘志を瞳に宿らせヤーバンを睨みつける。

「それだけに残念だ。これでもう二度と貴様とは戦えん……」

 その言葉を自分に対するとどめを刺すという宣言だと受け取ったのだろう、シャイニーフェニックスはなんとか腕を上げようとする。

 しかし……。

「まさか、この俺が全てを捨ててもなお勝てんとは、な……」

「えっ……!?」

 顔を上げたシャイニーフェニックスが目を見開く、彼女の瞳には全身に亀裂が入り今にも砕けそうなヤーバンの姿が映ったことだろう。

 そう、勝利したのは、シャイニーフェニックスだったのだ!!

「げ、限界を超えるとこうなるのか……。ぐ……はっ!!」

 バキィィン!! 硬い陶器か何かを割ったような音が響き渡り、ヤーバンの全身を覆っていた筋肉の鎧が砕け散る。

 仰向けに倒れ込んだヤーバンの姿は、やせ細った老人のようだった……。

お読みいただきありがとうございました。

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