第69話 恐るべきパワー! 勝利のために全てを捨てた男!!
「どうしてそんな余裕でいられるんだ!?」
余裕を見せるヤーバンの態度が癇に障ったのか、ルビィが苛立った様子で問いかける。
「余裕とは少し違うな。俺は嬉しいのだ、初めて本当の全力を賭して戦うに値する相手と出会えたことがな」
「今までは全力じゃなかったとでも言うの!? ハッタリはやめなさい!!」
シャイニーフェニックスの言葉にヤーバンは首を振る。
「全力だったさ、だが俺には奥の手がある。シュナイダー、上級宇宙戦士として様々な惑星についての知識を持つ貴様なら知ってるのではないか? 噂ぐらいは聞いたことがあるだろう、俺たちヤーバン星人の能力について」
問いかけられ俺はハッとなる、今さらながらに思い出していた。
「あの噂は本当だったのか……」
「ど、どういうことですか、シュナイダーさん!?」
そう問いかけてきたシャイニーフェニックスに俺が答えるより早く、ヤーバンは、「見せてやる!」と叫ぶと、両腕をクロスさせエネルギーを集中し始める。
「えっ……!? 2000ぐらいにまで落ちてたあいつのエネルギーがまた上がってる……?」
ルビィが驚きの声を漏らす中、ヤーバンの身体が変化をしていく……!
「ヤーバン星人は、自らの寿命と引き換えに僅かな間だけ通常の数倍の力を発揮することが出来るという……奴は、その能力を使ったんだ……!」
「その通り! もう寿命などいらん、今の俺の頭にあるのは貴様らと戦い勝つことのみ!」
ボコッボコッと奴の身体が泡立つ! 血液が沸騰しているのだ……。
ゴボアッ! と口から大量の血を吐きながら、奴はその体を肥大化させていく……。
「あ、あ、あ……」
あまりの光景にシャイニーフェニックスが言葉を失う。俺も思わず息を飲むほどだった……。
「ぐぐ……はぁ、はぁ……。待たせたな、これがヤーバン・ジーンの最終戦闘形態だ……!」
変化したヤーバンの姿は基本的なシルエットは変化前と同じだったが、二回りほど巨大になり赤銅色だった肌が真っ黒く変色していた。
おそらく血液が沸騰し蒸発したことで黒くなったのだろう……!
だが何よりも感じるエネルギーが今までとは段違いだった、ルビィのように具体的にエネルギーを計測できるわけではない俺にでもわかるほどに……!!
「時間が限られているのでな、一気に行かせてもらうぞ!!」
一言吠えると、ヤーバンはこちらに向けて突撃してくる。
「ぐわっ……!」
情けないことに俺はあっさり蹴り飛ばされゴロゴロと転がされる。
くっ、まだエネルギーが完全ではない、今のヤーバンの攻撃を防げる力は俺にはない……。
しかし、奴の狙いはシャイニーフェニックスのようで俺を無視しそのまま彼女に向けて拳を繰り出す。
「ひゃうっ……!」
まともに受けたらヤバイとばかりに彼女が何とか身をかわすと、先ほどまで彼女がいた場所に奴の拳が突き刺さり地面に大きなクレーターを作った……!
あんなものを喰らったら一撃で戦闘不能になってしまうだろう……。
「よく避けた! まだ力は残っているようだな。だが、それでなくては面白くない! 貴重な寿命を捧げた価値がない!!」
自分の命が残り少なくなったというのに心の底から楽しそうに笑いながら言うヤーバン。
シャイニーフェニックスはそんな奴をキッと睨みつけると心を奮い立たせるように叫ぶ。
「ここでやられたら今までの全てが無意味なものになってしまう……。私の体力温存のために戦ってくれたシュナイダーさんの想いも、私の特訓の相手になってくれた立体映像の『私』の想いも、支えてくれる多くの人たちの気持ちも……。だから、絶対に負けられない……! 負けられないの!!」
飛び上がり拳を繰り出すシャイニーフェニックス。ガガンと奴の額に打ち込まれた一撃に俺はグッと拳を握り、シャイニーフェニックスは口元に笑みを浮かべる。
「それが貴様を支える力の源か……。だが、今の俺には届かんな!!」
しかし、一撃は奴には何の痛痒も与えていないようだった。驚愕の表情を浮かべ拳を引こうとするシャイニーフェニックスの腕を掴みヤーバンは地面に叩きつけると足を振り上げ踏みつける。
「ぎゃふっ……」
苦悶の声と共に彼女の口から吐き出された血が周囲に飛び散る。
さらに、二度、三度とヤーバンは彼女を踏みつける、その度に彼女の口から苦悶の声が漏れるが、彼女はなんとか身体を反転させ振り下ろされる足を受け止める。
「くぅぅぅぅぅ……!!」
そのまま足を押し返すと、右手をヤーバンに向ける。
「ファイアショット!」
繰り出される炎の弾丸はしかし、軽く首を曲げたヤーバンの頭の横を過ぎていく。
外れ……ではあるが、おかげで脱出の隙が出来た、シャイニーフェニックスは一気に奴の足の下から抜け出すともう一度拳に力を込め先ほどよりも強烈な一撃を放つ!
「ぐふっ……。今の俺をよろめかせるとは……。だが、これが限界だろう!」
上半身を後ろに逸らしながらも言うと、奴は全力攻撃の直後で動きを止めているシャイニーフェニックスの腹に手を添える。
カッ! 閃光が走ると、シャイニーフェニックスは大きく吹き飛ばされゴロゴロと地面を転がり、げふっと再び血を吐き出しそのまま動かなくなってしまった。
僅かに体が上下していることから死んではいないようだが、完全に意識を失ってしまったようだ。このまま放っておけば命も危ないかもしれない。
「見たか! これが俺の力だ!! 貴様の想いの力は確かに認めよう、だが、所詮は圧倒的な力の前には無力、無力、無力ぅぅ!! 敗北しかないのだ!!」
言い放ちさらに彼女へと歩み寄りとどめを刺すべく大きく足を振り上げるヤーバンに俺の理性はぶっ飛んだ。
「ヤーバン、貴様ぁぁぁ!!」
エネルギーも体力もないことなど関係なかった、これ以上シャイニーフェニックスが痛めつけられる姿を見てなどいられなかったのだ。
「馬鹿め、今の貴様に何が……」
嘲笑う奴の頬に俺の繰り出した拳が突き刺さる。
「ぐぅ、なんだと……? エネルギーなど残ってないはずなのに……この短時間で回復したか……!?」
「違うな、それも多少はあるかもしれんがそうじゃない、誰かを救いたいと思う時、俺は……俺たち宇宙戦士は0からでも力を出せるんだ! ヤーバン、貴様は俺が倒す!!」
指を突きつけそう宣言する俺に、奴は僅かに目を見開くも薄く笑う。
「流石はシャイニーフェニックスの先輩戦士だな、貴様も想いの力とやらを持っているのか。だが、貴様にも教えてやるぞ、現実の厳しさをな!!」
……ふぅ、俺はここで死ぬかもしれんな……。しかし、シャイニーフェニックスがやられるのを目の前で見ているよりかはマシだ……!
「行くぞ、ヤーバン!!」
「来い、シュナイダー! 望んでいた形とは違うとはいえ俺の望んだ上級宇宙戦士との戦いだ、心ゆくまで楽しませてもらう!!」
そして、俺たちは激突するのだった……!
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